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2023.11.14

世界の食文化を変える!? 新プロジェクト始動を京都で目撃した日

2023年10月中旬、「ポメリー」と「京都吉兆」が共同で新プロジェクトを発表。ポストコロナの時代に突入し、グローバルに健康志向が高まるなか、伝統と格式を誇るシャンパーニュ業界と日本料理界の雄は、どんな変革を起こそうとしているのか!? その船出を取材しました。

CREDIT :

文/吉田奈緒子(LEON.JP)

「ポメリー」&「京都吉兆」が長期コラボレーションを発表

最高級のプレステージ・シャンパーニュ「キュヴェ・ルイーズ」。今回は、写真左からオールド・ヴィンテージの「1995」、「ロゼ 2004」「2005」「ナチュール 2006」
▲ シャンパーニュ地方の中でも厳選した3つのグラン・クリュ畑から、キュヴェ・ルイーズ専用区画で育てられたぶどうのみで長期熟成される“ポメリースタイル”と呼ぶにふさわしい最高級のプレステージ・シャンパーニュ「キュヴェ・ルイーズ」。今回は、写真左からオールド・ヴィンテージの「1995」、「ロゼ 2004」「2005」「ナチュール 2006」の4種類がメディア向けお披露目会に登場した。
特別な時間を祝福するための特別なお酒、シャンパーニュ。微細な泡、美しく輝く黄金色、華やかな香り、そして複雑で奥深い味わいはとても魅惑的ゆえ、ロマンティックなデートにも欠かせないシャンパーニュは今やほとんどが辛口ですが、その礎を築いたのが「ポメリー」社であることをご存知でしょうか。
19世紀後半に、世界初の辛口(ブリュット)スタイルのシャンパーニュを生み出した革新的メゾンがこの度、日本の老舗料亭「京都吉兆」とパートナーシップを締結。この先、なんと4年間に渡ってシャンパーニュと日本食による“究極のペアリング”を探究していくというのです! 伝統と格式ある2社による挑戦的な試みとは一体……!? 
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最終目標は、既存の概念を覆す新しいスタイルのシャンパーニュと日本料理の開拓。ポストコロナの時代に入り、世界の健康志向が加速する未来に向けて、新しい食文化を発信していこうという壮大なプロジェクトなんです。

10月中旬に「京都吉兆」嵐山本店にて開催された発表会で、両社の意気込みと“究極のペアリング”の一端を取材しました。
「ポメリー」最高醸造責任者、クレマン・ピエルロー氏(写真左)、「京都吉兆」総料理長、徳岡邦夫氏(中央)、ヴランケン ポメリー ジャパンCEOの師井 研氏(右)
▲ 「ポメリー」最高醸造責任者、クレマン・ピエルロー氏(写真左)、「京都吉兆」総料理長、徳岡邦夫氏(中央)、ヴランケン ポメリー ジャパンCEOの師井 研氏(右)が一堂に会し、世界に向けた新たなパートナーシップの船出を祝った。
お披露目会には、4年ぶりに来日した「ポメリー」第10代最高醸造責任者のクレマン・ピエルロー氏、「ヴランケン ポメリー ジャパン」CEOの師井 研氏、そして「京都吉兆」総料理長、徳岡邦夫氏が出席。
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1979年に初めて作られ、1986年に初リリースされた長期熟成のプレステージ・シャンパーニュ「ポメリー・キュヴェ・ルイーズ」をベースに考案された5種類のペアリングを実食しながら、評価していきます。長期熟成によって育まれたヴィンテージ・シャンパーニュの奥深い味わいのレイヤーが、最高峰の日本料理とどんなケミストリーを起こすのでしょうか。

◆ Mariage ①

「ポメリー キュヴェ・ルイーズ  ナチュール 2006」 × 向付(菱蟹吹寄)

「ポメリー キュヴェ・ルイーズ  ナチュール 2006」
▲ ウェルカム・シャンパーニュとしても提供された「ポメリー キュヴェ・ルイーズ  ナチュール 2006」。
八寸の「菱蟹吹寄」「ポメリー キュヴェ・ルイーズ  ナチュール 2006」
▲ グラスに注がれた「ナチュール 2006」の風味が時間の経過と共に変化するように、八寸の「菱蟹吹寄」も、カカオニブや生姜の粒が口の中で弾けると味わいが変わっていくのを楽しめる。
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まず最初のペアリングで供されたシャンパーニュは、石灰が豊富に含まれるテロワールの厳選された区画のみで育てられたぶどう本来の味わいを、ドザージュせずに表現した「ポメリー キュヴェ・ルイーズ  ナチュール 2006」。

一方、向付の「菱蟹吹寄」は、この「ナチュール 2006」の上品なフレッシュさを存分に引き出す内容となっていました。

「蟹や卵黄、かつおだしの旨味とクリーミィさ、カカオニブの苦味、生姜の風味で複雑さを表現していますが、実は見た目ではあまり分からないカカオニブや生姜の粒が口の中で弾けて味わいに変化が出るようにしました」(「京都吉兆」総料理長 徳岡邦夫氏)。

徳岡総料理長の思惑どおり、「ナチュール 2006」のあるがままの甘みやミネラル感、微かな苦味、クリーミィさと渾然一体となった絶妙なペアリングを堪能できました。
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◆ Mariage ②

「ポメリー キュヴェ・ルイーズ 2005」 × 「鱧(はも)と松茸のお椀」

「ポメリー キュヴェ・ルイーズ 2005」 × 「鱧(はも)と松茸のお椀」
▲ 水1リットルに昆布50グラムを入れ、冷蔵庫で13時間かけて水出しした珠玉の出汁と和歌山県で漁れた鱧、松茸という旨味のハーモニーに、「ポメリー キュヴェ・ルイーズ 2005」 のキャラクターが共鳴するペアリングとなった。
次のお料理は、鱧(はも)と松茸という海と山の恵みと、「京都吉兆」独自の方法で水出しした昆布出汁の旨味の掛け合わせが絶妙すぎるお椀物。マリアージュさせたのは、フローラルで植物のアロマも感じられる「ポメリー キュヴェ・ルイーズ 2005」 です。
「2005年のヴィンテージは難しかったけれども、ぶどうの収穫時期を待ったことによって理想的なものが完成しました。そんな『2005』のトースティな香ばしさや旨味の深さは、松茸や出汁の味わいに素晴らしくフィットしていると思います」(「ポメリー」最高醸造責任者 クレマン・ピエルロー氏)
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◆ Mariage ③

「ポメリー キュヴェ・ルイーズ 2005」 × 「箸休(鮑の茶碗蒸し)」

「ポメリー キュヴェ・ルイーズ 2005」 × 「箸休(鮑の茶碗蒸し)」
▲ 今後、国内外のさまざまなコラボレーションイベントで採用される可能性が高い「鮑の茶碗蒸し」と、「ポメリー キュヴェ・ルイーズ 2005」 。
そして、次のペアリングにも「ポメリー キュヴェ・ルイーズ 2005」 が登場。徳岡総料理長が、本プロジェクトのために開発した料理のなかで一番の自信作と断言した「鮑の茶碗蒸し」を合わせます。
「日本料理は余分なものを削っていく料理ですが、こちらは逆に色々なものを足していきました。いま世界一のクオリティと評価されている佐賀県産のサフランや生姜をアクセントにしていますし、揚げた鮑やパルミジャーノのせんべいを加えると、ぐじやあこうのアラで取ったスープの風合いがどんどん増していきます」(徳岡総料理長)

半分程度食べ進めたら、特製の肝タレを少しずつ回しかけると、さらに変化の至福を堪能できます。
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「日本料理はまだまだ勉強中ですが、『鮑の茶碗蒸し』はとても印象に残った一品でした。シャンパーニュを一緒に飲む時の味わいの完成度と言い、互いに変化していく度合いと言い、ほとんど完璧な組み合わせだったと思います」と、ピエルロー氏も舌を巻くほどのペアリングとなりました。

◆ Mariage ④

「ポメリー キュヴェ・ルイーズ ロゼ 2004」 × 「八寸」

「ポメリー キュヴェ・ルイーズ ロゼ 2004」 × 「八寸」
▲ お披露目会のクライマックスに登場した、「ポメリー キュヴェ・ルイーズ ロゼ 2004」 × 「八寸」。
そして四番手として登場したのは、「質・量ともにすばらしい出来栄え」とピエルロー氏が評価する2004年のヴィンテージ「ポメリー キュヴェ・ルイーズ ロゼ 2004」。ベースとなるシャンパーニュとは別に、グラン・クリュ畑のピノ・ノワールのスティルワイン(赤)を、上質なアロマを最大限に引き出すために最適なマセラション(つけ置き)をして醸造し、アサンブラージュすることで最高のロゼ・シャンパーニュとなります。

タンニンが極力抑えられた絶品は、アンバーがかったやさしいピンクゴールドからは想像できないほど、ラズベリーなどの赤い果実、ハーブ、フローラルなどの芳しいアロマが開くのが特徴です。
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他方、「八寸」は、香ばしくクリスピーな鰻カツ・鰻タレ焼きや旨味が凝縮されたサフランゼリー、鶏の内臓・砂ずりや秋田の漬物「いぶりがっこ」が入った発酵感ある白和え、マッシュポテトと牛タンの煮込み……etc.といった食感、香り、風合いが千差万別なお料理ながら、どれもが「ロゼ 2004」とそれぞれのマッチングを織り成します。
「『八寸』はすべてが新鮮でした。ロゼ・シャンパーニュは普段、デザートと合わせることが多いのですが、長期熟成された辛口の『ロゼ 2004』はコースの中盤に出される料理とも相性がいい……というのが印象的です。特に鰻やイクラとのバランスが最高でした」(ピエルロー氏)

◆ Mariage ⑤

「ポメリー キュヴェ・ルイーズ 1995」 × 「松茸御飯」

「ポメリー キュヴェ・ルイーズ 1995」 × 「松茸御飯」
▲ 香ばしさ同士の掛け合わせが堪能できる、松茸御飯と「ポメリー キュヴェ・ルイーズ 1995」 のペアリング。
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最後のお料理は、年ごとに行われる「京都吉兆」の厳しいコンペを勝ち抜いた山形県産のつや姫で炊いた松茸御飯。ジューシーに塩焼きされた京赤地鶏が全体の旨味に奥行きをもたらします。合わせたのは、オールド・ヴィンテージの「ポメリー キュヴェ・ルイーズ 1995」 。

「ローストしたヘーゼルナッツのような香ばしさが特徴の『1995』は、香りと風味が豊かな松茸御飯とのバランスが非常にいい。デゴルジュマン(澱抜き)をしてから25年以上も長蔵していたにもかかわらず、いまなおフレッシュ感が残る素晴らしいヴィンテージです」
「京都吉兆」嵐山本店で開催されたガラディナー
▲ 10月中旬、「京都吉兆」嵐山本店で開催されたガラディナーの様子。
すべてのペアリングが、個々に美しいハーモニーを奏でることを確認し合った様子のピエルロー氏と徳岡総料理長。同日夜には各界のセレブリティを招待したガラディナー(写真上)も開催され、こうして「ポメリー」×「京都吉兆」の未来志向プロジェクトの火蓋が切られました。
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「いま、日本の食が世界中で注目され、世界の食文化の価値観が変わっています。それに伴い、日本料理とさらにマッチするシャンパーニュ作りが必要だという、両社の共通認識を大切にしながら、本プロジェクトを進めていきます」と、徳岡総料理長は意気込みます。

4年後のゴール地点を見据えながら国内外でさまざまなコラボレーションイベントを開催し、料理人やソムリエ、参加者たちからの意見を取り入れつつ、「最終的に、食で新しい価値観を生み出したい」(徳岡総料理長)。

シャンパーニュ界と日本料理界を代表するこの2社が、未来の食文化に何らかの革新を起こすに違いない──そう感じずにはいられなかったお披露目会。モテるオヤジさんにおかれましても、ぜひこちらの動向にはご注目いただきたいものです!

■ お問い合わせ

ヴランケン ポメリー ジャパン
公式サイトはコチラ

京都吉兆 嵐山本店
公式サイトはコチラ

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