2024.01.12
■ 男のモテる名品 ── スタイリスト 村上忠正編
敏腕スタイリストが選ぶ男らしく色気引き立つ逸品
実用的でありながらファッションアイテムとして、長い歴史や品格を備えている「名品」。なかでも今回は、装いに取り入れるだけで好感度につながる世界的な名作にフォーカス。長年業界においてお洒落にこだわる達人が、こっそり愛用するモテまっしぐらな名品を、説得力溢れるエピソードとともにご紹介。
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写真/鈴木克典 構成・文/長谷川 剛(TRS)
インスタの達人はモテに関してもベテラン級!?
とりわけ注目を集めているのが、自ら配信し続けている着こなし系のインスタグラム。男の渋味をベースに高感度な合わせのテクニックは、業界内外のファンを日々唸らせるもの。そんな着こなし達人は、当然数々の名品を直接見て・触れてきた実践的な目利きでもあります。
もちろん世界的な名品でありながら、モテにもつながるアイテムについても「なるほど!」と膝打つ傑作を愛用していました。
村上 僕の考える「モテ」の基本は、しっかり男らしくあること。服装のどこかにそういったポイントをしのばせることで、好感度につながると信じています。ですが、当然ヤリすぎは逆効果。トラッドで男らしく、しかもその人の個性を伸ばすアイテムが好印象になるものと考えます。
── そこでまず村上さんから見せていただいたのが、ローバックスのデニムシャツ。ヴィンテージで手に入れた一枚は、見るからに味わい深い逸品です。
男らしくタフなウエスタン・デニムシャツ
── 昨今はアメカジトレンドの追い風もあり、多くのシャツブランドもデニムシャツをこぞってリリースしています。しかし、よりリアルなラギッド感と男らしさを煮詰めたようなスペックが、村上さんのハートを掴んだのかもしれません。
服装全部が男クサくてもダメ。基本的に大人の上品さがあって、チラりと不良的な要素をしのばせるという意味で、こういったシャツは本当に適役。使い方次第でモテにつながる名品だと思っています。
── 次にご紹介いただいたモテ・名品が、エルメスのスカーフ。こちらは村上さんのワードローブのなかでも比較的珍しい一枚だと言います。
対女子力も抜群なエルメスのスカーフ
── エルメスのスカーフが正統派の名品であることは誰もが認めるところ。そして気になる「モテ」ポイントとなるとどこなのでしょう。
村上 大判のスカーフは首にササッと巻くだけで、デコラティブな印象を作りだせるのが良いところ。シルク製はその光沢に馴れてないと少々難易度を感じます。しかしこの一枚は、マットでフンワリ感あるウールカシミア製。適当に巻くだけでもソレなりに雰囲気が出るんです。しかもやっぱりエルメス製というところは、さらなる非日常感を後押しする要素と考えます。
村上 やはり派手な原色系だと服装との色合わせが難しくなります。これはグレーやブラック、そしてブルーグレーを基調としたメンズアイテムともリンクしやすい色使い。今日のような服装にも問題ないし、ラフなジーンズスタイルを格上げする場合にも使えます。ワザとらしくないから自然に好感度が高められるのです。
── しかしエルメスの大判スカーフとなれば、お値段もそれなりマンエン。お洒落ビギナーには少々ハードルの高さを感じさせることも?
ジャケット一着では同じような装いしかできません。しかし、スカーフなら巻き方のバリエーションまで含めると、楽しみ方は自由自在。時代を超えて使えるところもポイントです。
また、この一枚に関しては、暖かみあるウールカシミアという素材に加え、大判であるところも見逃せません。ちょっと肌寒いときなど、女子にササッと掛けてあげることもできるから。これはもう完全に完璧でしょう(笑)。
── さすがにLEONのことをしっかり理解している村上さん。プレゼンテーションも実にソツがありません。そしてお洒落の要である足元に関しても、さらなるモテ・名品を紹介してくれました。
色気ある足先作るジャコメッティのサイドゴア
一方、似たような一足にジップアップブーツもあるのですが、どうもあれに関しては男っぽくない気がするのです。もちろん個人的な見解です(笑)。
── そんな村上さんが愛用する名品サイドゴアブーツは、イタリアのジャコメッティのもの。サイドゴアと言えば英国のチェルシーブーツも有名ですが、その辺についてはどうなのでしょう。
モテトークも自然にこなせるシグネット
── 村上さんはいわゆる女性のようにジュエリーをあれこれ付け替えを楽しむスタイルではなく、どちらかというと、お守りの意味でこのリングを付けていると言います。
村上 まあ、お守りなので「モテ」とは意味が少々異なるのですが、身に付けているとやはり女性から「ナニこれ?」と聞かれがち。そこで「昔々エジプトのエラい人が……」などと話しだすと、それなりにウケがイイんです(笑)。もちろん、スタイリスト的なこだわりもありますので、このシグネットにしても選びには慎重を期しました。
どちらも英国のアンティークであり、材質はイエローゴールドとホワイトゴールド。小指に付けるほうは非常に小さく恐らく女性か子供用。2つ付けていてもさり気なくバランス良く見えるサイズ感だと思っています。
また一点モノゆえに、他人と絶対にカブらないところも魅力です。ただしその分、自分にマッチしたものを見つけるのがひと苦労(笑)。しかし丹念に探して見つける面白さも楽しみのひとつだと思っています。
● 村上忠正 (スタイリスト)
1969年、東京生まれ。21歳の時、当時スタイリストであった鈴木卓爾氏に師事しその後独立。メンズファッション誌やタレント、広告等でのスタイリングを中心に活動する。特にメンズの成熟したドレスコーディネイトテクニックに定評あり。昨今は谷原章介氏のスタイリングを手掛けるなど、多忙を極めつつもSNSにて自身のコーディネートをアップし好評を博す。