2022.10.09
【第17回】「蔦」(代々木上原)
「Japanese Soba Noodles蔦」の大西祐貴さんが亡くなった
日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。
- CREDIT :
文・写真/山本益博
今回は、その偉業に少し触れてみたいと思う。
「ミシュランガイド東京2015」で、ラーメンが初登場
著者の本棚に並ぶ1929年からのミシュランガイド。
「ミシュランガイド」の日本版が出版されたのが、2007年秋の「ミシュランガイド東京2008」で、日本中で話題になったのは、いまだ記憶に新しい。この初年度版にはラーメンはなく、2014年秋に出版された「ミシュランガイド東京2015」で、ラーメンが初登場、22軒に「ビブグルマン」が付けられた。星は付かないが、「安価で美味しい料理を提供する店」として、ラーメン専門店が評価されたのだった。「蔦」もこの中の1軒として掲載された。
この日、ラーメンが「B級グルメ」と永遠に決別した
「石臼挽きの国産小麦を使用する際は、スープとの相性を考えた平打ちの細麺、数種の生醤油を合わせた『醤油そば』は香り高く、海塩と岩塩がスープの旨みを引き立てる『塩そば』は力強く丸みのある味わい。赤ワインで味付けした心地よい食感のメンマ、ローズマリー風味のチャーシュー、隠し味にトリュフなど、店主ならではの工夫がみられる。ポルチーニ茸の香りが印象的な『醤油つけそば』も良い」
麺は自家製紛や独自の製法なども意欲的に開発し、調理法も蔦にしか出来ない事に注力しました。一つの食材をあらゆる角度から見る事で生まれる一杯は、今までにはない素晴らしいラーメンの世界を創造しています」 合掌。
Japanese Soba Noodles蔦
住所/東京都渋谷区西原3-2-4 フロンティア代々木上原B1
営業時間/11:00~15:00
定休日/木曜
TEL/03-6416-8666
HP/Japanese Soba Noodles tsuta
● 山本益博(やまもと・ますひろ)
1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique
山本益博さんがYouTubeを始めました!
日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
YouTube/MASUHIROのうまいのなんの!