薄型時計って厚さ何mmのこと？

「スーツには薄型のドレスウォッチを」というのは、よく見かけるフレーズですが、そもそも薄型時計って何mmから？ 薄型時計の魅力やメリットって何？ そんな疑問にお答えします。

まず、薄型時計の魅力とは何なのでしょう。それは「悪目立ちせず、エレガント」なこと。目立ちすぎないこと、控えめであることは、エレガント（優雅）であるためには欠かせないことですよね。

アメリカのアカデミー賞やカンヌ映画祭などにタキシード姿で登場するハリウッドセレブのファッションに注目してみると、彼らの腕元にはいつも、超薄型のドレスウォッチが輝いています。世界のセレブリティたちは薄型時計の効力を理解しているのです。

また、超薄型時計の装着感は一般的な厚さのものと比べるととても軽快で、付けていることを忘れてしまうほど。つまり、時計を意識せずにいられます。これは立ち居振る舞いの優雅さにもつながるわけです。

薄型時計をしている人が大人っぽく見えるのは、こういった理由もあるでしょう。

ところで、時計業界には時計の薄型について、はっきりした定義や基準があるのでしょうか。実は、薄型や超薄型について時計業界にハッキリした基準はありません。これは“世界最薄”を謳うものを除けば、時計ブランドが自社製品を基準に、それぞれ独自に定義しています。

それでも、シンプルモデルについては一応の業界基準はあります。薄型モデルはケースの厚さがだいたい10mm、つまり1cm前後のもの。

シンプルな3針モデルのケース厚は15mm前後が普通。だから10mm前後のケース厚のモデルは、実際に腕に付けてみると「これは薄いな」と感じることができるでしょう。最近では頑丈なダイバーズでも厚さ10mmに近い薄型モデルも登場しています。

そして時計愛好家が超薄型と認めるのは、ケース厚がだいたい7mm以下のモデル。2000年頃まではそのほとんどが、機能的にはシンプルな手巻きモデルか自動巻きモデルでしたが、2010年代から開発競争が加速して、さまざまな機能を備えた超薄型モデルが続々と登場しています。

一方で、厚みのある時計が存在する理由は何でしょう。その理由のひとつが、耐衝撃性や防水性を高めるため。だから、アクティブなシーンでの着用が想定されるスポーツウォッチは厚みがあって大ぶりなものが多いのです。

もうひとつの理由は、搭載する機構が多い場合。その分パーツも増えるため、基本的にはムーブメントが厚くなり、結果ケースも厚くなります。ゆえに、薄いのに複雑機構だとスゴい。これはまた別の回で詳しくご紹介します。

ひとまず、時計は薄いとエレガント、厚いとスポーティと覚えてもらえれば問題ありません。

最後に、薄型時計はエレガントで付け心地も良いですが、扱いに注意も必要です。薄い分、衝撃には弱いので、丁寧な扱いを心がけて。着用中に何かにぶつけてしまう可能性は低いでしょうが、振る舞いはあくまでも優雅にして、薄型時計を楽しむのがたしなみですよ。