オトナの世界を楽しく刺激する艶語の世界
艶のある言葉=艶語(えんご)に注目する本連載。昨今、スマホやPCに頼りすぎているため漢字の読み方などついおざなりにしがちですが、艶語を知ることでアナタの艶もちょっぴり刺激され、乾いた日々にも少し潤いがもたらされたらいいな、なんて。いくつになっても艶を忘れず、色っぽく参りましょう~!
ということで、第2回のお題はこちら。
この漢字、何と読む?
この場合の「転ぶ」とは、古く芸妓さんたちがお客さんと深い仲になってしまうことを指しています。芸妓は舞や唄、三味線など芸でお客をもてなす商売ですが、人と人のつきあいですから、時に恋に落ちることだってありますよね? これを「転ぶ」と称したそうでして、つまりこの場合は路上でスッテンとつまずくわけではなく、布団にコロンと「転ぶ」わけです。
では「不見転」とは? これは相手を“見ないで転ぶ”。つまり、相手がどんな男であろうと深い仲になってしまうことを指しています。多くはお金が介在する関係だったでしょうが、女性が自立して生活するのが今よりもっともっと難しかった時代ですから、さまざまな辛い事情が背景にあったであろうことは想像に難くありません。
ちなみに、同じような意味で「蹴転(けころ)」という言葉もあります。これは「蹴れば転ぶ」。つまり、力ずくで関係に及ぶわけですから、現代のモラルに照らし合わせればパワハラにセクハラの合わせ技です。許されることではありません。
「不見転」の用法と例文
1.「あのコ、誰とでも寝る不見転だって評判よ」
(パパ活だって相手の顔くらいは見ていますね)
2.「今夜、岸田さまとアフターしてくれない? 不見転しろってわけじゃないし、いいでしょ?」
(ママからのソフトな命令、断れないのかなぁ?)
3.「不見転で契約しちゃって、あとで文句言ってもダメだからね」
(後先を考えずに行動してしまうことも「不見転」と言います)