話題の「MAANA KIYOMIZU」で、暮らすように京都を旅しよう

LEON.JP食いしん坊担当の秋山都です。

パンデミックによりリモート化が進み、日本、いえ世界のどこにいてもある程度の仕事がこなせるようになりました。私自身は2020年春にベトナムへ旅して以来、海外へは渡航していませんが、その分、国内での移動は比較的多かった。北は北海道から、南は沖縄まで旅をしながら仕事をしてきて、今思うのは「旅」ということの概念自体が変化してきたのでは、ということです。

以前の「旅」は、「非日常」でした。その旅のために数日寝不足になりながら仕事を終わらせ、晴れ晴れとした気分で旅立ったものです。でも、今の「旅」は日常の延長に過ぎない、言わば「亜日常」*。旅支度にPCとケーブル、その時々の資料や書類は欠かせず、ホテルを選ぶときも部屋からの眺望などは気にしません。まずチェックするのはPC作業ができるデスクはあるか、そしてもちろんWi-Fi環境は整っているか、です。

そんな"亜日常"の旅にぴったりの滞在先が2022年夏に開業していた、「MAANA KIYOMIZU(マーナ清水）」。京都国立博物館や三十三間堂にほど近い閑静な住宅街に佇む宿です。一棟貸しなので、一夜の宿というより、束の間京都に住んでいるような気分を味わえるゲストハウスでした。

「MAANA KIYOMIZU」は、築100年の京町家をリノベーションした３棟のスイートと、フロントとしての機能を併せもつ和小物のセレクトシップ「POJ STUDIO」、喫茶や軽食を楽しめる「喫茶喜心」から成る複合施設。では実際に私が滞在したSuite02をご紹介しましょう。

コンセプトは「古の京都と現代を繋ぐ」。京町家のリノベーションで知られてる魚谷繁礼氏がデザインを手掛けたそうで、決して広くはないのですが光と風を巧みに取り込み、狭さ苦しさは感じません。漆喰の壁に自然光が差し込み、美しい影を織りなす様は、いつか滞在したモロッコのリヤド（伝統的な宿泊施設）を思わせました。非常に日本的なんだけれど、同時に普遍的な美しさをもつという、なんかコスモポリタンな空間です。

細長い京町家には坪庭がつきものですが、「MAANA KIYOMIZU」のバスルームにもシンプルなインドアガーデンを発見。信楽焼のバスタブにたっぷりとお湯を張り、小さく切り取られた空を眺めていたら、「ああ京都にいるんだなぁ」と旅情がこみあげてきました。

寝室は階段を上がって2階。クイーンサイズのベッドを独り占めにできることがうれしくて早寝しましたが、夜半に屋根を叩く雨の音で目が覚めました。ゲリラ豪雨⁉ と驚いて窓を開けて外を見たら、降っていたのはごく普通の雨（笑）。長年のマンション暮らしで自然を身近に感じることを忘れていたようです。

一夜明けて、隣の「喫茶喜心」に朝食を食べに出かけました。たっぷりの野菜サラダと出来たてのオムレツ、スープと糀パン、コーヒーというラインナップ。私的にはパーフェクトでした。京都のお宿ですと、和朝食を勧められることが多いのですが、朝からごはん食べちゃうと眠くなっちゃうので、私。食べたらまたお仕事しないと。

コロナには多くの人が苦しめられていますが、こうして日本の、いえ世界のどこにいても仕事ができる環境が整いつつあるのはひとつの進化だと言えるでしょう。私は日本に生まれ育った日本人だけれど、その前にコスモポリタン。これからどこに住み、どこで仕事をするのか、すべては自分次第であり、まだまだ多くの可能性が残されてるなぁ……なんて、いつになく前向きになった京都への旅でした。

● 京都のお茶屋さんで芸舞妓さんと遊ぶってどういうこと？