2023.03.28
窪川勝或
前川國男建築を昭和レトロモダンに仕上げたセカンドハウス
インテリアスタイリストとして活躍する窪川勝或さんがアトリエ兼くつろぎの場として活用しているセカンドハウス。日本を代表する建築家・前川國男が建てたテラスハウスにモダンな要素を取り入れています。
- CREDIT :
文/浦本真梨子 写真/平郡政宏 編集/秋山 都
すべては名建築との出会いから始まった
モダンな要素を取り入れて自分らしい空間に
「プランニングの時点で置きたい家具はほぼ決まっていました。イームズのオーバルテーブル、セルジュ・ムーユのフロアスタンド、TONのベントウッドチェア、ジョージ・ネルソンのライティング。いずれも1950〜60年代までに作られた名作です。また、解体予定の家から、同年代に造られたサンウェーブの琺瑯製キッチンを譲り受け、それを新たに取り付けました。シンクは柳宗理デザインなんですよ」
「たとえばチーク材のテーブルに合わせて椅子もチークを選びがちですが、そうするとちょっとヴィンテージ感が強くなりすぎる。椅子をブラックにすることで、モダンな雰囲気がアップします。ジョージ・ネルソンの照明も本来コードは白なんですが、黒に変更。白い壁に対して黒いラインがすっと入ることで部屋のアクセントになりました。また、現代の生活に欠かせない家電も色を統一。空気清浄機やロボットクリーナーなど、見える場所に置く家電は黒に揃えて空間で浮かないようにしています」
ヴィンテージへの愛情が心地よさを作る
「30代前半で初めて東京でヴィンテージハウスを購入し、リノベーションしたんです。エイジングされた家をブリティッシュ・ヴィンテージテイストに仕上げたのですが、そこからリノベーションの楽しさに目覚めました。そして、この住宅に出合った時、自宅とはまったく違う雰囲気にしようと思ったんです」
▲ 味のある床や階段は竣工当時のものを生かした。曲げ木の鏡は柳宗理のデザイン。
▲ 竣工時テラスだった部分は屋根をつけた小部屋に。ヴィンテージの《ニーチェア》を置いたディスプレースペースとして活用。
▲ 2階の天井にはブルーノ・ムナーリがデザインした小猿《ジジ》が。愛嬌たっぷりのポーズで訪れた人を癒してくれる。
▲ 窪川さんの後ろの壁は壁材を剥がすと出てきたコンクリートブロック材。
▲ 味のある床や階段は竣工当時のものを生かした。曲げ木の鏡は柳宗理のデザイン。
▲ 竣工時テラスだった部分は屋根をつけた小部屋に。ヴィンテージの《ニーチェア》を置いたディスプレースペースとして活用。
▲ 2階の天井にはブルーノ・ムナーリがデザインした小猿《ジジ》が。愛嬌たっぷりのポーズで訪れた人を癒してくれる。
▲ 窪川さんの後ろの壁は壁材を剥がすと出てきたコンクリートブロック材。
●窪川勝哉(くぼかわ・かつや)
インテリアスタイリスト。1974年山梨県生まれ。バンタンデザイン研究所インテリア学部在学中より、空間プランナーの赤松珠抄子に師事。独立後は雑誌やテレビなどでのインテリアスタイリングやウィンドーディスプレー、メーカーとのコラボによる家電プロデュースなど多方面で活躍。