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2025.01.22

官能的なのに実用的!? マセラティ・グランカブリオを試乗リポート

F1由来の技術を盛り込んだ3リッターV6エンジンを、余裕あるサイズのボディに搭載し、フルオープンになる電動幌をそなえた4人乗り2ドアクーペ「マセラティ・グランカブリオ」。2024年5月に日本で発売が発表され、評判のモデルをジャーナリスト小川フミオが試乗リポート!

CREDIT :

文/小川フミオ 写真/マセラティジャパン 編集/高橋 大(WEb LEON)

優雅なボディにF1由来の技術を惜しみなく盛り込んだ注目の1台

セラティ・グランカブリオを試乗リポート ノーズと独立したフェンダーのように見えるクラシックなスタイルをうまく表現
▲ ノーズと独立したフェンダーのように見えるクラシックなスタイルをうまく表現。
実用性と官能性、この2つがクルマには大事。と思っているオヤジさんに勧めたいのが、2024年5月に日本で発売が発表された「マセラティ・グランカブリオ」であります。

F1ゆらいの技術を盛り込んだ3リッターV6エンジンを、余裕あるサイズのボディに搭載し、フルオープンになる電動幌をそなえた4人乗り2ドアクーペが、グランカブリオ。

5メートル近い全長を活かして、流麗さを強調したボディスタイルと、目がさめるような性能のエンジン。内装もすてきで、彼女も気に入ることまちがいなし、と太鼓判グルマなのですよ。
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グローバルな視野をもつオヤジさんならご存知のように、とくに欧米では、スペシャルティカーのオープンモデルが好まれる傾向にあります。やっぱり、運転している自分と、いっしょに乗っている彼女を見せびらかしたい、いわゆるショーオフ根性ってやつですか。

もちろん、日本でも、どんどんご自分を見せていただきたい。そんなときのために、LEONでは、オシャレ好きオヤジさんのために、ファッションを追求しているわけです。参考になれば幸いであります。

とくに、ドライビングコートも似合えばジャケットもオーケイ、夏場だったら白いTシャツもすてき、と乗るひととのマッチングにおいて万能選手ぶりを発揮してくれるのが、今回のグランカブリオ。バリバリのスポーツカーとはちょっと違って、セダン感覚で乗れちゃうモデルで、そこが欧米のオヤジさん方の支持を得ているゆえんでありましょう。

グランカブリオに、私が初めて乗れたのは、24年11月。発表からすこし遅れて、ようやくテストドライブさせてもらえる車両が入ってきました。乗ったのは、先述のとおり3リッターV6の「グランカブリオ・トロフェオ」なるトップグレードです。
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いつまでも走らせたくなる官能的な高回転型のエンジン

セラティ・グランカブリオを試乗リポート オープン走行でも風の巻き込みは少なく快適
▲ オープン走行でも風の巻き込みは少なく快適。
乗る前から期待がふくらんでおりました。というのは、同時に開発された屋根ありクーペ「グラントゥーリズモ」は、みごとな出来映えだったからです。サーキットや市街地やワインディングロードと、どんな道でも”こりゃ、いいなあ”と声が出るぐらいの楽しいドライビング体験を与えてくれたモデルなのですよ。

なにがいいって、エンジンがいいんです。最高出力が6500rpmで、最大トルクが6000rpmで出るという、いまどきめずらしい高回転型。アクセルペダルを踏むと、さーっと一気にレッドゾーンめざしてエンジン回転が上がり、ぐいぐいと力が出て、車体がすごい勢いで加速していくのを感じられます。
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セラティ・グランカブリオを試乗リポート 大きくふくらんだリアフェンダーがクラシックなスポーツカー的美を感じさせる
▲ 大きくふくらんだリアフェンダーがクラシックなスポーツカー的美を感じさせる。
考えてみれば、エンジンはいいわけです。なにしろ「MC20」っていう、マセラティが2020年に送り出した、みごとな操縦性をもったスポーツカーにも搭載されているんですから。SUVなんて1750rpmあたりで最大トルクを発生しますけど、エンジンを高回転まで回して走る歓びは、スポーティモデルならではです。

音もいい。乾いた破裂音が響きます。これ、やみつきになりますぞ。むかしはスポーツカーのアクセルワークは、キッチンナイフにとたえられたりしました。足の動きはすばやく、たとえば”ナイフですぱっと、かつトントンッと連続的に切るように”踏みなさい、なんて言われたのを思い出します。

まあでも、ものすごく太いトルクですから、ゆっくり走ってもなんの問題もありません。ハンドルを切ったときの操舵感覚は、やたらスポーティで神経質で乗り手は気をつかう、なんてこともありません。電子制御ダンパーを使ったサスペンションシステムのおかげで、乗り心地は快適であります。
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マセラティらしい唯一無二のラグジュアリーな内装も進化

セラティ・グランカブリオを試乗リポート 均整のあるプロポーションが大きな魅力
▲ 均整のあるプロポーションが大きな魅力。
内装のよさをひとことで表現するとしたら、デザインにおける独自の世界観がおみごと、となるでしょうか。アイボリーとか赤とか、幌を開けたときに、周囲がはっと息を呑むような色づかい。それにヘッドレストレイント(ヘッドレスト)を組み込んだシートの美しい造型も、他社とは一線を画しています。

モニタースクリーンでの操作を多くしたコントロール類、プッシュボタン式のギアセレクター、さまざまな運転支援システムと、車内の娯楽のためのインフォテイメントシステムの充実。マセラティのスポーティSUV、グレカーレとも共通する最新のデザインランゲージが採用されているんですね。

ユニークなのは、電動開閉式ソフトトップの開閉は、ダッシュボード内のコントロールパネルで行うこと。画面内のクルマの画像の幌のあたりをスワイプすることで、開閉装置は作動します。時速50km以下なら14秒で開閉可能であります。
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セラティ・グランカブリオを試乗リポート 電動トップを開けたとき周囲がどきっとするような美しい室内
▲ 電動トップを開けたとき周囲がどきっとするような美しい室内。
ソフトトップの色は、標準で5色用意されるとのこと。車体色、内装色と合わせて選ぶといいでしょう。個人的には、全高を1410mm(幌を閉めた状態)に抑えて、車体の流麗さを追求したのがデザイナーの意図と勝手に考え、そうなると、黒が最適かなあと思っております。

黒のトップ(幌)とは、いわば、英国の紳士傘が基本は黒、というのと近いのです。英国紳士は、多少の雨なら傘をささず、どうしてもささなくてはならないときは黒の傘。歌舞伎の黒子みたいなものと私は勝手に思ってますが、存在していないんですよ、と言いたいわけす。ドロップヘッドクーペの幌が黒だったのも、同じ理由でしょう。

マセラティ・グランカブリオのよさは、ちょっとクラシカルな男の世界観に通じるところでしょうか。もちろん、そのなかには、意中のあのコを口説いちゃおうというヨコシマな動機が含まれていてもいいんです。なにしろ、それがメンズ・メンズ・ワールドですから。あ、もちろん、女性が乗ってもサマになります。
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セラティ・グランカブリオを試乗リポート 時速50キロまでは走行中に幌の開閉が可能
▲ 時速50キロまでは走行中に幌の開閉が可能。
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■ Maserati GranCabrio Trofeo

全長×全幅×全高:4960×1950×1380mm
ホイールベース:2929mm
2992ccV型6気筒 後輪駆動
最高出力:404kW(550ps)@6500rpm
最大トルク:650Nm@6000rpm
8段オートマチック変速機
車重:1970kg
価格:3120万円

■ マセラティ・ジャパン
HP/https://www.maserati.com/jp/ja

● 小川フミオ

クルマ雑誌、グルメ雑誌の編集長を経て、フリーランスのライフスタイルジャーナリストとして活躍中。新車の試乗記などクルマ関連を中心に、グルメ、ファッション(ときどき)、他分野のプロダクト、人物インタビューなどさまざまなジャンルの記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。

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