また、直感的な操作性を実現するパノラミックスクリーンなどによるエンタテインメントの追求やAIや5G通信、クラウド技術も活用した車載ソフトウェアの制御により、継続的に機能をアップデイトし、進化し続けることを目指すとしていた。
要は大メーカーでは採算ベースにのせるのが難しい高度な生産技術で、必要かつ少量な車両の生産を請け負うことで知られた企業だ。そして翌年の1月にはこのオーストリアで公道走行テストを開始。その後はドイツでの走行テストや東京とドイツを遠隔でつないだ5G環境下でのリモート運転試験なども実施された。
これらのことから、ついにソニーが独自で自動車業界に参入かと噂されるようになる。しかし、ソニーからはあくまでクルマに最先端テクノロジーを組み合わせることで、安心・安全かつ、新たな感動をもたらす車内エンタテインメントの実現を目指し、モビリティの進化へ貢献することを目的としたものであり、自動車メーカーになることを意図したものではないとアナウンスされていた。
両社winwinの提携を目指して──
そもそもソニーとホンダの両社は、2021年頃から提携に向けて動きはじめたという。自動車業界におけるConnected(コネクティッド)、Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)といった「CASE」と呼ばれる新しい領域において自社の強みを発揮したいソニーと、開発、製造、販売、アフターケアなどこれまで自動車メーカーとして培ったノウハウを活かしながら、新たなモビリティメーカーとして生き残りをかけたいホンダとが互いにウインウインとなる道を模索し始めたというわけだ。
一方で、2022年 3月4日には、ソニーとホンダがモビリティ分野における戦略的提携に向けた基本合意を発表。同年6月16日には「ソニー・ ホンダモビリティ株式会社」の設立に関する合弁契約を締結。そして10月、ソニーグループ50%、本田技研工業50%の出資比率による新会社「ソニー・ホンダモビリティ株式会社」が正式スタートとなった。
日本では 2026年後半からを計画。コンセプトは 3A(Autonomy 進化する自律性、Augmentation 身体・時空間の拡張、Affinity 人との協調、社会との共生)に集約し、3A を実現する最新のテクノロジーを投入。車載ソフトウェアからクラウド上のソフトウェアまで一貫した統合的フレームワークを構築し、サービス全体のアーキテクチャを設計していくという。
世界に冠たるジャパンブランドの躍進なるか
また、今後のEVの本格的な生産に向けて、米国オハイオ州内の3つの既存工場に、合計7億USドルを投資して生産設備を更新。これらの工場を、北米におけるEV生産のハブ拠点として進化させていくことを発表した。
また、LG エナジーソリューションと米国にEV 用リチウムイオンバッテリーを生産する合弁会社を設立する計画も発表。2023年初頭には工事に着工し、2025年中にも量産を開始。生産能力は最大約40GWh を目指し、この工場で生産されるリチウムイオンバッテリーは、全量がホンダの北米工場へ供給される予定となっている。
北米のどの工場で、どんなコンセプトのクルマが生まれるのか、Sony&Hondaのブランドバッジはどうなるのか(SondaとかHonyとか[笑])、詳細はまだ不明な点が多いが、世界に冠たるジャパンブランドの協業に大いに期待したい。