2023.07.07

チャクラが開く!? 究極のラム肉料理とは?

世界中でご馳走肉として愛されているのに、日本ではイマイチマイナーなクセものとして食卓に上ることも少ない羊肉。でも、とりわけラム肉の美味しさは食通なら皆ご存知のはず。というわけで、この度はアイルランド産の絶品ラム肉をいただきに広尾の名イタリアン「ラ・ビスボッチャ」に伺ってきました。

CREDIT :

文・写真/森本 泉(LEON.JP)

ラ・ビスボッチャ LEON.JP
肉好きを自認する人は多くても、「特に羊が大好きで」という日本人はあまり見かけません。ジンギスカンしか食べたことのない人も多いのでは? けれどひとたび世界に目を向ければ宗教的な理由で豚肉や牛肉を食べない人たちにとって、美味しい肉と言えば羊。ヨーロッパや中国でも羊肉はかなりポピュラーで、世界的には牛肉よりも羊肉を食べる地域の方が多いとされているのです。

なかでもラム肉(生後1年未満の仔羊の肉)はクセがなく、肉質が柔らかで栄養分も豊富とあって世界中で人気が高い。その美味さは折り紙付きで、かの井之頭五郎氏も某羊肉料理店で幾つものラム肉料理を平らげた際には「今日は俺の味覚のチャクラが次々に開かれていくようだ」と最大級の賛辞を贈っています。果たして五郎氏のチャクラを開かせたラム肉の味わいとはどんなものだったのか? 興味は尽きません。

と、前置きが長くなりましたが、そんな美味さの予感しかないラム肉、それもアイルランドの豊かな自然の中、良質な牧草を食べて育った「アイリッシュ グラスフェッド」と呼ばれるラム肉が食べられるという話を聞きつけ、広尾にあるイタリアンの名店「ラ・ビスボッチャ」を訪れたのであります。
※実はこちら、7/29(土)にLEONがディナーイベントを開催するレストランでもありますのでぜひ参加をご検討くださいませ。
ラ・ビスボッチャ LEON.JP
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招待してくれたのはアイルランド政府食糧庁(BORD BIA)。アイルランドと言えば国土の85%が牧草地というヨーロッパでも有数の畜産国。アイリッシュ ビーフが有名ですが、実は近年、羊肉の輸出にも力を入れているそう。とりわけまだ日本では知る人の少ないアイリッシュ ラムの美味しさを広めたいということで、その伝道師役を買って出たのが「ラ・ビスボッチャ」の井上裕基料理長という次第。
ラ・ビスボッチャ LEON.JP

井上裕基(いのうえ・ゆうき)

1985年、三重県熊野市生まれ。高校時代はラグビー部で活躍。辻調理師専門学校卒。その後、辻調理イタリア料理技術所卒。2006年、恵比寿のイタリアンレストラン「イル・ボッカローネ」に就職。2009年、広尾のイタリアンレストラン「ラ・ビスボッチャ」で勤務。2013年、「ラ・ビスボッチャ」料理長に就任。趣味は園芸やロードバイク、ラグビー観戦など。園芸は店舗装飾に生かしている。

井上シェフはイタリアでラム肉の美味さに目覚め、日本でも折に触れてその魅力を伝えてきた方。現在はグランド・メニューにアイリッシュ グラスフェッドラムの炭火焼きと猟師風の2つのメニューが展開されているそう。

まずは井上シェフにラム肉の魅力について教えてもらいましょう。

── 井上さんはアイリッシュ・グラスフェッドラムのどんな所に惚れたのでしょう?

井上裕基さん(以下、井上) 質のいいラムって柔らかくジューシーなのはもちろんですが、このアイルランド産のグラスフェッドは、とにかく脂が美味しいんです。まるでバターみたいな感じ。あと、赤身の部分は食べている牧草が理由だと思うんですが、ミネラル感があるというか。塩味じゃないんですが、独特の味わいがあってクセになりますね。
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── 食べ方のオススメは?

井上 やはり炭火焼きが美味しいと思います。それもシンプルに塩と胡椒だけで食べるのが美味しい。煮込み料理もやっているんですが、まずは炭火焼を食べて欲しいです。
── すでにグランド・メニューとして出されているそうですが、お客さんの反応は?

井上 うちのお客さんは僕より食に詳しくて、色んなモノを食べている方が多いんですが、このラムはすごく評判がいいですね。一度食べた方は、必ず次もオーダーされます。

と色々伺ったところで、それでは実際に井上シェフにラムを焼いていただきましょう。こちらが炭火窯の前に用意された骨付きロースのラムラック(骨付きの塊肉)。
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それをスライスしてラムチョップにして焼いていただきます。結構大きめですが「女性でも2本はペロリですね」(井上さん、以下同)とのこと。
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「まず、肉に塩を振りかけて味をつけます。塩は、イタリア南部シチリア産天然海塩の細粒を使用しています」
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「炭火焼きグリルの焼き網にのせ、骨の面からじっくり火を入れます」
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「別の角度から骨の面を加熱します。骨から染み出す髄液を柔らかい肉に染み込ませ、コクを深めます」
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「赤身と違う味わいが楽しめる脂身もしっかり焼きます。さらに側面を反転させて焼きます。滴り落ちる肉汁が炭火で焼け、立ちのぼる煙の燻製効果が肉に香ばしい香りをつけます」
「焼き上がったら炭火から遠ざけ、肉汁が出過ぎないように、しばらく休ませます。肉汁が出過ぎると旨みが流失してしまうのです。最後に再び強い火力で一気に焼いて15分ぐらいで焼上がります」
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「そして仕上げ時にコショウを振ります。カンボジア産ブラックペッパーです。炭火の高温では燃えて香りが損なわれるため、コショウは焼き上げてから振るのです」
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最後にオリーブオイルをたらして完成。あたりには肉のいい香りが漂っています。焼きあがったラムチョップは、もう見るからに美味そうです。アツアツを皿に盛っていただいて。
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早速いただきましょう。と、ナイフとフォークで切り出そうとするも、骨付きの肉ゆえにめっちゃ難しい。「そこは手でワイルドに行っちゃってください」(井上シェフ)。「はい」、ということで、むしゃむしゃガツガツ、肉にかぶりつきます。

まず、もちろんながら、いわゆるイヤな感じの羊臭さはみじんもありません。程よいクセはありますが、それはグラスフェッドゆえなのか、ハーブのようないい香りが鼻の奥にかすかに感じるような気がします。

そしてシェフが言っていた「脂の美味さ」がすごい。まさにバターのような旨味のある脂。

「くどくないでしょ。そこがグラスフェッドだと思うんですけど、このラムはどれだけ食べても食べ疲れしないんですよね」
なるほどです。柔らかいんだけど、ジューシーで適度な噛み応えもあって“肉を食っている”満足感がスゴイです。口の中に溢れる肉汁と肉繊維のしっかりした旨味を噛みしめると、「あ~俺にも狩猟民族の血が流れているかも」という野生の感覚が呼び覚まされます。この、ある種の興奮状態の中の覚醒。これがチャクラが開かれた状態⁉ 

肉の合間には赤ワインをいただきます。ピノ・ノワールでしょうか。肉の味わいを邪魔しないすっきりしたワインです。

「このラムにはなんでも合うんです。しっかりした白もいいし、軽めの赤もいい。僕は個人的な趣味もあるんですが、肉とぶつからない程度の軽い赤が好きなんで、ピノ・ノワールとかがいいかなと」
あっという間に平らげてしまったアイリッシュ グラスフェッドのラムチョップ2本。実に満足度の高い料理でした。牛とも豚とも違う、第三の新たな選択、ラム。今日はオヤジひとりで2本いただきましたが、口の周りを油だらけにしながら肉にかぶりつくというこのワイルドな儀式は、彼女と体験すれば、より楽しく、ふたりの距離を縮めること請け合いです。

焼肉を一緒に食べるカップルは何とやらと言いますが、これからはラムチョップに共にかぶりついたカップルは……と言っていただきましょう。まだラム肉の官能を知らない彼女を連れて、ぜひ初体験してくださいませ。
ラ・ビスボッチャ LEON.JP

ラ・ビスボッチャ
HP/LA BISBOCCIA

アイリッシュ グラスフェッドラム
HP/独特の旨味が魅力のアイルランドの柔らかなラム肉-アイリッシュラム

LEON×ラ・ビスボッチャでスペシャルなディナーイベントを開催します!

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