2023.02.27
金子ノブアキが着る、“刻むオトコ”のスタイル PART3
時代のエッジを凝縮させたモードスタイルには、大人の色気とエレガンス、そしてファッションの楽しみがつまっています。そんなモードのポテンシャルを、著名人が華麗に披露するこの連載。第5回目のゲストは、ドラマーとして、俳優として、様々なジャンルで八面六臂な活躍を見せる金子ノブアキさんです。
- CREDIT :
主演/金子ノブアキ 写真/大森 直(TABLEROCK) スタイリスト/四方章敬 ヘアメイク/高草木剛(VANITES) 文/安岡将文 編集/高橋大(LEON.JP)
大人なモードの遊び方 第5回 主演 金子ノブアキ
刻むオトコ PART03 「王道スーツ」
様々な刻み方を、ステージや銀幕で披露してきた金子ノブアキさんに表現してもらいます。
全3編となるこの企画。刻むスタイルとして選んだのはスーツ。ミニマルにして、男の服の究極の形といえる、このアイテムを3つのテーマでお届けします。
パート3となる今回は「今を刻む王道のスーツ」がテーマ。ここ数年で耳にするようになった新定番というキーワード。多くの当たり前が変わった今の時代に刻まれる王道とは?
Brioni
時代に迎合するのではなく、時代を超越する
ダークグレーの生地に使われるのは、スーパー160sウール。ブリオーニのスーツを語るにおいて、その数値がいくらであるかなどもはや無粋というものですが、改めて意識しその上質な生地に触れると背筋が伸びます。2ボタンのシングルでノッチドラペルという、言うなれば究極にベーシックなスーツ。タイムレスな王道スーツと言えますが、一方でショルダーパッドは厚みを抑え、その着心地は実に軽やか。それは着姿にも現れ、かっちりとしたというよりは、しなやかという表現がしっくりきます。
一見端正なようでほんのり色を効かせたVゾーンが似合うのも、そのため。バックtoオフィスが叫ばれる中、久しぶりのスーツはこんな1着に袖を通してみてはいかがでしょう。これこそ、昔も今も、そしてこれからも紳士の美意識に刻まれ続けるスーツですから。
Loro Piana
緊張と緩和の両立、そんなスーツの今をデニムで知る
表情こそデニム顔ですが、その生地感から漂う上質感はさすがカシミア/ウィッシュ・ウール。もちろん、その上質感はサルトリアの伝統に基づいた仕立てもあってこそで、軽いながらも入れられたキャンバス、丸みを帯びたラペルのライン、手縫いされるアームホールやボタンホールなど、随所に伝統的な技法が見て取れます。一方で、パンツのシルエットを見ればわかる通り、程よいゆとりを持たせている点にも注目を。カシミアブレンドも然り、クラシックな貫禄ともストリートなラフさとも違う、品格のあるエフォートレスをにじませます。
かつて貫禄と威厳の象徴だったダブルも、イマドキはデニムを纏い程よいリラックス感のあるシルエットがスタンダードに。この1着は、スーツの長い歴史において今の時代を記す刻印なのです。
■ interview
金子ノブアキさんインタビュー
そんな金子さんが今回披露したのは、今の時代が求めるリアルなスーツ。それは、〜でなければならないという原則的なスーツから脱却した、今の時代にフィットしたスーツということ。ロックミュージシャンである金子さんは、どんな風に変化に対応してきたのでしょうか。
── ロックミュージシャンとしての現在地は?
「ある程度のとこまできた感じはしています。でも、ここで終わりではなくて今からスピード上げてさらに飛ばしていこうって思っています。つまり山のてっぺんに登ったんじゃなくて、ジェットコースターで一番高いところに来たって感じかな。さぁ、今からが一番面白いところだぞって」
── エンタメが溢れる時代、記憶に刻まれる音楽作りとは。
「受ける側の年齢や感覚にもよるから、絶対の正解なんてないと思います。ただ、演奏はもちろん、照明や衣装ひとつ取っても、その都度最高だと思うことをやっていますけどね。やるべきことを、精一杯やる。記憶や心に残る音楽って、結局そう言うものだと思います」
── 現在の日本の音楽事情をどう思っていますか。
「よく日本の音楽はガラパゴスだって言われてきました。時には悪意を持って。でも僕はそう思わない。日本の音楽って、世界的に見て相当特殊で、しかもバリエーションがすごく多い。プロの視点から言えば、クオリティがすごく高い。だから、これからが楽しみです」
── こういうオヤジにはなりたくない! そんなこだわりありますか?
「愚痴を言うオヤジにはなりたくないですね。ネガティブな言葉を、あまり言わないように気をつけています。今の時代、残念ながらネガティブな言葉の方が広まりやすいじゃないですか。もちろん人間だからいつでもポジティブってわけにはいかないけど、でも悪いことが起きてもなるべく前向きに解決してゆく方向に自分を持っていきたいです」
── とは言え、時には愚痴りたいことも?
「時間が足りないです(笑)。やりたいこといっぱいあるんですよ。今は20代の時みたいに自分だけのためだけに時間を使えないですから、余計に足りないです。でも、機材も進化しているし、マルチタスクにも随分慣れてきたので(笑)、なんとかやっています。こうやって動き続けていたら、いつか花咲くんでしょうしね」
PART1はコチラ
PART2はコチラ
● 金子ノブアキ
ミュージシャン、俳優。1981年、東京都生まれ。RED ORCA、RIZE、のドラマーとして活動。また、ナレーター、映画の音楽監督、ソロミュージシャン、など多岐に渡り活躍中。RED ORCAは3月に全国5カ所にてワンマンライブを開催する。
詳しくはこちら https://www.redorca.tokyo
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