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2022.07.20

技アリ! プロの着こなしテク拝見【阿部 浩編】

大人はヴィンテージをどうこなすのが正解!?

“ヴィンテージ”がキーワードとして浮上する昨今のオシャレ界隈。しかし、どのように装いに取り入れるべきか分からない人も多いハズ。そこで着こなし自慢が、ヴィンテージテイストや実際の古着をミックスしたワンランク上のコーデ・テクを特別に披露。長年服を着倒してきた経験から導き出されるリアルな技は、参考になること確実です。

CREDIT :

写真/多田 悟(Rooster) 構成・文/長谷川 剛(TRS)

ドレススタイルをヴィンテージ服で洒脱にハズす

阿部 浩
メンズアパレルにおけるアイテムの開発や普及、それにブランド自体の掘り起こしや建て直しなど、ファッションビジネス全般の企画提案を主な業務とするアパレル系コンサルタント。業界きっての博識と評されている阿部 浩さんは、自身が立ち上げたコンサルタント会社、レガーレの代表取締役です。

若い頃からウエアショップで働き、大手セレクトショップ等でも経験を積んだエキスパートゆえに、服飾に関しての理解や知識は相当なレベル。阿部さん自身もクラシックスタイルのドレッサーとして知られている、れっきとした業界人です。

なかでも巧みであるのが、ヴィンテージアイテムの取り入れ方。カジュアルな若い人達ならば、ラフな古着スタイルもある程度許されるでしょう。しかしそれなりの年長者ともなれば、歳相応の品格が求められます。

それゆえに+ヴィンテージな装いは非常にハイレベルと言わざるを得ないのです。そんな阿部さんに、今回は大人らしく高感度なヴィンテージミックスのこなし方を見せていただきました。
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古着シャツで個性を匂わす軽妙なオンスタイル

阿部 浩
▲ ダブルポケットとイタリアンカラーを擁するシャツが、着こなしに洒落感を添えるヴィンテージな装い。スカーフや鮮やかな差し色ポロにより、エレガントな雰囲気も兼備します。
最初のひとつが軽快なシャツアウターを取り入れたコーディネート。ジャケットではなく薄手のシャツアウターというところがポイントです。

「今回用意したこのコーディネートは、僕の中ではネクタイを必要としないビジネススタイルです。ちょっとした商談くらいの時などは、こんな格好をすることが良くあるんです。

ネクタイの変わりに小振りなスカーフを巻いてみたり。全体的に子供っぽくならぬよう気は遣っているつもりです(笑)」
スカーフ1万3200円/アットヴァンヌッチ(買えるLEON伊勢丹新宿店 ※ただし色柄違いになります)
▲ スカーフはスクエア型ではなく、あらかじめたたまれた形状である、アットヴァンヌッチのシャルピーナ。巻物ビギナーでも手軽かつ小粋に首元を飾れます。スカーフ1万3200円/アットヴァンヌッチ(買えるLEON) ※色柄違いになります
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気になるシャツアウターですが、こちらがヴィンテージのものだと阿部さん。20年前にアメリカのロサンゼルスで手に入れたと付け加えます。

「もともとシャツとして打ち出されたアイテムだと思うのですが、生地の風合いやポケットの付き方、全体のデザインから、個人的にはアウターと捉えて使っています。カラーは落ち着いたベージュ系ですが、独特のネップ入りにより、強めの素材感を持っています。

洒落感ある一枚襟のイタリアンカラー、それに特徴的なダブルポケットなど、要素多めのところもアウター使いに適しているように思います」
▲ カリフォルニアメイドであることが分かるランサーのタグ。台襟を持たない一枚仕立てのイタリアンカラーも実に洒落ています。
アメリカブランド、ランサーのシャツは恐らく1950年代製。

「当時はヨーロッパの影響も強く、こういうイタリアンカラーのシャツが米国でも作られていたようです。半透明の2つ穴ボタンのチープな感じも、今となっては非常にユニークで気に入っているんです」
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▲ 軽く羽織れるシャツジャケットは、今季のトレンドでもあるアイテム。ダブルポケットが装いのアクセント役になっています。
── 現行のシャツジャケットなどと比べると、どんな違いがあるのでしょうか?

「やっぱりヴィンテージモデルは昔ながらの味わいが強いですよね。現代モノとは異なるネップの雰囲気や、エッジを浮かせた特殊な縫い方の胸ポケットなど、こういったディテールが着こなした時の個性に繋がるんだと思います。

自分が担当しているブランドのオーダー会に立ち合っていたりすると、お客さんから『どこのシャツ?』と声掛けられたりしますから」
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本格ドレスパンツでスマートなシルエットを

そしてインナーにはジョン・スメドレーのコットン製ポロシャツをセット。

「ジョンスメは変わらずにこの着心地を貫いているところがポイントです。他のブランドだとトレンドやディレクターの違いで、定番品目であってもディテールが変わる場合が多いもの。しかし、ジョンスメはずっと同じ。だからコーディネートした際こうなるだろうと予測が付くのでリピートしやすいんです。

もう30年くらい、お世話になっているんです。また、微妙なカラーが揃っているのも良いところ。今日着ている一枚も、一般的な赤色ではなく微妙なピンク。フツーのようでいて絶妙な個性があるんです」
▲ サイズバランスが絶妙だと絶賛するロータのパンツ。この一本は腰回りにゆとりのある2プリーツモデル。はきやすくキリッとスマートであるのが特徴。
そしてボトムスはロータのグレーパンツ。この一本により非常に大人っぽさが際立っています。

「一応このコーデはビジネス対応のスタイリングなので、ドレスパンツにて仕上げています。やっぱりクラシックスタイルを仕事のひとつとしているので、そういった装いの場合は本格パンツに手が伸びますね。

デイリーパンツではやはりスマートなカッチリ感が出ませんから。クリースがしっかり入れられるパンツであることが、ある種の条件だと思っています」
アキラ タニ ビスポークシューズ
▲ 足元はアキラ タニのビスポークシューズ。抑えた甲に走るスクエアなエプロンフロントが、フィレンツェの粋を伝えます。やっぱ男のスタイルにおいて靴は重要な要素です。(参考オーダー価格25万円~ https://www.instagram.com/akiratani_shoemaker/
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そして靴もクラシック・エンスージアストらしいこだわりの一足を選んでいます。

「これはフィレンツェ在住の靴職人が手掛けるアキラ タニのビスポーク。やはりこういった装いにスニーカーは合わせません。クラシックなレザーシューズでないと個人的には成立しないと感じます。

この一足は寛ぎ感もある型押しスエードのエプロンフロント。フィレンツェらしい伝統的なエッジが、緩いスタイルを引き締めてくれるように感じます」

合わせ技が絶妙な阿部さんに、もうひとつオフの日を想定した+ヴィンテージなコーディネートを見せていただきました。そちらはミリタリー・ドレスとでも言うべきアクティブなルックスです。

男らしくも品格漂うミリタリー・ドレスな装い

▲ やや着丈長めのミリタリーシャツがフレッシュな印象です。ドレスパンツとの合わせにより硬軟のバランスも理想的。特にシャツのサイズ感やパンツのフィット具合は参考にしたいところです。
「こちらもシャツがヴィンテージです。戦闘用ではないと思いますが、イタリア軍の作業等で使用されていたとおぼしき半袖シャツ。いわゆるサファリシャツに共通するデザインであり、ファッションブランドからも、こういったテイストのものは数多くリリースされています。でもやっぱり、本物が持つタフな感じはファッションアイテムのソレとは一線を画すように感じます」
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▲ 化繊混紡の素材感やがっちり縫い付けられたエポレット&胸ポケットが、ワイルドさをさり気なく主張します。紋章入りメタルボタンも味わいのひとつ。
── たしかにワイルドな雰囲気を強く感じる一枚です。こちらはどちらで購入したものでしょうか?

「フィレンツェの古着屋さんにて手に入れました。タグなどから推察するに、リアルなイタリア軍ものと思われます。恐らく1970年代あたりの製品でしょう。素材はタフなポリコットン。少し古さを感じさせる化繊ミックスならではの、艶感や張り感がユニークな味わいとなっています。

エッジの立ったポケットデザインやエポレット、それに加えてやや長めの着丈など、いかにもミリタリーな仕上りがイイ感じ。ファッションアレンジのミリタリーシャツには出せないリアルな存在感があります」

そしてシンプルなTシャツを着込みつつ、やはりパンツは本格仕立てのドレスパンツをチョイスするのが阿部さん流。
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カジュアルな装いを大人っぽく見せるドレスシューズの粋

ペルティコーネ ローマ オーダー専門 靴
▲ 流麗な足元が、着る人のクラス感を雄弁にアピールします。ペルティコーネは吉本晴一さんが2017年にローマにて立ち上げたオーダー専門の靴ブランド。(参考オーダー価格35万円~ https://www.instagram.com/perticone_official/
「このパンツもロータのもの。ただし休日想定の装いであることに加え、ミリタリーシャツとのマッチングを考慮し、やや太めかつ細かいハウンドトゥース素材の一本を選んでいます。合わせの感覚はイタリアンカラーシャツの時とほぼ一緒。

トップスにヴィンテージなどギミックのあるアイテムを選んだ場合は、ボトムスは大人っぽいドレスパンツで崩しすぎになるのを防ぎます。ただし太めフィット&柄素材にてオフの気分を滲ませてみました」

合わせるシューズも当然本格ビスポークシューズ。この甘×辛バランスがくやしいほどにキマっています。
「これはローマのペルティコーネのもの。先ほどの一足と同様に、日本人職人が手掛けたシューズです。名門であるマリーニやメルクーリオを経て開業した実力派として、個人的にも注目しています。これは2アイレットの茶靴ということで、十分にエレガントでありながら、寛ぎ感もあるスペック。アッパーの革材はリャマ・レザーということで、非常にしなやかかつ軽快。正直、この一足なら全力で走れますよ(笑)」

以上のようにヴィンテージアイテムを主役に据えながら、非常に大人のエレガンス溢れる洒脱なコーディネートを見せていただきました。

2つの着こなしはどちらも古着が入ることで、ドレスドレスしておらず、肩肘張らないマイルドな洒落感を放つところがポイント。ぜひ参考にしたいベテランならではのスタイリング術でした。
阿部 浩 (株式会社 レガーレ 代表取締役)

● 阿部 浩 (レガーレ株式会社 代表取締役)

1967年生まれ、岩手県出身。学生時代からメンズの洋服ショップで働く。ベイクルーズに入社し店舗管理、企画生産業務を経てPRやMDを担当。独立後はアタッシュドプレスとして活動。その後コンサルタント業をスタートさせ、2013年にレガーレ株式会社設立。主にクラシックを中心としたメンスファッション系コンサルタントとして20年の経験を持つ。



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