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2023.08.10

愛犬家はモテる、は本当か? 犬を飼って人生が変わったオヤジの物語

目まぐるしく時代が変化しているなか、モテるオヤジはどうあるべきか? 過去の価値観にとらわれず、しなやかにしたたかに現代を生き、男女を問わず皆に好かれる「愛されオヤジ」たちをご紹介する本特集。最後はモテる旦那養成講座でもおなじみの和塾代表・田中康嗣さんの登場です。

CREDIT :

文/牛丸由紀子 写真/トヨダリョウ 編集/森本 泉(LEON.JP)

【愛されオヤジ11】田中康嗣さん(「和塾」代表)

愛されオヤジは愛犬の散歩が日課です

田中康嗣 LEON.JP 愛されオヤジ
仕事、プライベートを問わず人間関係の在り方にデリケートな判断が求められる最近の世の中にあっても、しなやかに、したたかに人生を楽しみ、男女を問わず皆に愛される「愛されオヤジ」たちを紹介していく本特集

最後にお話を伺ったのは、本サイトの人気連載「モテる旦那養成講座」の指南役としてもおなじみ、NPO法人「和塾」代表の田中康嗣さんです。

博報堂のコピーライター、クリエイティブディレクターとして国内外の広告賞を受賞した後、独立。その後も数多くの広告やブランド構築、マーケティング施策の立案やイベント、映像作品のプロデュース、メディアの立ち上げなど、常に時代の最先端を走ってきた田中さんですが、40代で日本文化の奥深さに目覚め、一流の和文化を学び、広め、支えたいと50を越えてからNPO法人「和塾」を設立。

以降は日本文化の総合プロデューサーとして八面六臂の活躍で今に至っています。その類まれなるバイタリティと、一見強面ながら、開放的で嘘偽りのないキャラは、まさに愛されオヤジそのもの。

聞けばプライベートでは、飼い犬であるボーダーコリーの紫苑(シオン)くんにすべてを捧げる超愛犬家という点に注目し、田中さんの愛されオヤジっぷりを「愛犬家」という切り口から探ってみました。

愛犬との悲しい別れを経て20年ぶりに犬を飼うことに

実は、いま飼っている愛犬・紫苑くんは、まだ10カ月の仔犬。生粋の愛犬家だった田中さんですが、この20年間は犬を飼っていなかったそう。

「子供の頃から家ではずっと犬を飼っていて、実家を出てからも40代の頃まで、フラット・コーテッド・レトリーバーという犬を飼っていました。この子は泳ぐのが大好きだったので、葉山の海のすぐそばに別荘を買って、毎週末に連れて行って海で遊ばせていました。もちろん当時も仕事の拠点は東京。でもそれが楽しくて仕方なかったんです」
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田中康嗣 LEON.JP 愛されオヤジ
▲ ボーダーコリーの紫苑くん。
ところがその愛犬を突然の病気で亡くし、以来、ショックと喪失感から、しばらくは葉山に近づくこともできなくなってしまったそう。

「あまりに悲しくて、思い出がいっぱいで、葉山に行くだけで涙が止まらないんです。持っていても仕方ないから、別荘は売ってしまいました」

その後、喪失感はもちろんのこと、仕事も多忙になり、出張の多いひとり暮らしで留守番させるのもかわいそうと、田中さんは犬を飼うことなく20年を過ごしました。

ところが昨年、縁あってめでたく再婚! 二人でならと20年ぶりに念願の犬を飼うことになったのです。
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賢い犬ゆえに、最初のしつけが肝心

「まず犬が飼えるマンションを探して引っ越し、失効していたクルマの免許も取得して、受け入れる準備に1年近くかけました」と、まさに万全の体制で迎え入れたのが、紫苑くん。10月に生まれたので、奥様が秋に咲く野菊“紫苑”をその名に。実は犬の中でも一番賢いと言われているのがボーダーコリーだそう。

「頭が良すぎて扱いが難しいと言われることもあるんです。でも、だったら挑戦してみようと思いました。いろいろ調べて、奈良のブリーダーまで出かけてこの子に決めました。でも本当に賢いんです。ちょっと親バカですけど(笑)。

以前飼っていたレトリバーもすごく素直で、こちらが言った通りに行動してくれたけど、ボーダーコリーは例えば「Come!」と言っても一瞬考えて、その意味を自分で判断するところがある。人間の行動をよく見ているので、飼い主もちゃんとしていなければという気にさせられます」
最近の研究によると、犬はチンパンジーよりも高いコミュニケーション能力を持つことが実証されたとか。紫苑くんもまだまだ遊びたい盛りですが、それでも散歩の際はちゃんと田中さんの横についてスピードを合わせて歩き、カフェでもおとなしく座っていられます。でも、それは田中さんが根気よく続けているトレーニングの賜物でもあるとか。

「1年目はやっぱり大変。育てるには飼い主の忍耐力も必要です。基本的なしつけはもちろん、いろんなところに出かけてたくさんの犬や人間に会わせて、都会で生きていくための社会性を身に着けさせています。最初の6カ月でこの基本をクリアすることがとても重要で、それによって犬もストレスなく生きてゆくことができるのです」

犬は群れのリーダーが誰かということを見分けるもので、もし群れの中での自分のポジションを勘違いしてしまうと、頑張って吠えてみたり、出合った犬に噛みついたりするのだとか。

「家族という群れの中のリーダーがしっかりと屹立していて、犬がその中でのポジションを理解していれば、落ち着いた穏やかな性格を獲得できて、安心して家族に甘えることもできるんです。ボーダーコリーは、賢くて育てがいがあるので、これからもっといろんなことを教えてあげたいと思っています」
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犬中心の毎日が心の余裕に繋がって

犬を飼うと、しつけも大変だし、時間の管理も必要、飼い主として命を預かる責任もあります。

「それでも、犬との生活には、そうした面倒ごとを遙かに越える喜びがあります。肉体的にも精神的にも。生活のすべてが豊かになる」という田中さん。

「紫苑が我が家にやって来て、日々の暮らしは大きく変わりました。早寝早起き。朝晩の散歩は欠かさず、週末は山や海へ。自然が身近になり、四季の移り変わりを毎日感じる生活が手に入ります。それまでは夜も気にせず仕事を入れていましたが、今は紫苑のためにしっかり早めに切り上げて、無駄に飲み歩くこともなくなりました。

小さな犬一匹には、大の大人の暮らしを激変させる力があります。モチベーションを無理にでも高めないと続かないジムと違って、犬の散歩はもう毎日、朝晩欠かさないので、いい運動にもなっています」

木々の葉の色づきや、桜の開花、星や月の満ち欠けなど、日々の小さな発見に気づくようになったのも、紫苑くんとの散歩を続けているから。そんな心の余裕は、まわりにも影響を及ぼすもの。気づけばさまざまな場所でさまざまな人と出会い、交友関係も広がったそうです。
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「よく行く公園やカフェでは、犬をきっかけに、これまで出会わなかったような方々との交流も生まれています。犬同士が仲良くなるとそこから飼い主同士も仲良くなることが多いので、今までとはまったくタイプの違う方達とも知り合います。仕事ではそこまで純粋に仲良くなることはないので、犬が自分の世界を広げてくれているとも感じています」

可愛い犬が寄ってくれば、老若男女問わず心を開くのは人間の常。

「僕みたいなおじさんが道行く人にいきなり声をかけたら、ちょっと怖いでしょ(笑)。それが可能になるのも紫苑のおかげです」と田中さんも言うように、警戒心を解きコミュニケーションがスムーズになるのは犬好きの特権かも⁉

その愛に打算なし! 無償の愛に答えられる人間になれる!?

田中さんが話すのを見守りながら、時折甘える仕草を見せる紫苑くん。そんな何気ないやりとりに、優しい飼い主と可愛い相棒という二人の関係が垣間見え、思わずこちらも笑顔になってしまいます。

「でも、前の犬が亡くなってからは、少々ギスギスした人間関係もあったように思います」

犬を飼ったことで、人への接し方もいささか変化したと言います。

「ずいぶん優しくなったと思いますね。犬の純粋な愛を毎日全身に浴びて、自分もそれに応えようと思えば嫌な人間ではいたくないですよね(笑)。だからあらゆるものに優しくなれる」

さらにちょっとしたことは気にせず、何事もおおらかに感じることができるようになったとか。

「犬と一緒にいると、いろんなことが許せるようになりますよ。大切なスーツに泥足で飛びついてきたり、お気に入りの靴だっておもちゃにされますからね。紫苑がもっと小さい頃は家具やカーペットもよく齧られました。人間が傷つけたら怒るだろうけど(笑)、可愛い仔犬の大暴れ、細かいことを言ってもしょうがないと思えるようになるんです」
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犬の魅力をひと言で言えば「それは、無償でピュアで混じりけのない真実の愛を与えてくれること」と田中さん。

「人間同士は、例えどんなに愛し合っていても、やはりどこかに打算がありますよね(笑)。けれど犬にはそれがない。肩書きだのキャリアだの収入だのといった余計?なものを剥ぎ取った、素のままの、ありのままの自分を愛してくれる存在は偉大です。

例えば、飼い主が出掛ける時、犬は出かけた飼い主がいつ戻ってくるのかはわからない。5分後には戻ることもあるでしょうが、5時間後になることもある。ひょっとすると長期の出張などで、50日家をあけるかもしれない。それがわからないままで、人間はそれを待てますか? 犬はそれをずっと同じように待っていてくれる。人間なら、何も言わずに50日も家を空けたら確実に愛想を尽かされます(笑)。

犬には裏も表もないし、人間の関係にありがちな駆け引きもない。ただただ、自分を素直に愛してくれることを、十分に感じさせてくれるんです。愛に飢えている人ほど、犬を飼うことをお勧めしますね。人間に愛を求めても思ったようにはいかなくて、辛く厳しい現実が待っていたりしますから。犬の愛は裏切りませんぜ(笑)」

いやいや田中さん、素敵な奥さんを迎えたばかりじゃないですか(笑)。でも奥さんとの良好な関係にも紫苑くんが大きな役割を果たしているのは事実のようです。

「最近、表情が柔らかくなったって、よく言われますね(笑)」

ペットに対する態度にこそ、その人の素の姿が溢れ出てくるもの。犬が与えてくれる無償の愛に応えるために生まれる優しさや心の余裕は、自然とその人の魅力となり、まわりに伝わっていくはずです。そう、ペットを心から愛するオヤジは巡り巡って、人間からも“愛されるオヤジ”になるということ。犬好きに悪者はいないという言葉は、まさに真実かもしれません。
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● 田中康嗣(たなか・こうじ)

「和塾」代表理事。大手広告代理店のコピーライターとして、数々の広告やブランディングに携わった後、和の魅力に目覚め、2004年にNPO法人「和塾」を設立。日本の伝統文化や芸術の発展的継承に寄与する様々な事業を行う。

■ 和塾

豊穣で洗練された日本文化の中から、選りすぐりの最高峰の和文化体験を提供するのが和塾です。人間国宝など最高峰の講師陣を迎えた多様なお稽古を開催、また京都での国宝見学や四国での歌舞伎観劇などの塾生ツアー等、様々な催事を会員限定で実施しています。和塾でのブランド体験は、いかなるジャンルであれ、その位置づけは、常に「正統・本流・本格・本物」であり、そのレベルは、「高級で特別で一流」の存在。常に貴重で他に類のない得難い体験を提供します。
HP/http://www.wajuku.jp/

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