公道をフォーミュラEが駆け抜ける!
今シーズンもサンパウロ、上海、ロンドン、ベルリン、モナコなどの市街地で行われているが、ようやく日本での開催にこぎつけたというわけだ。
第三世代へと進化したマシンの実力はいかに?
今季で10シーズン目を迎えるフォーミュラEでは、マシンは約10年の歳月をかけて第三世代である「GEN3」に進化している。先代のGEN2と比べ車両重量を大幅に軽量化。最高出力は250kWから350kWにまでパワーアップし、最高速度は時速300km/hを超える。また前後に2基のモーターを搭載し(フロントは回生専用)、最大回生電力は600kWに向上しており、強大な回生ブレーキを発生するためリアに油圧ブレーキは必要ないという。
現行のフォーミュラEのルールでは、新規参戦メーカーの負担を軽減するため、シャシーや空力パーツ、そしてバッテリーなどの独自開発は認めておらず、モーターやトランスミッションなどのパワートレインをのぞけばほぼワンメイク仕様となっている。
それゆえ、新規参入が比較的容易である一方で、メーカーとしては独自技術のアピールの場としては活用しづらいこともあり、メルセデス、BMW、アウディといったドイツ御三家も一度は参戦したものの撤退してしまった経緯がある。主催者サイドとしては、F1のように空力パーツもパワートレインも自由競争にするとコストが高騰してしまい新規参入しづらくなることを懸念しているというわけだ。
ジャガー、ポルシェ、マセラティ、日産も参戦
これらの顔ぶれを見ればわかるように、ジャガーiペイス、ポルシェ タイカン、マカン、 DS3クロスバックE-TENSE、マセラティ グラントゥーリズモフォルゴレ、日産アリア、リーフ、サクラなど、参戦しているすべてのメーカーがすでにEVを市販している。
主催者発表によると最終的に約2万人の観衆が訪れた。サーキットでのレース観戦といえば、とにかく遠方で交通手段はクルマしかなく、そして帰りはほぼ間違いなく渋滞に巻き込まれる。しかし、東京ビックサイトならゆりかもめでも、バスでもタクシーでも都心へすぐにアクセス可能だ。
例えば神宮外苑や東京都庁など、もっと都心を走るアイデアもあったようだが、現実的には警察や自治体、地域住民の理解が得られなければ週末の都心の公道を封鎖してレースを行うのは容易なことではない。ましてや観客スタンドはもちろん、トイレ、イベントスペース、そして世界選手権のようなレースイベントには欠かせないVIPラウンジの設営なども必要になる。
フォーミュラEの今大会でもF1のパドッククラブのような「EMOTION CLUB」と呼ばれるVIPラウンジが用意されており、そうしたもろもろの要素を鑑みれば、東京ビックサイトを活用するというアイデアは現実的だったと思う。
デートにもオススメなEMOTION CLUBとは?
決勝レースは、ポールポジションのオリバー・ローランドと2位につけたマセラティMSGレーシングのマキシミリアン・ギュンターがデッドヒートを繰り広げ、最終的にマセラティのギュンターが勝利。ニッサンのローランドは惜しくも2位となった。
はじめての観戦でも楽しめるのが魅力
「東京E-Prix」は3年契約といわれており、今大会の成功を受けて来年はさらに席数や観客数も増えることになるはずだ。また市販のEVと同様にフォーミュラEもまた進化の過程にあり、おそらく今後は新規メーカーの参入や再参入もあるだろう。エンジン音がないレースなんてつまらないと思い込んでいる人は、ぜひライブでの観戦をおすすめしたい。