2017.12.14
火星用?シャワー? ルイ・ヴィトンの「超ド級」トランク10選
旅行鞄専門店として創業したルイ・ヴィトンの真髄(こころ)ともいえるのがトランク。シンプルな箱型収納に終わらず、ときにベッド、ときに書棚やデスク、ときにシガーボックスやDJブースとなる変幻自在ぶりはまるで4次元ポケット。まさにしまえぬものはない??
- CREDIT :
文/秋山 都
160年の歴史から10の名品トランクを勝手にピックアップ!
その160年の間に、ダミエが生まれ、モノグラムが生まれ、エピが生まれ……素材とデザインを進化させながら、おそらく数十万個ものトランクが製作されたことと思いますが、ここではそのアーカイブからとくに「すごい」トランクを勝手に10点セレクト。その多くが顧客のリクエストによるスペシャル・オーダーアイテムです。アナタなら何をオーダーしましょうか?
1.探検家のためのベッド・トランク(1905)
プラザは人道植民地的主義の探検家で、生涯のうち二度に渡りアフリカを探検。サバンナの木陰にテントを張り、このトランクを開いて満天の星の下、眠ったのでしょうか。う~ん、ロマンティック!
2.顧客に感謝をこめて贈ったフラワー・トランク(1910)
ある日、日頃の顧客に感謝の気持ちを示す方法はないかと考え、花を贈ろうと考えたのだとか。でももちろん普通の花束ではなく、ルイ・ヴィトンならではのトランクに入れて贈ったというから驚きます。
水や湿気を通さない亜鉛で内装したモノグラムのフラワー・トランクは、花が枯れたら小物入れとしても使用可能。こんなお花をもらったらどんな女性でも心が動くことでしょう。ルイ・ヴィトン史上、最高のモテトランクに(勝手に)認定です!
3.シャツ24枚用トランク(1912)
そこからいまのホワイトカラー(頭脳労働系)、ブルーカラー(肉体労働系)という言葉へ発展していったのですが、本題から離れるので、その話はまたいずれ。
さて、洗濯技術が発展していなかった当時、旅に出かけるならその日数分のシャツを持っていくのは、おしゃれな人のこだわりでもありました。
そこでラ・シェーズ大尉がオーダーしたこのシャツが24枚収納できるトランク。下着なども一緒に収納できるよう、内箱にも工夫がほどこされています。側面には彼のイニシャルJCと黒・赤・白の洒落たストライプ入り。どんなお方だったのでしょう?
4.書棚トランク(1923)
どんなに短い旅であっても本を持っていくという人、また旅先で本を購入するのが楽しみという愛書家にむけて開発された書棚トランクは、作家アーネスト・ヘミングウェイやフランソワーズ・サガンらも愛用しました。
当時はペーパーバック(文庫本)もなく、そしてPCやスマホももちろんない時代。その情報への渇望には深くうなずけます。
ヘルムート・ラングのDJケース(1996)
アズディン・アライア、マノロ・ブラニク、ヴィヴィアン・ウエストウッドなどと共にこのプロジェクトに参加したヘルムート・ラングがデザインしたのがこちら。
当時CDに押され気味だったレコードに注目し、レコード70枚が収納可能なDJケースです。音楽と一緒に旅をする――現代では当然のことですが、あえてアナログに着目するのがクール!です。
1000本のシガーのためのトランク(1997)
このトランクはあるアメリカ人顧客のためにルイ・ヴィトンが製作した、シガーが1000本収納できるトランク。
内部には多数の引き出しがついており、シガーカッターら喫煙具もすべて収まるようにできています。最上部の美しい黒檀製キャビネットはこの部分だけ別売りも可。
タバコを吸わないサルコジ大統領(当時)のエリゼ宮の執務室にも同じものが置かれているそうですよ。チャーチルさんが存命だったらうらやましがったことでしょう。
シャワー・トランク(2004)
それぞれ独創的なアイディアを競いましたが、この「シャワー・トランク」はそのとき表彰されたもののひとつ。モノグラム・キャンバスのトランクには折りたたみ式のシャワーが内蔵されており、亜鉛製のシャワールームは伸縮自在でポンプや水のタンクと接続できるようになっています。
腰の位置までカバーしてくれる白布のカーテンはなんだか映画のワンシーンのよう。給湯設備はないのでお湯は出ませんが、あしからず。
火星トランク(2004)
タマゴ型のカプセルの中には、椅子あり、CDあり、そして食器あり。まるで火星での暮らしをエンジョイしているかのような楽しい提案がつめられています。いつかこの火星トランクで宇宙へピクニックに出かける日も来るかも?
おもちゃ用コトヴィル(2008)
マーク・ジェイコブスによるトラベルケンネル(2009)
2009年、マーク・ジェイコブスの愛犬デイジーとアルフレッド(ともにブルテリア)のために製作されたトラベルケンネルです。側面にはモノグラムのモチーフを損なわないように空気穴が開けられ、内部にはやわらかなクッション。水やフード用の容器もセットし、犬のストレス軽減のために飼い主の写真を置く仕掛けもあるんだとか!
このトラベルケンネルは2点製作され、ひとつはマーク・ジェイコブス本人に。もうひとつはチャリティオークションに出品され、3万2000ポンド(約480万円)で落札されました。空港でこんなトラベルケンネルに出会えたら、中にいるセレブドッグをチェックしたいですね!
■お問い合わせ
ルイ・ヴィトン クライアントサービス/☎0120-00-1854
もっと「ルイ・ヴィトン」を知りたい方には…
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