2023.07.07
チャクラが開く!? 究極のラム肉料理とは?
世界中でご馳走肉として愛されているのに、日本ではイマイチマイナーなクセものとして食卓に上ることも少ない羊肉。でも、とりわけラム肉の美味しさは食通なら皆ご存知のはず。というわけで、この度はアイルランド産の絶品ラム肉をいただきに広尾の名イタリアン「ラ・ビスボッチャ」に伺ってきました。
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文・写真/森本 泉(LEON.JP)
なかでもラム肉(生後1年未満の仔羊の肉)はクセがなく、肉質が柔らかで栄養分も豊富とあって世界中で人気が高い。その美味さは折り紙付きで、かの井之頭五郎氏も某羊肉料理店で幾つものラム肉料理を平らげた際には「今日は俺の味覚のチャクラが次々に開かれていくようだ」と最大級の賛辞を贈っています。果たして五郎氏のチャクラを開かせたラム肉の味わいとはどんなものだったのか? 興味は尽きません。
と、前置きが長くなりましたが、そんな美味さの予感しかないラム肉、それもアイルランドの豊かな自然の中、良質な牧草を食べて育った「アイリッシュ グラスフェッド」と呼ばれるラム肉が食べられるという話を聞きつけ、広尾にあるイタリアンの名店「ラ・ビスボッチャ」を訪れたのであります。
井上裕基(いのうえ・ゆうき)
1985年、三重県熊野市生まれ。高校時代はラグビー部で活躍。辻調理師専門学校卒。その後、辻調理イタリア料理技術所卒。2006年、恵比寿のイタリアンレストラン「イル・ボッカローネ」に就職。2009年、広尾のイタリアンレストラン「ラ・ビスボッチャ」で勤務。2013年、「ラ・ビスボッチャ」料理長に就任。趣味は園芸やロードバイク、ラグビー観戦など。園芸は店舗装飾に生かしている。
まずは井上シェフにラム肉の魅力について教えてもらいましょう。
── 井上さんはアイリッシュ・グラスフェッドラムのどんな所に惚れたのでしょう?
井上裕基さん(以下、井上) 質のいいラムって柔らかくジューシーなのはもちろんですが、このアイルランド産のグラスフェッドは、とにかく脂が美味しいんです。まるでバターみたいな感じ。あと、赤身の部分は食べている牧草が理由だと思うんですが、ミネラル感があるというか。塩味じゃないんですが、独特の味わいがあってクセになりますね。
井上 やはり炭火焼きが美味しいと思います。それもシンプルに塩と胡椒だけで食べるのが美味しい。煮込み料理もやっているんですが、まずは炭火焼を食べて欲しいです。
井上 うちのお客さんは僕より食に詳しくて、色んなモノを食べている方が多いんですが、このラムはすごく評判がいいですね。一度食べた方は、必ず次もオーダーされます。
と色々伺ったところで、それでは実際に井上シェフにラムを焼いていただきましょう。こちらが炭火窯の前に用意された骨付きロースのラムラック(骨付きの塊肉)。
まず、もちろんながら、いわゆるイヤな感じの羊臭さはみじんもありません。程よいクセはありますが、それはグラスフェッドゆえなのか、ハーブのようないい香りが鼻の奥にかすかに感じるような気がします。
そしてシェフが言っていた「脂の美味さ」がすごい。まさにバターのような旨味のある脂。
「くどくないでしょ。そこがグラスフェッドだと思うんですけど、このラムはどれだけ食べても食べ疲れしないんですよね」
肉の合間には赤ワインをいただきます。ピノ・ノワールでしょうか。肉の味わいを邪魔しないすっきりしたワインです。
「このラムにはなんでも合うんです。しっかりした白もいいし、軽めの赤もいい。僕は個人的な趣味もあるんですが、肉とぶつからない程度の軽い赤が好きなんで、ピノ・ノワールとかがいいかなと」
焼肉を一緒に食べるカップルは何とやらと言いますが、これからはラムチョップに共にかぶりついたカップルは……と言っていただきましょう。まだラム肉の官能を知らない彼女を連れて、ぜひ初体験してくださいませ。
ラ・ビスボッチャ
HP/LA BISBOCCIA
アイリッシュ グラスフェッドラム
HP/独特の旨味が魅力のアイルランドの柔らかなラム肉-アイリッシュラム