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2025.02.05

ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート。世界最高のラグジュアリーカーはいかに進化したのか?

運転してもかなり楽しめる最高峰セダン、ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズ」が「ゴースト・シリーズⅡ」に進化。その全貌をジャーナリスト小川フミオがリポートします。

BY :

文/小川フミオ(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

写真/Rolls-Royce Motor Cars 編集/高橋 大(Web LEON)

どこでも優雅な気分を味わえる極上の乗り味

ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート 地上を飛んでいるかのような乗り心地をめざしたという「プラナー」サスペンション装備。
▲ 地上を飛んでいるかのような乗り心地をめざしたという「プラナー」サスペンション装備。
ロールス・ロイスが運転してもかなり楽しめるセダン「ゴースト・シリーズⅡ」を2024年10月にグローバルで発表しました。SUVについ目がいきがちなオヤジさんに、おとなの色気があるクルマはコレ、とお伝えしたい出来映えです。

ゴースト・シリーズⅡ(以下・ゴーストSII)のメディア向け試乗会が開かれたのは、24年11月の南仏エグザンプロバンスであります。戦前から英国人お気に入りのリゾートだけあって、風景はきれい、食事はうまい、ホテルも豪勢なものがいろいろあったりして、ぜいたく好きのオヤジさんにはぴったりの土地です。
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ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート フロントマスクは「クリーンで現代的なデザイン」(RR)に変更。
▲ フロントマスクは「クリーンで現代的なデザイン」(RR)に変更。
ロールス・ロイスの創始者のひとり、サー・フレデリック・ヘンリー・ロイスも、冬も温暖な気候の南仏を愛したひとり。そんなロールス・ロイスゆかりの土地で、波のおだやかな地中海を横目で見ながら、ゴーストSIIでのドライブは、まさに優雅そのものでありました。

ゴーストSIIのよさは、南仏でなくても、どこでも優雅な気分を味わえるところにある、といってもいいかもです。エフォートレスと呼ばれる、不要な力のいらない操作系や、マジック・カーペットにたとえられるふわりと段差を超えていく乗り心地のよさや、圧倒的な静けさ。加えて、質感の高さは、群を抜いています。
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シンプルかつモダンに進化!

ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート スペクターからインスピレーションを得たというリアコンビネーションランプが特徴的。
▲ スペクターからインスピレーションを得たというリアコンビネーションランプが特徴的。
シリーズ2における主要な変更点は、内外装と、新世代のOS(オペレーティングシステム)にあります。

外観上の変更は、まずフロントマスク。「モダンな存在感は、刷新されたヘッドライトとデイタイム・ランニングライトのグラフィックに表れており、グリル下部からフロント・ウイングのエッジへと流れ、2148mmのゆったりとした車幅が強調されています」とされています。
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南仏で出合ったエクステリア・デザインのサイモン・ヘインズ氏によると、ゴーストSIIは「よりシンプルで、それゆえの凝縮感を強調した」とのことでした。シンプルとはいえ、ロールス・ロイスの最大の特徴であるパンテオン・グリルは強烈な存在感。スイッチでここに照明が灯るのは見ものであります。
ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート マスコットとグリルがブラック仕上げになり専用エアダムをそなえスポーティな印象のブラックバッジ・ゴースト・シリーズⅡ。
▲ マスコットとグリルがブラック仕上げになり専用エアダムをそなえスポーティな印象のブラックバッジ・ゴースト・シリーズⅡ。
リアコンビネーションランプは、23年に発表されたスペクターと共通する意匠。これも若々しい印象です。ロードホイールは22インチにサイズアップして、躍動感が強調されています。
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内装は、基本的にフルに近いオーダーで注文することになります。ここはオヤジさんのセンスの見せどころ。セミオーダーに近いかたちで「デュアリティ・ツイル」と名付けられた、かなりファッション性の高いレーヨンのシート生地が用意されています。

インフォテイメントシステムは、スペクターとカリナンに続いて新世代のOS「スピリット」によるもの。計器盤の照明の色を変えられたりと、カスタマイズが可能です、ただしそこはロールス・ロイス、あえて劇的な照明演出はねらっていないようです。

ラグジュアリー&スポーティな内装も進化!

ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート ドライバーズカーとして購入されているだけあってスポーティな仕様も用意。
▲ ドライバーズカーとして人気というだけあってスポーティな仕様も用意。
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エンタテインメントおよびコネクティビティも大幅にアップグレードされていて、後部座席には、2台のストリーミング・デバイスを接続し、左右独立したスクリーンでエンタテインメントを楽しむことが出来ます。

といっても、ゴーストSIIの最大の魅力はドライブの楽しさにあります。そもそも、2020年に登場したいまのゴーストはそれまでのロールス・ロイスとは明らかに一線を画す、ドライバーズカーとしての完成度の高さにビックリさせられたものです。

サイズを感じさせない軽やかな身のこなし

ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート ゴーストでは初めてデュアリティツイルも選択可能。
▲ ゴーストでは初めてデュアリティツイルも選択可能。
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くねくね道もなんのその。むしろ、ワインディングロードを走るのが楽しい。ハンドル操作をする時車体が遅れなく動いてくれる感覚といい、路面の荒れなどほとんど感じさせない快適さをもちつつ、カーブでは車体が傾きすぎたり、逆にサスペンションが突っ張りすぎたりしないように、うまく調整してくれます。

余裕あるサイズの車体ですが、カーブをすいすいと気持ちよく走り抜けていけます。加速にももたもた感がなく、凪いだ水面を快走していくキャラクターを、ロールス・ロイスでは「ワフタビリティ」という造語で表現しています。クルマでは実現がむずかしい、すいーっと気持ちよく”漂う(ワフト)”な感覚がセリングポイントなのです。
ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート ダッシュボードにはスピリット・オブ・エクスタシーがおさまった「クロックギャラリー」を設置。
▲ ダッシュボードにはスピリット・オブ・エクスタシーがおさまった「クロック・キャビネット」を設置。
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南仏エグザンプロバンス周辺の道は、山道も村の中の道も、幅員がかなりかぎられています。対向車が来ると、うまくすれちがえるかってドキッとするぐらいです。そんなときも、ゴーストSIIは、ハンドルを切ったとおりに車体が向きを変える正確な動きのおかげで、よけようと思えば、路側帯ぎりぎりまで寄せられるのですよ。

余裕あるサイズの車体には正確なステアリング。この黄金律が、きちんと守られて作られている。ゴーストSIIは、オヤジさんの頼りになるクルマであります。
ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート エクテンデッドホイールベースは3465mmのホイールベースに全長5715mmのボディ搭載。
▲ エクテンデッドホイールベースは3465mmのホイールベースに全長5715mmのボディ搭載。
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今回は同時に、「ブラック・バッジ・ゴースト・シリーズ Ⅱ」が発表されました。「これまでで最もパワフルで、ドライバーにフォーカスしたV12エンジンを搭載したロールス・ロイス」(ロールス・ロイス・モーター・カーズ最高経営責任者 クリス・ブラウンリッジ氏)とされる、より運転の楽しさを追求したモデルであります。

外観上の特徴は、スピリット・オブ・エクスタシー(グリルの有名なマスコット)、パンテオン・グリル、そして側面のバッジ・オブ・オナーをブラッククローム仕上げにしているところ。ブラックバッジ・ゴースト・シリーズでは初めて、ドアオープナーハンドルにもブラックフィニッシュが施されました。

まるでプライベートジェットのキャビン!?

ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート エクテンデッドホイールベースの広ーい後席空間。
▲ エクテンデッドホイールベースの広ーい後席空間。
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ゴーストSIIと比較して、最高出力で30kW高く(ゴーストは420kW)、最大トルクでは50Nm太く(同850Nm)なっています。さらにそれだけではないのです。シフトレバーに「LOW」と書かれたボタンが設けられていて、走行中にそれを押すと、ギアの変速タイミングが遅くなり、より力強い印象の走りが味わえるようになります。

ちょっとアクセルペダルを踏むと、ぐわっと加速。え、ロールス・ロイスっておとなしいイメージがあったんだけど、と驚くかもしれません。エアサスペンションシステムは、速度が上がってもしっかり働いてくれますし、ブレーキは強力ですから、スポーツカーと追っかけっこしても負けないかもしれませんよ。

さらに、ゴーストSIIに、「ゴースト・エクステンデッド・シリーズⅡ」なるロングホイールベース版も設定されました。後席用ドアの幅を拡げるとともにドア開口部を拡張したモデルで、後席空間がより拡大しています。
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ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート ほとんどフルオーダーでさまざまな仕様を用意。
▲ ほとんどフルオーダーでさまざまな仕様を用意。
「プライベートジェットのキャビンを想起させる」とロールス・ロイスが言うリクライニング式の「セレニティシート」を選ぶことができます。後席シートの中央部にはシャンパン・クーラーの設置も可能。クーラーの設定温度は6度C(低い)と11度Cと2つ用意されています。

「ロールス・ロイスのスペシャリストがマスター・ソムリエに相談したところ、ノンビンテージのシャンパーニュの最適な提供温度は平均 11℃、ビンテージのあるシャンパーニュの場合は概ね6℃とのこと。このアドバイスを受け、クーラーは6℃と11℃の 種類の冷却モードで作動します」
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ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート ヘッドランプの意匠変更で印象はかなりスポーティ。
▲ ヘッドランプの意匠変更で印象はかなりスポーティ。
ガラス製のワイングラスも2脚用意されていて、これでワインをすすりながら、ふわりと漂うような快適な乗り心地とともに、後席にいられるのは極上のもてなしではないですか。

ただし、ロールス・ロイスによると、たとえホイールベースが長いエクステンデッド・シリーズであっても、多くのオーナーはみずからハンドルを握ってドライブすることを選ぶとのこと。後席はパートナーとの特別な時のためにとっておいておいてくださいませ。
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■ Rolls-Royce Ghost Seris Ⅱ

全長×全幅×全高/5545×1998×1573mm
ホイールベース/3295mm
6750ccV型12気筒 全輪駆動
最高出力/420kW(571ps)@5000〜6000rpm
最大トルク/850Nm@1600〜4250rpm
8段オートマチック変速機
車重/2490kg
価格/3875万4040円(ベース価格)

ロールス・ロイス・モーター・カーズ
HP/https://www.rolls-roycemotorcars.com/ja_JP/

● 小川フミオ

クルマ雑誌、グルメ雑誌の編集長を経て、フリーランスのライフスタイルジャーナリストとして活躍中。新車の試乗記などクルマ関連を中心に、グルメ、ファッション(ときどき)、他分野のプロダクト、人物インタビューなどさまざまなジャンルの記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。

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