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2025.03.15

◼︎ ニュージーランド美食の旅【前編】

世界の“超美食家”がニュージーランドを目指すワケ

飛行機を駆使して日々世界を飛び回る超美食家(スーパーフーディー)たち。そんな彼らが今注目しているのがニュージーランドです。「えーっ、ニュージーランドといえば風光明媚なアウトドア体験でしょ!?」と都会派グルメの彼女が驚いてくれればこっちのもの。今度の旅ではあのコのそんな印象をアップデイトしてみませんか? ここでは前後編でお伝えいたします!

CREDIT :

文・写真/ shifumy(江藤詩文) 編集/平井敦貴(Web LEON)

新フェーズに入ったニュージーランドのフードシーン

ニュージーランド美食の旅
▲ 「アミスフィールド」の地産ワインはバリエーションが豊富なことでも知られています。
2024年11月6日、ニュージーランドのファインダイニング界にエポックメイキングなできごとが起こりました。シェフにフォーカスした国際的ランキング「The Best Chef 2024」で、ニュージーランドのレストラン「Amisfield(アミスフィールド)」が「ダイニング・エクスペリエンス」賞を受賞、さらにエグゼクティブシェフのVaughan Mabee(ヴォーン・マビー)さんが最高ランクの「3ナイフ」に選ばれたのです。
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ニュージーランド美食の旅
ここでちょっとニュージーランドの基本情報のおさらいを。

ニュージーランドは北と南のふたつの島からなり、首都は北島最南部のウエリントン。公用語はマオリ語・英語・ニュージーランド手話の3つ。通貨はニュージーランドドル(NZドル)で、1NZドル=約93.9円(取材時のレート)です。

国内の都市間の交通は、車や鉄道、バス、フェリーなどさまざま。また、ニュージーランド航空が全国にネットワークを張り巡らせ、“空飛ぶバス”としてキウイ(ニュージーランド人の愛称)の生活インフラとなっています。
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◼︎ 「Amisfield(アミスフィールド)」

3時間半にわたって繰り広げられる体験型レストラン

ニュージーランド美食の旅
▲ 「アミスフィールド」の内観。
ここで話を戻しましょう。「アミスフィールド」は、南島のクイーンズタウン近郊ヘイズ湖のほとりに佇む美しいレストラン。良質なぶどうの産地として名高いセントラル・オタゴ地域にワイナリーを所有しています。シェフのヴォーンさんは地元出身。食材は、地域のプロダクツを中心にほぼニュージーランドのものを使い、仲間がつくったワインに寄り添う、自社ペアリングを前提としたメニューを構成しています。

言うなれば世界的なムーブメントである“サステナブルな地産地消”ですが、ダイニング・エクスペリエンス賞を受賞するだけあって、ゲストの記憶に残る体験をともにクリエイトする、スタッフの“巻き込み力”がとても強いんです。
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植木鉢(?)をうやうやしく掲げて現れたり、どこまでが可食部かわからないお皿から料理を探したり、暗闇に包まれたガーデンを料理を食べるために散歩したり。めくるめくエンタテインメントが3時間半にわたって展開されます。ここで食事をしたなら、たとえ彼女とマンネリだったり大喧嘩していても、絶対に何かを語らずにはいられません。

幸運なことにわたしが訪れたのはちょうど「The Best Chef 2024」のアワード翌日。シェフのヴォーンさんはじめ、主要スタッフこそ授賞式が開催されたドバイに出かけてお留守でしたが、チームの盛り上がりとやる気がもう半端ない。熱気と熱狂に満ちた忘れられない一夜となりました。完璧に成熟する前、イケイケの上昇気流に乗っている今こそ訪れたい一軒です。
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◼︎ 「Mapu Test Kitchen(マプ テストキッチン)」

食をめぐる物語を共有! 高感度シェフのテストキッチン

ニュージーランド美食の旅
▲ 「マプ テストキッチン」オーナーシェフ、ジュリオ・ストゥルラさん。
もはやその評判は海を越え、オーストラリアやシンガポール、韓国など各国の感度の高いフーディーズをざわつかせているのが「MAPU Test Kitchen(マプ テストキッチン)」です。南島でイギリス開拓時代の街並みを残すクライストチャーチ市の中心部から車でおよそ20分。港町リトルトンにある「マプ」は、ファーム to テーブル、隠れ家、席数限定、ワンオペ、薪焼き、と、世界の最先端を行くイノベーティブなファインダイニング好きに刺さりまくるワードが揃っています。そのうえシェフは今世界が注目する南米出身。もう食べる前から期待する要素しかありません。
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ニュージーランド美食の旅
▲ 「マプ テストキッチン」の入り口。
知らなければ絶対にわからない、ウォールアートとトタンの壁に挟まれた細い路地を進むと、突き当たりが自家菜園、左手に小さなサインがありました。迎えてくれたオーナーシェフ、Giulio Sturla(ジュリオ・ストゥルラ)さんは南米チリ出身。スペイン・バスクからガストロノミーの潮流を変えた「Mugaritz(ムガリッツ)」など、世界の最前線で研鑽を積んだのち、ニュージーランドの持続可能な環境と食材のすばらしさにポテンシャルを感じて自身のレストランをオープンしました。
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店名の「MAPU」は、彼自身が生まれた場所で、現在のチリ中南部からアルゼンチン南部に住む先住民マプチェ族のマプチェ語にちなんだ造語です。自身のルーツであるマプチェ族が継承する食文化への敬意、そして新天地ニュージーランドの先住民マオリの食への深い理解から、ジュリオさんの現在のスタイルが生まれました。

「今の時代のリアルフード、食の本質とは何かをみんなで一緒に考える。そんなラボのような場所にしたくて“テスト キッチン”と名乗っています」とジュリオさんは語ります。
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「ワンオペで最高のサービスと料理を提供できる上限」という最大6名までのゲストがカウンター越しにジュリオさんを囲み、ともにワインを飲みながら、ひと皿に込めたバックボーンを語り合います。松ぼっくりからミルクを採ったり、クッキングバナナでつくったヌードルの作業工程を見せたり、実験的なプレゼンテーションがとにかくおもしろい。

すでに予約困難になりつつある注目店。6席限定なので早めの予約をオススメします。
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◼︎ 「Wharekauhau Country Estate(ファレカウハウ カントリー エステート)」

ニュージーランドらしい大自然と美食を優雅に楽しむ

ニュージーランド美食の旅
▲ 「ファレカウハウ カントリー エステート」では羊の放牧も。
キレ味のいいエキサイティングなダイニングでハイになった合い間には、ニュージーランドの大自然を味わうような“癒しの食体験”でクールダウンはいかがでしょうか。ニュージーランドには、領主の大邸宅をリノベーションしたような“シャトー”と呼びたいウルトララグジュアリーな「ロッジ」がいくつかあり、その土地らしい料理を提供しています。
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なかでもダイニングで評価されているのが、ルレ・エ・シャトーに加盟している「Wharekauhau Country Estate(ファレカウハウ カントリー エステート)」です。首都ウエリントンから車で1時間ほど、ワイララパ地方フェザーストンのパリサー湾を見下ろす断崖絶壁に建ち、背後には雄大なレムタカ山脈が連なる究極のロケーション。300エーカーの広大な敷地は農園でもあり、牛やヒツジがのんびりと放牧されているニュージーランドらしい風景に癒されます。
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厨房を指揮するのは、チリ出身の女性シェフNorka Mella-Munoz(ノルカ・メラ=ミュノ)さん。20年以上をニュージーランドで過ごし食への理解を深めてきました。キッチンチームで自家菜園をつくり、野菜やハーブを育てて料理に使っています。

食事やハイティーの利用もできますが、できれば宿泊がオススメ。というのもここはワイララパ星空保護区内にあり、夜にはすばらしい星空を眺められるのです。さらに同行の彼女をサプライズしたいなら、ウエリントンからヘリコプターで約10分のアプローチという手もありますよ。
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世界のフーディーが目指すニュージーランド、いかがでしたでしょうか? 後編ではそんなNZでワイン造りを行う日本人にもフォーカスを当ててお届けします。

取材・文・写真 shifumy(江藤詩文)

世界を旅するフードジャーナリスト。ガストロノミーツーリズムをテーマに、世界各地を取材して各種メディアで執筆。著名なシェフをはじめ、各国でのインタビュー多数。訪れた国は約100カ国。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~」(小学館)シリーズ3巻。Instagram(@travel_foodie_tokyo)でもおいしいモノ情報を発信中。

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