2024.01.04
■ 男のモテる名品 ── DJ・音楽プロデューサー 田中知之(FPM)編
エルメス、バーバリー、グッチの名品で貫く“ちょいウラ”なお洒落
実用的でありながらファッションアイテムとして、長い歴史や品格を備えている「名品」。なかでも今回は、装いに取り入れるだけで好感度につながる世界的な名作にフォーカス。長年業界においてお洒落にこだわる達人が、こっそり愛用するモテまっしぐらな名品を、説得力溢れるエピソードとともにご紹介。
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写真/鈴木克典 構成・文/長谷川 剛(TRS)
自分らしさを貫くことがモテへの道筋を作り出す
歴史的なユーズドウエアに始まりクルマや時計、それにヴィンテージ家具など、田中さんの目利き対象は多種多様。通をも唸らすセレクトセンスの持ち主ですが、男のモテ名品に関してはいかがでしょうか。
田中 “モテ”の定義にもよりますが、いわゆる女子ウケを意識してアイテムを選ぶことは、僕の場合ほとんどないんです。そういった意味では本誌LEONにおける僕の連載など、一般的な女子から縁遠い情報かも知れません(笑)。しかし“モテ”は何も異性だけを対象とすべきとは思いません。同性にまずモテる=リスペクトされることで、異性への好感度へと広がっていくこともあると個人的には考えます。
自分がしっかりリサーチし、吟味を経たアイテムを自分らしく愛用する。そうすることで自信あるスタイルを生みだすベースとなり、堂々と臆することのない“自分らしさ”が確立できる。そういった積み上げがLEON的な“モテ”にも通じるのではないかと思っています。
── “モテ”に対する哲学も、こだわり派の田中さんらしい考えがしっかり貫かれています。そこで今回は、田中さんが長年を掛け選んだ世界的な名品のなかでも、特に自信を持って愛用し続けているアイテムに絞ってご紹介いただきました。そのトップバッターとなるのがエルメスのニットジャケット。田中さんはある部分が実に不思議であり、結果、手放せない一着になっていると語ります。
常にクリーンでスマートなエルメスのニットジャケット
── ニットと言ってもセーターのような空気を含む太編みタイプとは異なり、ミラノリブにも似たしっかり感ある細編みがポイント。それゆえに扱いも楽だと指摘します。
また、テーラード型ですから、ある程度キチンと見せたいときにも重宝します。カーディガンライクなので今日のようなトレーナーの上にも羽織りやすいし、終日着用していてもストレスを感じさせません。おまけにニット製品ということもあってか、タグは首裏部分に付いています。サッと脱いだときなど、さり気なくエルメスと分かるところもポイントです。
男らしくもマニアックな50年代バーバリーのトレンチ
── 聞けば田中さんはかなり本格的なバーバリーファン。トレンチに関しても初代に通じる1920年代モデルも所有しているのだそう。その他、バルマカーンやベルト付きのライダーなど、様々な時代のバーバリーを多数コレクション。そんな膨大な所蔵コートのなかでも特に気に入っているのが、この50年代トレンチなのです。
レアな美しさを放つグッチのホースビットローファー
── こちらも10年ほど前に入手した一足。ことあるごとに着用しているとのことですが、淡い水色をキレイにキープするなど手入れも十分です。薄着となる夏は当然のこと、重ね着をする冬場もこの一足で出掛けていると言います。
● 田中知之 (DJ、音楽プロデューサー)
1966年京都府生まれ。大学卒業後、アパレルメーカー勤務、編集者を経て音楽の世界へ。ソロプロジェクトFPM(ファンタスティック・プラスチック・マシーン)名義でのDJ、音楽プロデューサーとして国内外にて活躍。その他、村上隆がルイ・ヴィトンのために制作したアニメーションの音楽や、世界三大広告賞でグランプリを受賞したダンスミュージック時計「UNIQLOCK」および「UNIQLO CALENDAR」の楽曲制作でも知られる。東京2020オリンピックでは開会式・閉会式、2020年東京パラリンピックでは開会式の音楽監督も務めた。