2023.12.29
日本人の知らない日本の魅力を知っている⁉ 海外の富裕層ツーリストは何を求めて日本に来るのか?
コロナ禍を経てインバウンドは完全復調目前。そこで注目したいのが旅慣れた富裕層のツーリストたち。なぜなら彼らの動向には我々日本人、とりわけモテたいオヤジさんたちも学ぶべきところが多いから。最新のラグジュアリー系インバウンドに関するリアルな情報をリポートします。
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編集・文/矢吹紘子
そこでライター業のかたわら、通訳案内士としてVIPゲストのアテンドを行なっている筆者が、ビジネスパートナーであるハイクラス向け旅行エージェントに取材。最新のラグジュアリー系インバウンドに関するあれこれや隠れたスポット、裏話までリアルな情報をリポートします。
海外富裕層の動向を追うことで、満足度が高い穴場を見つけることができる
つまり彼らの動向を追うことで、私たちにとっても非常に満足度が高い穴場を見つけることができるというわけ。さらには日頃から一流の場所やモノに触れているだけあり、旅先でも本物を探す目利きであり、次にブレイクしそうな人やビジネスを見つける目もさすがのもの。
とりわけLEON世代のビジネスパーソンにも有益な情報をくれるソースでもあるのです。そこで今回は日頃からお世話になっている海外ラグジュアリー層向けの紹介制トラベルエージェンシー「ROJY」代表の山田ひろみさんにお話を伺いつつ、知られざるその実態と注目すべきポイントをレポートします。
自然に囲まれ心を豊かに。影には富裕層ならではの“癒され願望”が!?
【1】自然の中で癒されるアクティビティ
【2】味に加え地元との一体感がある飲食店
【3】異なる“レベル”で日本らしい宿選び
【4】人との触れ合いや、地元との一体感
【5】ニッチな分野の知識やオプション
その理由はというと、子供の社会見学のために電車や地下鉄の切符を買うところから体験したい、といった“異文化学習”マインドのほか、パンデミックの影響も大。「コロナ後は全体的に自然を求める傾向が強くなっていて、軽めの山歩きやハイキングがトレンドです。東京近郊だと伊豆の達磨山が密かに人気。トータルで3時間ほどというほどよい距離感に加え、山頂から富士山が綺麗に見える穴場なんです」(山田さん)
さらに富裕層ゲストはビジネスなどを通じて人と交流する機会が極端に多かったり、さまざまな社会環境に置かれているため、「人疲れ傾向」が顕著に見られると山田さんは指摘します。そのため禅寺で瞑想をしたり、日本庭園で庭を眺めるといったウェルネス系の需要は常に高め。1358年に京都で創建された臨済宗寺院「両足院」でのプライベートメディテーションは、今やインバウンド御用達となっています。
訪日富裕層の食の動向を追えば今行くべき店も穴場も丸わかり
「初日におすすめすることが多いのが『青山鮨かねさか』。ここは系列店の中でも比較的若手の職人が寿司を握るのが特徴で、シェフとしては駆け出しの彼らが心を込めて握った寿司を食するというストーリー性が、ゲストの心を絶妙にくすぐるんですね。他店と同レベルの食材を使っているのに価格帯がやや低めで、予約がとりやすいというブッキング側の理由もあります」
「店主が通りを歩く近所の子供に気さくに声をかけていたり、街の人の息遣いが伝わるような感じ。こういう地元との“近さ”のある店は、その新鮮さもあってより心に深く刻まれるようです」(山田さん)
それにしても海外富裕層の旅路を追うと、わたしたちが思い描く“観光客”の固定概念を軽々と覆してくるな〜とつくづく実感させられますよね。後編では気になる宿選びや、その他の見逃せないポイントを分析・レポートします。
※後編(こちら)に続きます。
● 山田ひろみ (Romy)
紹介制のトラベルエージェンシー「ROJY」ファウンダー、CEO。幼少期をLAで過ごし、MTVやAppleなどの米国系企業でマーケティングに携わる。海外富裕層、クリエイター、デザイナー、ハイブランド企業等向けのキュレーション、企画、イベント運営、コンサルティングを専門とする同社を設立。
HP/https://rojy.tokyo
● 矢吹紘子(やぶき・ひろこ)
ライター、編集者、通訳案内士。小誌のほか『BRUTUS』『POPEYE』などライフスタイル誌を中心に記事を執筆・編集。ロンドン大学で修士課程修了後、プライベート通訳としても活動。京都を拠点に海外からのVIPゲストのアテンドや旅のキュレーションを行なっている。
Instagram/@tokyoai_hiroko