2024.08.03

知識は“美味しい”を加速させるスパイスです

「寿司といえば、富山」なるコピーを掲げ、富山県のブランドイメージ向上を目的としたプレスツアーが開催されるということで、LEON編集部堀川が参加。寿司というグローバルワードを活用し、どのような町おこしを仕掛けるのか、取材してきました。

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文/堀川正毅(LEON編集長代理)

氷見の白エビ
北陸新幹線が延びて東京から金沢へのアクセスが楽になりました。金沢は能登半島地震で大きな被害を受けてしまいましたが、復興活動も含め、この動線は重宝することでしょう。そんな北陸新幹線ですが、あれれ、お見逃しはないですか? そうなんです、軽井沢の先、金沢の前に富山にも停まるんですね。

つい金沢までノンストップでスルーしちゃいがちな富山ですが、実は知る人ぞ知る、食材の宝庫県なんです。そんな知っていそうで知らない富山県をもっと知ってもらおうと立ち上がったプロジェクトが、今回LEON編集部堀川が参加した「SUSHI collection TOYAMA」でした。富山にはどんな魅力が詰まっているのか、体験をもとにご紹介させていただきます。

出発当日、用意されたプロジェクトの行程を確認したところ、1.富山の漁業について 2.富山のお寿司について の2本柱であることが判明。富山湾のお魚の勉強をし、富山の美味しさに触れる、というなんとも魅力的な内容に胸を躍らせながら、「はくたか559号」に揺られ、新高岡駅へ。新高岡駅で今回の運営スタッフさんや他メディアの方々と合流し、JR氷見線観光列車に乗り換えて、氷見へ移動。目的地は、氷見で17代続く網元「濱元家」で、富山の漁業についてお話を伺うことが出来ました。
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新高岡駅からの貸切列車内では、地質学者の巽好幸氏による、富山湾の特異性について解説をしていただきました。
▲ 新高岡駅からの貸切列車内では、地質学者の巽好幸氏による、富山湾の特異性について解説をしていただきました。
富山湾は、その独特の地形から「天然の生け簀」と呼ばれており、特に氷見は穏やかな海流のおかげで定置網漁が発展してきました。

灘浦定置漁業組合が仕切る漁師のグループは総勢で60名おり、網はちょっとした野球場くらいの大きさなのだそう(デカい!!!)。で、全部で5つの網を所有し、大切に補修しながら使っているそうです。ちなみに、この5つの網を新品に買い換えるとすると、約20億円!かかってしまうそうです(タカい!!!)。
濱元家で「氷見の定置網」漁について説明を受ける取材メンバー。
▲ 濱元家で「氷見の定置網」漁について説明を受ける取材メンバー。
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この網を用いて行われる「氷見の定置網」漁は、海底に箱のようなカタチで網を沈め、回遊する魚を誘い込むという、とてもクラシックな方法です。

世の中には水中で爆弾を爆破して魚を気絶させて漁を行うといった荒々しい手法もあるようですが、この氷見の定置網は環境にも優しく(しかも迷い込んだ魚が逃げていかないよう工夫が施されている)、富山湾をいつまでも美しく保つための先代の知恵が詰まっています。
「氷見の定置網」は、「持続可能な漁業」として日本農業遺産に認定されました。
▲ 「氷見の定置網」は、「持続可能な漁業」として日本農業遺産に認定されました。
興味深いお話を伺った後は、富山の美味しい! をいただきに割烹料理・握り寿司のお店「成希(なるき)」へ。地元・氷見の食材をふんだんに使ったお料理をいただける名店ですが、今回は、店主の滝本成希さんと、出張料理人の下條貴大さんとのコラボ寿司ディナーに。

滝本さんには富山らしい昔ながらのお寿司を、下條さんは氷見の食材を生かしたモダンな一品をそれぞれ握っていただきました。ご馳走様でした!
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左が滝本さん、右が下條さん。夢のコラボレーションディナーとなりました。
▲ 左が滝本さん、右が下條さん。夢のコラボレーションディナーとなりました。
翌日は、富山のもうひとつの名物である、白エビの漁を見せてくれるというので、早起きをして海へ。ここ数日は不漁が続いていたそうなのですが、この日は久々のヒット! で、船上で採れたての白エビをいただけるというラッキーも。実際、白エビの価格は年々高騰しており、バケツ一杯50万円の値がつくこともあるのだとか。

新湊の白エビ漁は独特のルールが採用されています。現在、全部で8隻の船がグループだそうで、とれ高は完全な分配制なのだそう。つまり、漁にでた船が不漁でも、大漁だった船があっても、8等分。理由は、過度な競争は乱獲につながるためで、未来永続的に漁を続けていくためのアイデアなのだそう。
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とれたてホヤホヤの白エビ! 美しい〜。
▲ とれたてホヤホヤの白エビ! 美しい〜。
とれたての白エビは透明! この後、空気に触れて徐々に白くなるのでした。
▲ とれたての白エビは透明! この後、空気に触れて徐々に白くなるのでした。
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漁のあと、漁師さんに先述した漁業ルールについてお話をうかがいました。
▲ 漁のあと、漁師さんに先述した漁業ルールについてお話をうかがいました。
漁の後は、これまた富山の名物「ます寿司」を自分で作るという体験の場をご用意いただいたり、富山県美術館でランチをいただいたりと、思えば食べ道楽な旅でした。富山の海が改めて豊かで美味しいが詰まっていることが理解できたと同時に、今後どうしたらこの豊かさを保っていけるのか、地元の人を中心に多くの人が知恵を絞っているということが伝わってくる富山トリップとなりました。

「寿司といえば、富山」の思いの一端を感じることが出来ましたので、次回は町寿司などにもふらりと立ち寄って、大衆の味を堪能したいと思います。今度の週末、お寿司を食べに富山へ足を伸ばしませんか?
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漁のあと、立ち寄った「六角堂」。古民家をリノベーションして現在の姿になったそう。お洒落!
▲ 漁のあと、立ち寄った「六角堂」。古民家をリノベーションして現在の姿になったそう。お洒落!
新湊漁港の新名物を試食。クレープのような生地白エビを包んだ独創的な逸品でした。
▲ 新湊漁港の新名物を試食。クレープのような生地白エビを包んだ独創的な逸品でした。
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ます寿司体験は、「丸龍庵」のパッケージを用いて。代表の木村さんから作り方を教わりながらます寿司体験!
▲ ます寿司体験は、「丸龍庵」のパッケージを用いて。代表の木村さんから作り方を教わりながらます寿司体験!
食材から桶、手袋に至るまで全て用意されているので、手軽にます寿司体験が可能。自分で作ったます寿司は絶品でした!
▲ 食材から桶、手袋に至るまで全て用意されているので、手軽にます寿司体験が可能。自分で作ったます寿司は絶品でした!
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富山県美術館のレストラン「BiBiBi & JURULi」でいただいた、東シェフと目黒シェフによるコラボランチ。ご馳走様でした!
▲ 富山県美術館のレストラン「BiBiBi & JURULi」でいただいた、東シェフと目黒シェフによるコラボランチ。ご馳走様でした!
美味しかった「岩牡蠣の蒸し寿司」。富山の可能性を感じる素晴らしい逸品でした。
▲ 美味しかった「岩牡蠣の蒸し寿司」。富山の可能性を感じる素晴らしい逸品でした。

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