2025.02.05
ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズⅡ」試乗リポート。世界最高のラグジュアリーカーはいかに進化したのか?
運転してもかなり楽しめる最高峰セダン、ロールス・ロイス「ゴースト・シリーズ」が「ゴースト・シリーズⅡ」に進化。その全貌をジャーナリスト小川フミオがリポートします。
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写真/Rolls-Royce Motor Cars 編集/高橋 大(Web LEON)
どこでも優雅な気分を味わえる極上の乗り味

ゴースト・シリーズⅡ(以下・ゴーストSII)のメディア向け試乗会が開かれたのは、24年11月の南仏エグザンプロバンスであります。戦前から英国人お気に入りのリゾートだけあって、風景はきれい、食事はうまい、ホテルも豪勢なものがいろいろあったりして、ぜいたく好きのオヤジさんにはぴったりの土地です。

ゴーストSIIのよさは、南仏でなくても、どこでも優雅な気分を味わえるところにある、といってもいいかもです。エフォートレスと呼ばれる、不要な力のいらない操作系や、マジック・カーペットにたとえられるふわりと段差を超えていく乗り心地のよさや、圧倒的な静けさ。加えて、質感の高さは、群を抜いています。
シンプルかつモダンに進化!

外観上の変更は、まずフロントマスク。「モダンな存在感は、刷新されたヘッドライトとデイタイム・ランニングライトのグラフィックに表れており、グリル下部からフロント・ウイングのエッジへと流れ、2148mmのゆったりとした車幅が強調されています」とされています。

インフォテイメントシステムは、スペクターとカリナンに続いて新世代のOS「スピリット」によるもの。計器盤の照明の色を変えられたりと、カスタマイズが可能です、ただしそこはロールス・ロイス、あえて劇的な照明演出はねらっていないようです。
ラグジュアリー&スポーティな内装も進化!

といっても、ゴーストSIIの最大の魅力はドライブの楽しさにあります。そもそも、2020年に登場したいまのゴーストはそれまでのロールス・ロイスとは明らかに一線を画す、ドライバーズカーとしての完成度の高さにビックリさせられたものです。
サイズを感じさせない軽やかな身のこなし

余裕あるサイズの車体ですが、カーブをすいすいと気持ちよく走り抜けていけます。加速にももたもた感がなく、凪いだ水面を快走していくキャラクターを、ロールス・ロイスでは「ワフタビリティ」という造語で表現しています。クルマでは実現がむずかしい、すいーっと気持ちよく”漂う(ワフト)”な感覚がセリングポイントなのです。

余裕あるサイズの車体には正確なステアリング。この黄金律が、きちんと守られて作られている。ゴーストSIIは、オヤジさんの頼りになるクルマであります。

外観上の特徴は、スピリット・オブ・エクスタシー(グリルの有名なマスコット)、パンテオン・グリル、そして側面のバッジ・オブ・オナーをブラッククローム仕上げにしているところ。ブラックバッジ・ゴースト・シリーズでは初めて、ドアオープナーハンドルにもブラックフィニッシュが施されました。
まるでプライベートジェットのキャビン!?

ちょっとアクセルペダルを踏むと、ぐわっと加速。え、ロールス・ロイスっておとなしいイメージがあったんだけど、と驚くかもしれません。エアサスペンションシステムは、速度が上がってもしっかり働いてくれますし、ブレーキは強力ですから、スポーツカーと追っかけっこしても負けないかもしれませんよ。
さらに、ゴーストSIIに、「ゴースト・エクステンデッド・シリーズⅡ」なるロングホイールベース版も設定されました。後席用ドアの幅を拡げるとともにドア開口部を拡張したモデルで、後席空間がより拡大しています。

「ロールス・ロイスのスペシャリストがマスター・ソムリエに相談したところ、ノンビンテージのシャンパーニュの最適な提供温度は平均 11℃、ビンテージのあるシャンパーニュの場合は概ね6℃とのこと。このアドバイスを受け、クーラーは6℃と11℃の 種類の冷却モードで作動します」

ただし、ロールス・ロイスによると、たとえホイールベースが長いエクステンデッド・シリーズであっても、多くのオーナーはみずからハンドルを握ってドライブすることを選ぶとのこと。後席はパートナーとの特別な時のためにとっておいておいてくださいませ。
■ Rolls-Royce Ghost Seris Ⅱ
全長×全幅×全高/5545×1998×1573mm
ホイールベース/3295mm
6750ccV型12気筒 全輪駆動
最高出力/420kW(571ps)@5000〜6000rpm
最大トルク/850Nm@1600〜4250rpm
8段オートマチック変速機
車重/2490kg
価格/3875万4040円(ベース価格)
■ ロールス・ロイス・モーター・カーズ
HP/https://www.rolls-roycemotorcars.com/ja_JP/
● 小川フミオ
クルマ雑誌、グルメ雑誌の編集長を経て、フリーランスのライフスタイルジャーナリストとして活躍中。新車の試乗記などクルマ関連を中心に、グルメ、ファッション(ときどき)、他分野のプロダクト、人物インタビューなどさまざまなジャンルの記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。