2022.12.05
【vol.13】和菓子を知る②手土産編・前編
モテる旦那の手土産にふさわしい和菓子とは?
いい大人になってお付き合いの幅も広がると、意外と和の素養が試される機会が多くなるものです。モテる男には和のたしなみも大切だと、最近ひしひし感じることが多いという小誌・石井編集長(47歳)が、最高峰の和文化体験を提供する「和塾」田中康嗣代表のもと、モテる旦那を目指す連載です。
- CREDIT :
文/牛丸由紀子 写真/田中駿伍(maettico) 撮影協力/躍金楼 取材協力/ダイナースクラブ(運営会社:三井住友トラストクラブ)
前回は銀座の和菓子の名店「萬年堂」のご主人樋口喜之さんから和菓子の歴史を学び、和菓子作りの実技指導も受けた石井編集長。今回は、手土産編としてお相手を喜ばせる和菓子の手土産の数々を教えていただきます。導いてくださるのは、日本中の銘菓に精通するギフトコンシェルジュ・裏地桂子さんです。
伝統に裏付けされた味でありながら、渡してどっきり、開けたらびっくり⁉ そんな女性の心をも翻弄できる?モテる和菓子の手土産ノウハウを教えていただきます。
いつもと違う特別感が出せる、和菓子の手土産
石井 知識を身に付けるだけでなく、やっぱり実践が大事ですからね(笑)。ぜひ今日はいろんな情報を教えていただきたいと思っています。
石井 この黒塀などかつてこの一帯が花柳界だった艶っぽい風情が残っていますね。それだけで期待が高まります。
大切なのは季節感? 希少性? 手土産の選び方
裏地 こちらこそ、よろしくお願いいたします。石井編集長も手土産をお持ちになる機会が多いと思いますが、いつもはどんなものを選ばれていますか?
裏地 そうですよね。でもそんな石井編集長だからこそ、いつもと違う特別感を出せるのが和菓子だと思います。もらった女性からすれば、「こんなものまで知ってるの?」と(笑)。
石井 そう思わせたら勝ちですよね(笑)。ぜひそんな効き目ある和菓子を教えてください!
亀末廣「京のよすが」/季節ごとに中身が変わる宝箱
石井 これは可愛らしい! 蓋を開けたとたん、絶対に「わ~♡」と言われますね。
裏地 色とりどりの干菓子や飴、半生菓子が宝箱のように詰められています。四季折々のモチーフ可愛いですよね。似たようなお菓子は他でもありますが、選ぶなら絶対ここ。季節ごとに中身が変わるので、楽しみにしている方も多いんです。
田中 これは「四畳半」と言われているんです。ほら、箱の仕切りが畳の四畳半みたいでしょう。
石井 本当だ! そんな小ネタもおもしろいですね。2段になっていて、かなりたくさん入っているし、どれにしようと食べる楽しみもある。
田中 日持ちもしますから、出張の時に買って帰るのもよいと思います。
亀末廣「京のよすが」
亀末廣 | 京名物 百味會 (kyomeibutuhyakumikai.jp)
すや「栗きんとん」/秋の季節には争奪戦になる銘菓
石井 前回の萬年堂さんのお話でも、その部分は教えてもらいました。やっぱり季節のものがちゃんと存在するのが和菓子の良さだということは、実際にこうやって見て食べて勉強になりますね。
田中 この季節のみなので、争奪戦になるんですよ。
裏地 味も素朴な甘みで、本当に栗をちゃんと食べているような感じなんです。和栗を使っているんですが、その栗そのものの味がいいんだと思いますね。
石井 うん、コーヒーでもいいし、ワインにも合いますね。
裏地 これは岐阜のお菓子なんですが、例えば自分の地元とか地域の物を贈るのもいいと思います。有名なものだけではなく、自分の街で美味しいものだからというちゃんとした意味合いがあることは、より印象に残ると思います。
すや「栗きんとん」
すや / 栗きんとん (suya-honke.co.jp)
うさぎや「どら焼き」/気軽に使えるけれど間違いない一品
石井 確かにそうですね。どら焼きなどはどんなお店にもあるし、気軽に持っていけるお菓子だからこそ、下手なものを持っていけない気がします。逆に気が抜けないかも(笑)。
裏地 ここは有名だし、間違いないですね。こういう良く知られているお菓子を選ぶ基準として、もうひとつ、“自分の好きなお店”というのも大事だと思います。「このどら焼きが美味しかったのでどうぞ」とひと言を添えて渡すのも心が伝わると思います。
石井 なるほど、今日は実際に味わうことができるので、自分の好きなお菓子も探せるいい経験になりそうです。
うさぎや「どら焼き」
うさぎや (wagashi.or.jp)
【ポイント】
■ 季節感を大事にする和菓子ゆえ、その季節に合ったものや季節限定の手土産は高ポイント
■ “自分の地元のお菓子”や“自分の好きなお店・お菓子”も手土産の選ぶ基準のひとつに
空也「もなか」/予約必須。銀座の店でしか買えない絶品甘味
田中 皮がふわっと繊細なので配送には向かないと、通信販売はしないそうです。
石井 編集部でも頂戴することがありますが、ちゃんと予約してお店に行ってくださったと思うと、余計うれしいですよね。
裏地 皮がちょっと湿気てきたら、オーブントースターで少し温めても美味しいんですよ。
石井 その情報うれしいです。そういう裏ワザを教えてあげられれば「わかってるヤツ」と思ってもらえるかも(笑)。
空也「もなか」
空也 (wagashi.or.jp)
紫野和久傳「西湖」/京都の料亭の味をおもたせにした美しい菓子
裏地 蓮根のでんぷん「蓮粉」と和三盆を練り上げて、笹の葉で包んだ生菓子です。甘すぎないですし、柔らかくてつるんと食べやすいので、どなたでもお好きなんじゃないかと思います。
田中 紫野和久傳は京都の料亭「高台寺和久傳」の味を「おもたせ」として仕立てた和菓子を販売しているんだけど、この「西湖」も料理の締めくくりに出されていたお菓子です。
裏地 そう、見た目の演出も大事だと思います。それと個包装になっているところもポイントですね。今の時代衛生的だし、分けるのも簡単ですよね。
田中 老舗の多くは、もっと素朴な箱だったり紙包みだったりしますからね。和久傳さんのお菓子はそういう演出も上手だと思います。
石井 これは東京でも買えるんですね。
裏地 贈る立場としては、入手困難な希少なものだけじゃなく、入手しやすいものも知っておくといいと思います。急な会食で用意する時間が無くても、味も見た目も魅力的なものを渡せるスマートさも必要ですよね。
石井 う~ん、忙しさを理由にいつもと同じものを選んじゃうこともあるからな~(笑)。反省します!
紫野和久傳「西湖」
和久傳の〈れんこん菓子 西湖〉
石井 なるほど。“お福分け”っていう考え方は素晴らしいですね。つまらないものじゃなくて、自分が幸せを感じたもの、素敵だと思ったものを渡すという感じですね。
裏地 「つまらないものですが……」というよりも、「これはとっても美味しかったので」とか、「僕がとっても好きなので」というひと言のほうがいいと思います。どれだけ希少かなどのうんちくを語るのでもなく、例えば「京都に行った時に、とても好きになったものなのでどうぞ」というような素直な気持ちを伝えた方が、相手の心に響くのでは。
石井 知識も経験も豊富な女性をも、きっと驚かせることができそうな銘菓というわけですね(笑)。楽しみです!
【ポイント】
■ 贈り物= “お福分け”。自分が幸せを感じたものを渡す気持ちで
■ 「つまらないものですが…」は厳禁。「とても美味しかったので」など、素直な気持ちを伝えること
■ 希少なものだけではなく、1年中入手しやすく魅力的な手土産も知っておくと便利
● 裏地桂子(うらじ・けいこ)
ギフトコンシュルジュ、文筆家、草月流師範。ハイエンドな女性誌のライターとして活躍後、雑誌や企画展などの商品セレクションをはじめ、ブランディング、ショップのプロデュースや商品企画、商品開発などを手がける。数社の企業の顧問アドバイザーを務めている。食通、きもの好き、としても知られ、個別指導の「草月流師範・裏地桂子のいけばな教室」を主宰。近著に『最上級のプチプラギフト100』(光文社)。ほかに、『ほめられきもの宣言』(小学館)、『もの、好き。』『贈る心得』(講談社)など著書多数。コロナ禍を機に東京・人形町と愛媛・道後温泉での遠隔2拠点生活をスタート。毎日、更新のインスタグラム @k.uraji が、好評。
HP/www.uraji-keiko.com
● 田中康嗣(たなか・こうじ)
「和塾」代表理事。大手広告代理店のコピーライターとして、数々の広告やブランディングに携わった後、和の魅力に目覚め、2004年にNPO法人「和塾」を設立。日本の伝統文化や芸術の発展的継承に寄与する様々な事業を行う。
和塾
豊穣で洗練された日本文化の中から、選りすぐりの最高峰の和文化体験を提供するのが和塾です。人間国宝など最高峰の講師陣を迎えた多様なお稽古を開催、また京都での国宝見学や四国での歌舞伎観劇などの塾生ツアー等、様々な催事を会員限定で実施しています。和塾でのブランド体験は、いかなるジャンルであれ、その位置づけは、常に「正統・本流・本格・本物」であり、そのレベルは、「高級で特別で一流」の存在。常に貴重で他に類のない得難い体験を提供します。
■和塾
HP/http://www.wajuku.jp/
■和塾が取り組む支援事業はこちら
HP/https://www.wajuku.jp/日本の芸術文化を支える社会貢献活動
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