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2022.04.05

VOL.07「電動車ってなんだ?」

電気自動車のパイオニア! テスラ、おまえの時代だ!?

最近、街でよく目にする電気自動車専業ブランド「テスラ」って、そもそもどんな自動車メーカーなのか? 日本でもBEV(バッテリーEV)の注目が高まりつつある今、改めてその歴史を振り返る──。

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文/藤野太一 構成/近藤高史(LEON)

テスラ 電気自動車
▲ アメリカ・カリフォルニア州のフリーモントにあるテスラ社。
テスラモーターズは、2003年、米国カリフォルニア州でマーティン・エバーハードとマーク・ターペニングのふたりによって設立されたBEV専業メーカー。車名のテスラは誘電モーターや交流電気方式など、電力にまつわる多くの技術を世に出した発明家のニコラ・テスラの名にちなんだものといわれる。

ふたりは当初、BEVのスーパーカーの開発を目論んでいた。しかし、後ろ盾のないベンチャー企業だけに、資金繰りに苦労する。ちょうどその頃、テスラに目をつけたのが、起業家であり2002年にスペースX社を設立したばかりのイーロン・マスクだった。

彼が資金調達を主導し、2008年にはテスラモーターズのCEOに就任。同年に発表されたテスラ初の市販車がロードスターだ。これはロータスエリーゼのボディを流用し、パナソニックのノートパソコン用リチウムイオンバッテリーを直列にずらりと並べて搭載。当時のメーカー公表値によると0−100km/h加速3.9秒、最高速は200km/hオーバー、一充電走行可能距離は約350kmと公表されていた。
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短かったトヨタとの蜜月

2005年のアカデミー賞受賞式には、レオナルド・ディカプリオがトヨタプリウスで登場し、大きな話題となるなど当時、環境保護意識の高いセレブリティが選ぶクルマの代名詞といえば、プリウスだった。それが、このテスラの登場によって、ハリウッドスターなどがハイブリッドカーからBEVに乗り替えたと話題を呼ぶようになる。
まるでそれに反応するかのように2010年、トヨタはテスラ社へ出資、電気自動車の開発で業務提携を結んだ。実際は、迫りくるカリフォルニア州のZEV(Zero Emission Vehicle)規制に対応するためのものだったが、このときイーロン・マスクCEOが豊田章男社長にロードスターをプレゼントしたことも大きなニュースとなった。
 
この提携を活かし、トヨタは2012年に北米でも人気のSUV、RAV4のBEV版を発売する。テスラの電駆システムを用いていたが、一充電あたりの走行距離は約100マイル(約160km)と、多くの顧客のニーズを満たすまでには至らなかった。わずか2年でRAV4 EVは生産中止となり、トヨタはBEVは時期尚早であるとの判断のうえ、このタイミングでテスラ社のすべての株を売却している。
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テスラ 電気自動車
▲ 中国・上海のギガファクトリー(写真上)とドイツ・ベルリンのギガファクトリー(下)
テスラはトヨタと提携した一方で、パナソニックと共同で次世代バッテリーの開発にも着手。年間50万台の生産体制を築くため、ネバダ州に床面積17.6万平方メートルを超える巨大なバッテリー工場「ギガファクトリー」を建設すると発表した。この数年後にはドイツ、中国でもギガファクトリーの建設に着手している。テスラが、いかに先見の明に長けているかを示した事例といえるだろう。
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テスラ 電気自動車
そして、2012年にはセダンタイプの「モデルS」を発売。内燃エンジンをもたないBEVだけに、冷却用のフロントグリルのないエクステリアデザインが、これ以降に続くテスラモデルの個性となっていく。
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インテリアもほとんどの物理的なスイッチ類を廃し、インパネ中央に配置したまるでiPadのような大型液晶で操作を行い、PCやスマートフォンのようにオンラインでのソフトウェアアップデイトを可能にしたことも画期的だった。
 
当初は後輪駆動モデルだったが、2014年には前後アクセルにそれぞれ計2つのモーターを搭載するAWDのハイパワーモデルを追加。最新モデル『Plaid』では、最高出力1020Hp、最高速度322km/h、0−100km/h加速2.1秒、一充電航続距離637kmと、現在市販されているBEVの中で最速かつ最長クラスの航続距離を誇っている。
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テスラ 電気自動車
2015年に発売されたのが、クロスオーバーSUVの「モデルX」。モデルSをベースとしており、標準仕様は2列シート5人乗りだが、オプションで3列シート7人乗り仕様も選択可能。乗降性を高めるため、“ファルコンウィングドア”と呼ばれるガルウィングドアを装備している。

こちらも最新モデルPlaidでは、最高出力1020Hp、最高速度322km/h、0−100km/h加速2.6秒、一充電航続距離536kmという性能を備えている。
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モデルS、モデルXと富裕層向けの高額モデルに続いて、2016年に発表したのが廉価版のコンパクトセダン「モデル3」だ。スタートプライスを北米では標準的な3万ドル台半ばに設定し、発表からわずか1週間で30万台を超える予約が殺到。

実はこのモデル3は先のトヨタとの提携で得たカリフォルニアの工場で生産を開始、バッテリーパックはパナソニックと協業するギガファクトリーが担う。
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2020年代、加速する快進撃

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そして、2020年にはモデル3をベースとしたクロスオーバーSUVの「モデルY」を発表。日本市場へも2022年の導入開始が予定されているモデルだ。
 
振り返ればテスラは、20年に満たない歴史で自動車業界を大きく変えたゲームチェンジャーかもしれない。BEV専業メーカーとして、顧客はディーラーではなくインターネットを通じてクルマを購入し、オンラインでアップデイトを行い、独自の急速充電設備「スーパーチャージャー」網を構築してきた。

既存の顧客ファーストな自動車販売手法に拘泥する日本の文化にはなじまないと言われながらも、2013年に始まった国内導入からわずか10年未満で、日本の道でも頻繁に見かける電気自動車となった。
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グローバルで見れば、テスラの2021年の年間販売台数は20年比187%増の93万6172台と過去最高を更新している。例えば、ジャガー・ランドローバーの2020年の年間販売台数が約43万台、ボルボが約70万台、メルセデス・ベンツが約220万台といえば、この数字がいかにすごいか、そしてこれら老舗の自動車メーカーがBEVメーカーへの転身を図る理由のいったんがわかるというものだ。
2021年2月。テスラは、モデル3の日本国内での販売価格を大幅に値下げするという攻勢に出た。値下げ幅はモデルによって異なるが、安価なグレードでも約60万円、上級グレードでは約150万円ダウンというから驚きだ。こうなると、日産リーフをはじめとする日本メーカーのBEVが割高に感じられるほど。
これほどの値下げをなぜ実現できたのか。それは、日本仕様のモデル3の生産拠点を北米から2019年末に稼働しはじめた中国・上海のギガファクトリーへと移したことだ。年間50万台の生産が可能という巨大工場ゆえ量産効果に加えて、輸送コストを抑えることが可能となったという。
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クリアすべき課題とは?

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▲ テスラの充電設備「スーパーチャージャー」。
とはいえ、これまで順風満帆にも思えるが、もちろん課題もある。日本ではまだ正式に認可されていないが、北米などでも自動運転・オートパイロットに起因する事故が起きており、またその技術的な詳細を公開していないことからも安全性については疑問視されている。
 
また販売台数が増えれば、おのずと必要となるのはアフターサービスの拠点。2022年2月時点で、国内にあるディーラー数は、東京に2つ、神奈川、名古屋、大阪、福岡の計6つ。サービス拠点は8つしかない。モデル3、そしてモデルYの投入によって大幅な増加が見込まれるテスラユーザーにどう対応していくのか。
 
また本国でも2020年の発売をアナウンスしていた新型ロードスターや、2019年に公開され2022年に生産開始予定のEVピックアップトラックのサイバートラックの開発の遅れが伝えられている。
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2021年にはテスラの時価総額は100兆円を越えた。これは世界ナンバー1で年間約1000万台を販売するトヨタの時価総額の3倍以上。日本の自動車メーカーすべての時価総額を合算してもテスラ1社に及ばない。それほどまでにテスラへの期待値が高いということが見てとれる。自動車100年の歴史の大転換期に生き残れるのは、新興BEVメーカーか、既存の自動車メーカーか、その動向に注目だ。

◼️ お問い合わせ

テスラモーターズジャパン 0120-966-774

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