2035年以降のガソリン車販売は禁止
2021年7月、欧州委員会は2050年に域内の温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を掲げ、その中間点の2030年の温室効果ガス削減目標を1990年比で55%削減という政策パッケージ「Fit for 55」を策定。このFit for 55に基づいて2035年以降、ハイブリッド車を含むエンジン車の新車販売は実質的に禁止されることとなっていた。乗用車としては、電気自動車か燃料電池車のみの選択になるというわけだ。
また自動車を基幹産業とするドイツも、2035年までの新車販売禁止に対して反対を表明。いま合成燃料を認めなければ新市場での機会損失になると声をあげたことで、欧州委員会は2035年以降にエンジン車を認めないという方針の転換を迫られることになったのだ。
トヨタ自動車のマルチな新戦略
「合成燃料」とは、CO2(二酸化炭素)とH2(水素)から作られる液体燃料。複数の炭化水素化合物の集合体で、化石燃料を由来とするガソリンや軽油などと同じくエネルギー密度が高く“人工的な原油”ともいわれる。最大のメリットとしては現在の内燃機関、そしてガソリンスタンドなどのインフラも含めてそのまま使える、ということ。
現状では、発電所や工場などから排出されたCO2を利用。もうひとつの原料である水素は、製造過程でCO2が排出されることがない再生可能エネルギーを使って調達し、この再エネ由来の水素を用いた合成燃料のことを「e-fuel」と呼んでいる。
そして今シーズンのスーパーGTでは、バイオマス由来のCN燃料が導入される。現在、F1ではバイオエタノールを10%混合したE10燃料が使用されているが、将来的には、再エネ由来の水素を用いたe-fuelの導入に向けて開発が進む。