ホワイトマウンテニアリングの相澤陽介氏がデザイナーに!
トヨペット店は全部で4つあるトヨタ系列販売チャネルのひとつで、ハリアーやアルファード、マークXなどを取り扱う販売店。そこでクルマの点検・整備にあたるメカニックたちのウェアを、LEONプロデュースのもと、新世代デザインへと一新することに。
そのデザインをお願いしたのは、『ホワイトマウンテニアリング』のデザイナー、相澤陽介氏。類い稀なる感度の高さに加え、ワークウェアやスポーツウェアへの造詣も深く、なおかつモンクレールやバートン、アディダスといった世界的なブランドとのコラボレーションワークを数多く手掛ける、相澤氏なら適任と、編集長前田が推薦したのでした。
というわけで、この一大プロジェクトの模様を、全4回に渡りシリーズでお届けします!
デザイナー相澤陽介氏がメカニックスーツの現場を視察
メカニックスーツは機能性を重視する服である以上、それを着る人の意見を聞かなければ始まらない、というわけです。
ちなみに、現在のメカニックスーツは白地にトヨペット店のチャネルカラーであるグリーンをアクセントにしたデザイン。ゆえに「汚れが気になる」という意見も多数。もちろん白には“汚れが分かる”という機能的メリットがあることはみな分かった上での訴え。
さらに、「メカニックスーツを着たままで接客をする」ことがあることも判明。
印象的だったのは、高い技能を備えたメカニックにだけ与えられるトップクルーの称号は、みなの憧れであり、トップクルー自身もその称号に誇りと責任を感じていたこと。
そこで、例えばトップクルー専用のメカニックスーツが用意されていたらどうか? と提案すると、一様に好感触でした。
興味深かったのは、機能性が変わらなければメカニックスーツが格好いいことはモチベーションの向上に繋がる、と多くの人が考えていること。とりわけ若いメカニックたちは就職先を決める際のポイントにさえなるそう。
核となる方向性を探る。キーワードは“見られる作業着”
そうして出てきたキーワードは“見られる作業着”。その後、トヨタ自動車サイドとも打ち合わせをおこなった後、向かうべき方向性はさらに絞り込まれ、レースに携わるピットクルーをイメージした“格好いいメカニックたち”をひとつの理想形とすることに。
そこから導き出されたコンセプトは「チーム感があること」、「プロフェッショナル感があること」、そして「メカニックとしての誇りを持てること」の3本。
いずれも世界一のクルマを扱う販売店のメカニックにふさわしい要素。そうしてプロジェクトは本格的に動き始めたのでした。
新メカニックスーツのデザイン案が完成。提案へ
相澤氏はイワタフクソー(株)との打ち合わせで、機能面における必須要素と自由度のある箇所も確認済み。例えば、メカニックスーツの前面にはジッパーやボタンを含めた一切の突起物があってはならないこと、ポケットは汗をかいても中身が濡れにくいようパッチポケット(外側から貼り付けたポケット)でなければならないこと、ヒップポケットにはキャップを折り畳んで入れることができるサイズを確保すること、などなど。
提案した瞬間、会議室の温度がぐっと上がるほどの盛り上がりを見せた、メカニックスーツのデザイン。さてさてどんなモノだったのか?! についてはまた次回!
【Vol.2】相澤陽介氏と前田陽一郎が語る理想のデザインとは?
【Vol.3】生産の現場へ潜入!驚きのそのクオリティとは?
【Vol.4】新メカニックスーツがついに完成! その全貌とは?
● 相澤陽介(ホワイトマウンテニアリング デザイナー)
1977年生まれ。多摩美術大学染織科を卒業後、コム・デ・ギャルソンを経て、2006年にホワイトマウンテニアリングを設立する。これまで「モンクレール」、「バートン」、「バブアー」といった世界的なブランドでスペシャルラインのディレクションを担当したほか、「ホワイトマウンテニアリング」と「アディダス オリジナルス」とのカプセルコレクションを発表。2018年春夏シーズンには「ハンティング・ワールド」のクリエイティブディレクターに就任。