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2025.04.13

「マツダ CX-60」はルックスも、走りも、乗り味もすべてが心地良く、魅力的なクルマになった

今回のマイナーチェンジ前のCX-60には、走り味、乗り味について多くの注文があったという筆者が「マツダ CX-60 XD SP」に試乗。気になった部分はことごとく解消され、乗って、走って気持ちの良い素晴らしいクルマになったといいます。

BY :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第255回

「マツダ CX-60 XD SP」が、とても気に入りました‼

イラスト 溝呂木 マツダ CX-60 XD SP
マイナーチェンジを受けた、ミッドサイズのクロスオーバー SUV、「マツダ CX-60」の新グレード、「XD-SP」に試乗した。

CX-60のバリエーションは豊富だが、「XD-SP」は、魅力的な直列6気筒ディーゼルエンジンを積んだ、手軽な価格の2WDモデル。

2.5ℓ4気筒ガソリン エンジンと大容量バッテリー+大型モーター、そして4WDを組みあわせた最上位モデルの価格は646万2500円。

それに対して「XD-SP」は418万円。200万円以上安価でずっと手は出しやすい。
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かといって、見た目の安っぽさなど感じさせない。ホイールは20インチのアルミを履き、外装にはブラックを多用して、精悍でスポーティな表情に仕上げている。

ボディカラー単体では、赤に近いワインレッドが僕にはいちばん魅力的に見える。理由は、光の変化と共に、変わってゆく表情の繊細な移ろいに、強く惹かれるからだ。

直列6気筒ディーゼルエンジンを縦に置いた長めのエンジンフード、心地良いスピード感をイメージさせるプロポーション、ほぼクルマの中心付近に位置するドライバーのポジション、鍛え抜かれた腹筋を連想させるような鋭いボディサイドの造形、、、XC-60の姿は、僕の目にはとても魅力的に映る。

加えて、「インテリジェンスなイメージ」をも抱かせるが、ここが、もっとも大きな魅力のポイントのように僕は感じている。

上記のように「色味」だけなら、ワインレッドがいちばん魅力的に見える。だが、乗るときの装いとのコーディネーションは難しいかな、、といった点では少し腰が引ける。
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もう一つ、僕が好きなのは、ディープクリスタルブルーマイカ。大人のオシャレには、もっとも馴染むように思えるからだ。この色を、質の高いクリアコートで仕上げたら、きっと素晴らしい答えが引き出せるだろう。

このボディカラーなら、内装は白のレザーがバッチリ。そして例えば、、しなやかな素材の白のシャツに紺系のスポーティなジャケット、明るめのグレーの細身のパンツといったコーディネートで乗れば「決まり‼!」だ。

靴は、上質な革と仕立ての、細身でシンプルなローカットブーツ辺りで、、ちょっと遊ぶのもいいかも知れない。

仕立ての良いダークスーツと、上質なオックスフォードシューズのコンビネーションで、ビジネスの場に乗り付けるのもいい。

落ち着いたボディカラーなら、CX-60は、ビジネスシーンにも違和感なく溶け込める。
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CX-60のデザインの魅力はエクステリアだけに留まらない。インテリアもまた魅力的だ。

奇を衒わず、無理に新しさを追わず、オーソドックスな手法でそれを達成しているのがいい。なので、長く乗っても飽きないはずだ。

レザーをふんだんに使った上級モデルはもちろんだが、僕は樹脂と布で纏めた下位モデルもけっこう気に入っている。贅沢さはないにしても、安っぽさもない。それに、スポーティな雰囲気がいい感じで演出されている。

試乗したXD-SPには、メーカーセットオプションで「セーフティ&シースルービューパッケージ」(15万4000円)が組み込まれていたが、僕は必ずオーダーする。安全性と快適な運転に必要なものが揃っているからだ。

今回のマイナーチェンジ前のCX-60は、パッケージングやデザインについての注文はほとんどなかったが、走り味、乗り味については多くの注文があり、明らかに「完成途上」と言わざるをえない状態だった。
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ひと言で言って、走り味にも、乗り味にも粗さが目立ち、静粛性面でも、解決すべき課題が多く残っていた。

スタイリッシュで、インテリジェンスを強く感じさせる姿佇まいとは裏腹な粗さを、あちこちに残していたのだ。

改良前のCX-60全体に言えたことだが、ちょっと粗い舗装に出会った時のロードノイズはかなり耳ざわりなもので、路面の不整にも敏感に反応した。それもかなり粗く角の立った感触の反応だった。

少々甘く見ても、「プレミアム セグメント」のクルマに許容されるレベルではなかった。

トルコンレス8速ATにしても、その作動には粗さがあり、多段化による滑らかさを期待した人を大いに失望させたに違いない。

しかし、今回乗ったXD-SPの8速ATは期待通りに、素早く滑らかに作動してくれた。力強くスムースな直列6気筒ディーゼルエンジンの力と魅力をしっかり引き出してくれた。
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ここからは「XD-SP」の走りのあれこれに話を進めるが、ひと言で言えば「僕はとても気に入った!」。

3,3ℓの「水冷直列6気筒 DOHC24バルブ ディーゼル直噴ターボ」エンジンは、トップエンドまで滑らかに回り、パワフルでもある。

「トップエンドまで滑らかに」と言ったが、その滑らかさは半端なものではない。加えて透明度が高く、耳に、心に、心地良く響く快音をも響かせながら回るのだ。

加速は「滑らかで心地良く速い!」といった表現がいちばん適切かと思う。ほんとうに気持ちがいい。なので、ついつい、無駄なシフトダウンをして加速を楽しんでしまう。

最高出力は231ps/4000~4200rpm、最大トルクは51.0kgm/1500~3000rpmと強力で、発進をサポートするモーターはない。でも発進は滑らで力強く心地良い。

ハイブリッドモデルより130kg軽量である点も優位だし、XD-SPがFRであるため、リアを沈めながら押し出すような発進時の感覚もプラスをもたらしている可能性がある。
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レッドラインは5000プラスだが、回転計を見ていなければ6500rpm辺りまで気持ち良く回り、加速しているような感覚すら受ける。

改良前のモデルのハンドリングは、切り始めの反応に曖昧さがあり、軽快感に物足りなさがあったが、それも改善されている。

ただし、XD-SPの、しっとり感のない、少し滑り気味な革のステアリングホイールは要改良と報告しておく。

改良前には気になった、コーナーを深く追い込んでいったときの腰砕け的現象もほとんどなくなっている。

とにかくXD-SPは乗っていて気持ちがよく、走っていて気持ちがいい。

XD-SPのオプションを増やし、好みの装いと装備を注文できるようにしてほしい。本革の内装の様な贅沢品などなくても良いが、例えばアップルウォッチのようなモダンな装いのオプションがあったらいいなと思う。
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僕が思うCX-60のいちばんの魅力は、オーソドックスだが、美しさとインテリジェンスを感じさせるデザインと、直列6気筒のターボ ディーゼルエンジンにある。

僕の感覚、あるいは価値観で捉えたCX-60は、単に見た目がカッコいいだけでなく、知的側面から見てのカッコよさもある。

それは、すでに話したとおり、デザイン面にもあり、エンジニアリング面にもある。

4740×1890×1685mmのスリーサイズは、明らかに輸出を中心に開発されたことを示すが、それを受け入れられるバックグラウンドをもつ人には、一見の、いや必見の価値ありと思う。

オーソドックスながら、美しさとインテリジェンスを漂わせるエクステリアとインテリアには、シンプルで上質なものに心を惹かれるような人を振り向かせる力があるはずだ。
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それは、「これでもか‼」とクロームで飾り立てるようなクルマを好む人とは、対照的な価値観をもつ人と言っても良いだろう。

上質な回転感と耳にも心にも心地良い音、そして滑らかで力強く伸びやかな走りをもたらす直列6気筒ターボ ディーゼルエンジンにもまた同様なことが言える。

滑らかさを身に付けたトルコンレス8速ATとのコンビネーションも上々だ。

CX-60は、ルックスにも、走り味にも、乗り味にも、心地良さをもたらしはしても、過剰さを感じさせるところはない。

いつも気負うことなどなく、自然体で付き合え、それでいて、幅広いゾーンで満足感をもたらしてくれる。

そして、今回ピックアップした、ディーゼルのベーシックモデルであるXD-SPまでが、大いなる魅力を身に付けていることがなんともうれしい。
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もし、CX-60のディーゼルモデルに興味を持ったら、上級モデルだけでなく、ベーシックなXD-SPにも、ぜひ触れてみてほしい。

そうすれば、基本的な実力と魅力がわかるはずだし、僕がXD-SPに強く惹かれていることをも、わかっていただけるはずだ。
岡崎宏司(自動車ジャーナリスト)
1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。
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