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2025.01.08

連載/真の“贅沢”とは

知る人ぞ知る漬物「山家漬」。能書きはともかく、まずはひと口召し上がれ

さまざまなメディアでラグジュアリーライフを提案するコラムニストの中村孝則さんが、真の“贅沢”をご紹介する連載。今回のテーマは……。

CREDIT :

文/中村孝則

ファッションからカルチャー、旅やホテルからガストロノミーまで、ラグジュアリーライフをテーマに執筆活動を行っているコラムニストの中村孝則さんが、毎回1つのテーマのもとに真の“贅沢”をご紹介する連載です。今回のテーマは……。

■ 新潟県の南魚沼で愛され続ける漬物「山家漬」

今回は、新潟県の南魚沼で100年以上にわたり愛される、知る人ぞ知る漬物「山家漬」をご紹介します。小欄らしからぬシブいネタと思われるでしょうが、これが実に美味いのですね。その妙味に筆者もぞっこんなのです。正岡子規、高浜虚子、北原白秋、坂口安吾など多くの文人も惚れ込み、最近は海外からもフーディやシェフが訪れているそうで、世界のトップレストラン、デンマークの「noma」も訪れたのだとか。
新潟県の南魚沼で愛され続ける漬物「山家漬」
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この漬物は地元の銘酒「八海山」の純米吟醸の酒粕を使用した上品な味わいの酒粕漬けです。材料はこちらも地元野菜の錦糸瓜や越瓜、胡瓜、巾着なす、わらびなど、魚沼の地野菜を使用。200年来の蔵と木桶で、昔ながらの製法で伝統の味わいを今に伝えます。

山家漬は、「生漬」「中漬」「本漬」と、かす床を3度漬けかえて造るそう。そうすることで酒粕の風味がしっとりとなじみ、いい味がでるのだとか。漬ける期間は、トータルで1年から長いもので1年半。時間をかけて熟成させることで角の取れた独特な風味と香りをもち、創業当時から変わらぬ美味しさでファンを魅了し続けます。

もともとは雪国の知恵が生んだ保存食で酒粕という副産物で作られた伝統食ですが、“発酵”あるいは“サステナビリティ”という、今のガストロノミーの価値基準の潮流にフィットしていることで、再評価されています。
新潟県の南魚沼で愛され続ける漬物「山家漬」
▲ 厳選された野菜や雪国の山菜を、地元の銘酒「八海山」の酒粕に漬け込んだ風味豊かな粕漬け。200年以上前に建てられた蔵で1年半ほど熟成、発酵させ、ようやく味がととのい、完成します。通常は5種類の野菜ですが、今シーズンは茄子を除く錦糸瓜、越瓜、胡瓜、蕨の4種類となります。「山家漬 竹皮」1080円/今成漬物店
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そんな能書きはともかく、まずはひと口召し上がれ。ご飯のお供はもちろんのこと、日本酒や焼酎の肴としても最高。実はシングルモルトとの相性も抜群なんです。余った酒粕はチーズに付けても美味しいのですよ。
ちなみに「山家漬」という名前をつけたのは、新潟を代表する文人で書家の會津八一です。4代目現当主の今成要子さんの曽祖父で、山家漬の販売を始めた今成隼一郎さんと氏が親しく、この粕漬けの味を絶賛したことから、八一が好んだ西行の『山家集』にちなんで「山家漬」と名付けたのだそう。その八一の揮毫によるパッケージも素敵で、手土産としても喜ばれそう。
中村孝則(なかむら・たかのり)

● 中村孝則(なかむら・たかのり)

コラムニスト。世界各地を独自の視点で読み歩き、さまざまなメディアでラグジュアリーライフを提案。「世界ベストレストラン50」の日本評議委員長も務め世界各地で美食探求の日々を送る。

2024年12月号より
※価格はすべて税込み価格です

■ お問い合わせ

今成漬物店 025-772-2015

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