平和酒造4代目社長・山本典正さん、マクアケ代表取締役社長・中山亮太郎さん、僕と私と株式会社CEO・今瀧健登さんに「仕事を学んだマンガ」をリコメンドしていただきます。
平和酒造4代目社長・山本典正さんが選ぶのは……
その1
日本酒業界の問題をリアルに描いた『夏子の酒』
私は、小学生高学年から中学生にかけての多感な時期にこの作品と出会い、酒蔵を継承しようとする自分自身と重ねるところが多くありました。現在は、夏子の考えたのとはまた違う形で、日本酒業界の発展に向き合っていますが、問題意識が芽生える最初のきっかけの作品であったのは間違いありません」(山本典正さん、以下同)
ここが見ドコロ!
「物語のクライマックスとなる12巻。復活米である品種・龍錦を使って杜氏を中心に酒造りに取り組むも、夏子の納得するものにならない……。最後の仕込みとして若い蔵人が酒造りに取り組み、それが搾られた際に夏子が口に含み、涙をすることで、皆が龍錦での酒造りを知るというシーンが印象的です」
その2
現代の企業経営さながらの『三国志』
特に、三国である魏・呉・蜀はリーダーたちのキャラクターがそれぞれ違い、それを囲むように有能な家臣が活躍します。それぞれのリーダーのキャラクターが家臣団に反映してるかのように思えるのは、現代のスタートアップ企業などが、個性の強い経営者に引っ張られて進んでいく姿に重ねられるからでしょう」
ここが見ドコロ!
「物語の終盤、才能と人徳に優れた孔明が、忠義を尽くした劉備玄徳の死の後に残された蜀を守るために活躍をする姿は、蜀が彼の死後ほどなくして衰退する事実を知る現代人からすると哀愁を感じます。ハイライトといえばやはり、死せる孔明が生ける仲達を走らせる場面」
● 山本典正(やまもと・のりまさ)
1978年生まれ、和歌山県出身。東京のベンチャー企業を経て、2004年に平和酒造へ入社。それまでの廉価な大量消費のためのお酒ではなく、日々の人生に豊かな彩りを添えられるお酒を届けたいとの想いから「紀土」「鶴梅」を立ち上げ、近年ではクラフトビール「平和クラフト」の発売も開始。
HP/平和酒造
株式会社マクアケ代表取締役社⻑・中山亮太郎さんが選ぶのは……
その1
スタートアップのリアルな成長物語が胸アツ! 『トリリオンゲーム』
作品の中身とはズレますが、この作品のストーリーを考えるにあたって原作担当の稲垣理一郎先生が、有名ベンチャーキャピタリストや業界のトップ経営者にリアルな経験を取材したとのこと。ただのファンタジーではなく、そういった一次情報のファクトもしっかりとリサーチする汗のかき方にも感銘を受けました」(中山亮太郎さん、以下同)
ここが見ドコロ!
「第6巻の43話。高圧的な買収を持ちかけてきた超大手企業に対して、主人公がその申し出を断り、逆にいつかこっちが買収すると宣戦布告するセリフ『俺らがあんたらを、喰うんだよ』に高揚感を得ました」
その2
マネジメントメンバーとも共有したい『異世界社長 魔王軍で成り上がる!』
異世界ファンタジー物語とともに、マネジメントの基礎的な考えをシンプルに言語化してくれているので、自身や会社のマネジメントメンバーの基礎スイングの確認になり、ある種のHow to漫画でもあるなと思っています。仕事の中で起きるコミュニケーションミスや妬み嫉みの感情や戦略の考え方など、物語になっているからこそイメージしやすくなります」
ここが見ドコロ!
「2巻の14話で、主人公が上司の課長に対して、『課長は“いい人”だけど“いい上司”とは言えない』と気づくシーン。現実でもアルアルなので笑ってしまいました」
● 中山亮太郎(なかやま・りょうたろう)
株式会社マクアケ代表取締役社⻑。2006年に株式会社サイバーエージェントに入社後、社長運転手の傍ら新規のオンラインメディアを立ち上げ、その後ベトナムでのベンチャーキャピタル事業を担当。2013年に現在の株式会社マクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」をリリース。2019年12月には東証マザーズに株式を上場。一般社団法人ベンチャー型事業承継の理事として日本全国のアトツギの背中を押す活動も推進している。
HP/マクアケ
今瀧健登さん(僕と私と株式会社CEO)が選ぶのは……
組織論と有言実行の素晴らしさを学んだ『ONE PIECE』
そして、尾田栄一郎先生の伏線回収力は圧巻です。私自身も夢を公言し、実行し、伏線回収できるような人生を、僕の世界の主人公として歩んでいきたいです」(今瀧健登さん、以下同)
ここが見ドコロ!
「16巻、Dr.ヒルルクがトナカイ人間・チョッパーへ話すシーンです。『人はいつ死ぬと思う…?』から始まるセリフは、人生で大切なことや、想いは残り続けることを教えてくれました。僕自身もZ世代の企画屋として、100年後も誰かの記憶に残るような人物でありたいと思います」
● 今瀧健登(いまたき・けんと)
僕と私と株式会社CEO。1997年生まれ。Z世代へのマーケティング・企画UXを専門とし、メンズも通えるネイルサロン『KANGOL NAIL』、食べられるお茶『咲茶』などを企画。Z世代代表として多数のメディアに出演し、"サウナ採用"や地方へのワーケーション制度など、ユニークな働き方を提案するZ世代経営者。一般社団法人Z世代代表。NewsPicks U-30プロピッカー。