ふたりは当初、BEVのスーパーカーの開発を目論んでいた。しかし、後ろ盾のないベンチャー企業だけに、資金繰りに苦労する。ちょうどその頃、テスラに目をつけたのが、起業家であり2002年にスペースX社を設立したばかりのイーロン・マスクだった。
彼が資金調達を主導し、2008年にはテスラモーターズのCEOに就任。同年に発表されたテスラ初の市販車がロードスターだ。これはロータスエリーゼのボディを流用し、パナソニックのノートパソコン用リチウムイオンバッテリーを直列にずらりと並べて搭載。当時のメーカー公表値によると0−100km/h加速3.9秒、最高速は200km/hオーバー、一充電走行可能距離は約350kmと公表されていた。
短かったトヨタとの蜜月
この提携を活かし、トヨタは2012年に北米でも人気のSUV、RAV4のBEV版を発売する。テスラの電駆システムを用いていたが、一充電あたりの走行距離は約100マイル(約160km)と、多くの顧客のニーズを満たすまでには至らなかった。わずか2年でRAV4 EVは生産中止となり、トヨタはBEVは時期尚早であるとの判断のうえ、このタイミングでテスラ社のすべての株を売却している。
当初は後輪駆動モデルだったが、2014年には前後アクセルにそれぞれ計2つのモーターを搭載するAWDのハイパワーモデルを追加。最新モデル『Plaid』では、最高出力1020Hp、最高速度322km/h、0−100km/h加速2.1秒、一充電航続距離637kmと、現在市販されているBEVの中で最速かつ最長クラスの航続距離を誇っている。
こちらも最新モデルPlaidでは、最高出力1020Hp、最高速度322km/h、0−100km/h加速2.6秒、一充電航続距離536kmという性能を備えている。
実はこのモデル3は先のトヨタとの提携で得たカリフォルニアの工場で生産を開始、バッテリーパックはパナソニックと協業するギガファクトリーが担う。
2020年代、加速する快進撃
振り返ればテスラは、20年に満たない歴史で自動車業界を大きく変えたゲームチェンジャーかもしれない。BEV専業メーカーとして、顧客はディーラーではなくインターネットを通じてクルマを購入し、オンラインでアップデイトを行い、独自の急速充電設備「スーパーチャージャー」網を構築してきた。
既存の顧客ファーストな自動車販売手法に拘泥する日本の文化にはなじまないと言われながらも、2013年に始まった国内導入からわずか10年未満で、日本の道でも頻繁に見かける電気自動車となった。
クリアすべき課題とは?
また販売台数が増えれば、おのずと必要となるのはアフターサービスの拠点。2022年2月時点で、国内にあるディーラー数は、東京に2つ、神奈川、名古屋、大阪、福岡の計6つ。サービス拠点は8つしかない。モデル3、そしてモデルYの投入によって大幅な増加が見込まれるテスラユーザーにどう対応していくのか。
また本国でも2020年の発売をアナウンスしていた新型ロードスターや、2019年に公開され2022年に生産開始予定のEVピックアップトラックのサイバートラックの開発の遅れが伝えられている。
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