2022.06.26
【第64回】
女子高育ちの清楚系美女「20歳を過ぎた頃からだんだん遊び方が派手になって……」
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? 「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
写真/田中駿伍(MAETTICO) 取材/林 伸次 構成/木村千鶴
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第64回のゲストは、カエラさん(36)です。
大学に入るまで恋愛に興味がなかったです
「はい、こちらこそよろしくお願いします。お昼は召し上がりましたか? こちらに向かう途中にパン屋さんに寄ってきたんですが、多めに買ってきたので、よかったらおひとつどうぞ!」
── そんなお気遣いを……なんかもう、言い方からしてモテそうな感じがしてきました。あの、ここでは似ている有名人の名前を借りてニックネームにしているんですが、誰かに似ていると言われることはありませんか。
「う〜ん誰だろう。あ、木村カエラさんに似ていると言われたことはあります」
── では今日はカエラさんと呼ばせていただきますね。カエラさん、きっとあちこちで可愛いって言われてきていると思うんですが、自分が可愛いことに気付いたのはいつですか。
「ええ〜っ(笑)! 自分ではそんなこと思ってませんけど、ただ、両親には『可愛い』と言って育ててもらいました。でも中学から女子校だったので、見た目のことは意識してなかったかな。周りの人に、美人とか、可愛いとかは、言ってもらえることで認識し始めるような気がします」
── そうか、やっぱり相対的なものなんですね。都会で育った人は、原宿や青山なんかで、ナンパされたりスカウトされたりして気づくとも聞くんですが。
「あ、そういうこともありました。でも基本的には、精神的に子ども時代が長かったと言いますか、ませてなかった。大人に好かれることの方が楽しくって、同世代の男子に好かれることに興味がなかったんです。大学に入るくらいまではずっとそうでした」
学校では話のわかる頭のいい子をやってました
「ヒエラルキーのトップの子たちはそうだったと思います。でも私は勉強の方が好きだったので、そういうグループには属していませんでした。それよりも学校っていう社会の中でうまくやるには、やっぱり先生がすべてじゃないですか」
── ああ〜、そういう感じなんですね。ちょっと意外です。
「結構したたかでしたよ。夏休みだけこっそり髪は染めるけど、勉強はちゃんとして、話のわかる頭のいい子をやってた感じ」
── 子どもっぽい同級生より、大人の中にいる方が居心地いいと思う子だったんですね。
「そう(笑)。それに家が好きだったんですよね。家や学校生活でことが足りてるって感じでした。父親のことも好きでしたし」
「頭がいい人だなと感じるし、小さい時からよく面倒を見てくれたと思うんです。私が母親と揉めた時には『ママに今日こういうことで怒られたんだけど、私はちょっと違うと思う』みたいな話もよく聞いてくれましたね」
── お父さんにお母さんの話をするんですね。ちなみに、お父さんは何をしてる人ですか。
「元々は会社員でしたけど、脱サラしてから写真の仕事をしてました。ちょっとオタクな趣味人という感じです」
── きっとカエラさんも趣味人が好きなんでしょうね。お父さんと仲良しって話はあまり聞かないなと思って。
「話がわかるというか、アドバイスが的確だと感じることも多くて。大学生で初めて彼氏ができた時に、『沖縄に旅行しようよ』って誘われて、父に相談したんです。そしたら、「それ、普通は親に嘘ついて行くんじゃない? ダメって言われるのは分かってるでしょ。それ本当に行きたいのか、もう1回考えてみたら?』って言われて、その時は彼のこと凄く好きだって思ってたんですよ。でもよく考えたら、『あ〜、行きたくないわ』って気付いた、ってこともありました(笑)」
── あ〜、止めて欲しかったのか。そこまで話すって、本当に仲良かったんですね。
めちゃくちゃ稼いで自信に満ちている男性は好みじゃない
「狙ってないです(笑)。でも私、今、言われたような仕草とかを、きっとどこでも誰にでもやってるんですよね。女友達でも異性に対しても態度や話し方は変えていませんが、でもそうすると結局、逆に、周りからは良く思われないってことがあります。だいぶ学びましたけど、女子校育ちで恋愛経験も遅かったし、学びの機会が少なかったのは実感しています」
── あ、そうか。モテたり、モテそうな仕草をしたりすると良く思わない人もいる。
「そう、コミュニティの中でうまくやっていくには、これはちょっと違うんだなあと」
── モテたいという気持ちはありますか? それとも、モテると面倒臭い?
「モテるのは楽しいですよ(笑)。20歳を過ぎた頃からだんだん遊び方が派手になって、お金持ちの社会人と合コンしたり、六本木のクラブで遊んだりするようになっていました。大学が某有名大学だったのでネームバリュー的なものもあってか、結構その筋から声がかかるんですよ。でもごめんなさい、正直あの頃のことは忘れてますね。今からすると、どうでもいいことだったんだと思います」
「東京タワーが見える六本木のマンションに住んでるような人は、遊ぶ仲間に何人かいましたけど、やっぱり良い家庭に生まれ育って、優秀で、めちゃくちゃ稼いで自信があって、みたいな人はどうしてもオラオラしてるんですよね。無理。つまんない。全然好みじゃないです」
── そういう男性がいいっていう女性は多いように思うんですけど、カエラさんはちょっと違うんですね。後半では、カエラさんの男性の好みを聞かせてください。
後半へ続く
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。近著に小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)など。最新刊はcakesの連載から大人論を抜粋してまとめた『大人の条件』(産業編集センター)。