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2023.03.31

ブルゴーニュワインを制すれば、モテる♡も制する!? 【現地レポート・後編】

フランスワインの二大産地の一角を担うブルゴーニュ地方。コロナ禍を経てもなお世界的に人気な「ワインの王様」を現地取材しました。最新事情を知れば知るほど、その魅惑的な味わいを大切な人とシェアしてみたくなること請け合いです!

CREDIT :

文/鳥海美奈子 協力/ブルゴーニュワイン委員会(BIVB)

先進的なサステナブル農法がブルゴーニュワイン人気を後押し

ブルゴーニュの南マコン
▲ ブルゴーニュの南マコンの美しい畑の風景。
いまや世界各国で生産されているワインですが、ポストコロナの時代に入りつつある現在も、フランスは評価・品質ともにワイン王国としての牙城を崩されていません。なかでもブルゴーニュワインが「ワインの王」として君臨し続けています(前編はコチラ)。

理由は、伝統を大切にしつつも常に進化しているから。そのひとつが、サステナブルへの取り組みです。サステナブルな農業を行なう生産者に対してフランス政府が与えるHVE認証を取得しているワイン生産者も少なくありません。殺菌剤や殺虫剤の散布をなるべく減らす、CO2削減を目指すなどの試みを多くの生産者が実践しているのです。
ブルゴーニュワイン「ヴィニュロン・デ・テール・セクレット」
例えばブルゴーニュ南部マコン地区にある「ヴィニュロン・デ・テール・セクレット」。1928年設立のぶどう栽培農家たちによるワイン協同組合です。ここには現在約120の生産者が所属し、計910haの畑がありますが、その約半分がHVEのなかでも最も評価の高いレベル3の認証を得ています。
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環境に負荷をかけないようにボトルを軽量化する、ラベルにはサトウキビの廃棄物を使用、さらに文字には天然染料を使うなどエコロジーを強く意識。それはぶどう栽培農家たちがこの地に誇りを持ち、子供たちによりよい形で畑を継がせたいと、そう願っているから。
2022年、ブルゴーニュでは約20%の畑が化学合成農薬や化学肥料、除草剤などをいっさい使わない、オーガニックの「AB」認証を得ています。2015年には10%に過ぎなかったので、確実に上昇中。さらには、ビオ農法をより発展させた“ビオディナミ”に取り組む生産者も増えています。

月など天体の運行にあわせて農作業を行ない、自然由来の調合剤を畑にまいて土の潜在能力を引き出す“ビオディナミ農法”はいま、ワイン界ではとても注目されている手法。ワイン界ではモテ用語なので、覚えておくといいですよ。
ブルゴーニュワイン「ドメーヌ・ベルテルモ」
▲ 母(左)の意思を継ぎ、ワインをより進化させるトマさん(右)。
そんなビオディナミを行っている「ドメーヌ・ベルテルモ」はパリ出身のベルテルモ女史が2006年に起こした新興ワイナリーです。世界で争奪戦となっているブルゴーニュの畑を新たに入手してワイナリーを起こすのは大変なことですが、ブルゴーニュの白の最高峰であり、ワイン愛好家たち垂涎のピュリニーなどに畑を所有しているというから驚きです。
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早くからHVEの認証を持っていましたが、息子のトマさんが働き始めるようになり、2017年からビオディナミをスタート。ドメーヌ・ベルテルモでは来年からはソーラーパネルを設置して、自立型エネルギーを目指していくというから本格的です。
ブルゴーニュワイン「ドメーヌ・ラ・スフランディエール」
2006年に、ビオディナミの認証をブルゴーニュのなかでもいち早く取得したのが「ドメーヌ・ラ・スフランディエール」。多くの動植物や微生物が共存する、生命力に満ちたビオディナミの畑から採れるぶどうでできたワインはピュアで透明感のあるものになるという事実を、なによりも彼らのワインが証明してくれています。
ブルゴーニュワイン「ドメーヌ・ラ・スフランディエール」
▲ ビオディナム農法で育てられ、生き生きとツルを生やすぶどう畑。
当主のジャン・フィリップ・ブレットさんは「畑にぶどうの木しかないのは生物多様性の観点から見ると不自然」と、畑に下草をそのまま生やします。さらに、4年前から辛子やクローバー、シリアルを混ぜた種を畑にまくことで温室効果ガスの削減を目指しているのだとか。

日本語の「禅」の言葉を生かした「ZEN(ゼン)」シリーズは、亜硫酸(SO2)無添加。「フランス人はZENに穏やか、静謐といったイメージを持っています。大好きな言葉なので、それを取り入れました」。こんな逸話を語りながらこのワインを飲めば、きっとあなたのモテ度も上がることでしょう。
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2023年春、ワイン好きにはたまらない新施設オープン

「シテ・デ・クリマ・エ・ヴァン・ド・ブルゴーニュ」
▲ 「シテ・デ・クリマ・エ・ヴァン・ド・ブルゴーニュ」
コロナ禍の非日常は、いま全世界的に終わりを迎えようとしています。ブルゴーニュでは旅行客向けに、ブルゴーニュワインへの理解を深めてもらおうと「シテ・デ・クリマ・エ・ヴァン・ド・ブルゴーニュ」という施設を2023年春から段階的にオープン。

ぶどう畑の“クリマ”が世界遺産に登録されているブルゴーニュ。土壌や畑の向き、風通しなどが違う区画ごとに畑を分けたものをクリマというけれど、ブルゴーニュの中心地コート・ドールの畑だけでも、実に1000以上のクリマが存在しているのです。ロマネコンティ、シャンベルタン、コルトン、モンラッシェ、ミュジニーといった、きっと誰もが一度は聞いたことのある世界的に有名な名前も、そんなクリマのひとつ。
ブルゴーニュワインの多くは白はシャルドネ、赤はピノ・ノワールですが、同じぶどう品種でもブルゴーニュはクリマによってまったく異なる香りや味わいのワインに仕上がる──それが、ワイン愛好家を魅了してやまない理由のひとつになっています。

シテ・デ・クリマ・エ・ヴァン・ド・ブルゴーニュではそういったブルゴーニュワインの歴史や概念、ワインの香りや味わいについて学べるワークショップがたっぷり用意されています。しかも5階の展望バーは、ブルゴーニュの素晴らしい畑を眺めながら試飲や食事もできます。自然素材の断熱材を使うなど、この建物もエココンシャスです。
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ブルゴーニュワイン「ルイ・ブイヨ」
もしブルゴーニュを旅するなら、訪問可能な生産者のところへぜひ足を運びたいですね。ブルゴーニュで泡を飲みたい!というあなたなら、スパークリングワインのクレマンを造っている「ルイ・ブイヨ」へぜひ。1877年設立の歴史あるルイ・ブイヨは、シャンパーニュと同じ本格的な製法を取り入れ、味わい深い泡のワインを生み出しています。建物は美しいアール・ヌーボー様式、そのなかでテイスティングを楽しみましょう。
 ドメーヌ・ラ・スルス・デ・フェの宿泊者用サロン。1泊138€~
▲ ドメーヌ・ラ・スルス・デ・フェの宿泊者用サロン。1泊138€~
またブルゴーニュの中心地から南へ車で1時間ほど行くと、「ドメーヌ・ラ・スルス・デ・フェ」というワイン生産者が経営する宿があります。自然に囲まれた地でありながらインテリアはハイセンス。朝や夜の食事どきにはワインを飲みながら、生産者から直にワインやブルゴーニュの話をたっぷり聞ける、贅沢な時間を過ごせてしまいます。

ブルゴーニュワインの最新レポート、いかがでしたか? 現地の美しいぶどう畑を巡って、最高に美味しいブルゴーニュワインに酔いしれることを夢見ながら、まずは気になるワインをココ日本で予習しておくのも一興ですね。

前編はコチラ

■ お問い合わせ

ご紹介ワインの輸入元
「ヴィニュロン・デ・テール・セクレット」
モトックス
https://www.mottox.co.jp/

「ドメーヌ・ベルテルモ」 
髙瀬物産
https://www.takasebussan.co.jp/product/liquor.html
※ 業務用ルートへの販路限定

「ドメーヌ・ラ・スフランディエール」
Vin X
https://www.vin-x.jp/

● 現地のオススメ
「シテ・デ・クリマ・エ・ヴァン・ド・ブルゴーニュ」
https://www.cite-vins-bourgogne.fr/

「ルイ・ブイヨ」
訪問予約サイト
https://www.louis-bouillot.com/

宿泊はコチラ
「ドメーヌ・ラ・スルス・デ・フェ」
宿泊予約サイト
https://www.lasourcedesfees.fr/

Profile
鳥海美奈子(とりうみ・みなこ)
2004年からフランス・ブルゴーニュ地方やパリに滞在して、文化や風土、生産者の人物像をからめたワイン記事を執筆。著書にビオワインと料理のマリアージュをテーマにした『フランス郷土料理の発想と組み立て』(誠文堂新光社)、日本ワインの生産者のワイン造りを追ったノンフィクション『日本ワイナリーの深淵』(さくら舎)がある。

モテるワインにご興味ある方はコチラもどうぞ

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