2024.03.24
【第90回】
モテる星に生まれた女性の人生から見えてくる「モテ」のメリットと弊害とは
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? バーのマスターであり、大人の恋愛に関する著書を執筆する林 伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林 伸次 写真/田中駿伍(MAETTICO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第90回目のゲストは、咲さん(27)です。
美人だとは思わないけど、“モテる星”に生まれてしまった
「よろしくお願いします!」
── まずはここでのニックネームから決めたいんですが、誰かに似ていると言われることはありますか。
「本当に恐縮ですが、武井 咲さんに似ていると言われたことがあります」
── あ、全体の雰囲気が似ている気がします。では、咲さんにしましょう。いつも最初に聞いている質問があるんですが、いつ頃自分が美人って知りましたか。
「特に自分が美人とは思っていないんです。モテる星に生まれてしまっただけで(笑)」
── のっけから楽しい! 「モテる星に生まれた」って良いですね。
「本当に可愛らしい女の子の要素はなかったんですよ。子どもの頃は、髪もスポーツカットでボーイッシュな感じだったし。なのになぜかモテた。たぶんキャラクターモテだと思います」
「小学6年生です」
── 早い(笑)。小学生だとどんなお付き合いになるんだろう。
「デートで頑張って手をつなぐ、プリクラで頑張ってハグが精一杯といった感じかな」
── 精一杯というか小学生で!? ませてる〜。その彼とはいつまでお付き合いしてたんですか。
「中学校が別々だったので自然消滅しました」
── 中学でもモテたんですよね? きっと。
「それはそうなんですが(笑)、でも本当に、楽しいから好きって思われるんじゃないかなと」
友達の元彼と付き合ったら激怒されました
「あ〜、中学の時には目立つグループにいて無敵だったんですが(笑)、そういういざこざは高校生になると出てきました」
── どんなことがあったんでしょうか。
「高校は違うけど、町で目立ってる男子がいたんですね。田舎なのでお洒落な人ってほとんどいなかったんですが、その彼はシュプリームとかコムデギャルソンを着て、まるで東京にいるような男子で……その子と付き合ったんです」
── 地元の有名人みたいな男子だったんですね。でもどうやって出会うんですか。
「ある日、母親と買い物をしている時に初めて彼を見かけて、『うわっ、あんなお洒落な人いたんだ、カッコいい〜』とは思いました。ちょっと目が合った気もして(笑)。でもその時はそれだけ、私も忘れていました。後日Instagramに投稿したものに知らない人からコメントが来たので、友人に『この人知ってる?』と聞いたら、なんと彼だったんです」
── わ〜あの彼じゃん!! ってなりますよね。
「そう! それきっかけで交流が始まって。でもこの彼が友達の元彼で、いざこざが生まれました」
「いや本当にそうなんですけど、学校にはカーストがあるじゃないですか。彼女は凄く綺麗でオシャレで頭も良くて、だからとても強いんです。それもあって最初は告白されても断ってたんですが、彼女に新しい彼氏ができてとても幸せそうだったので、じゃあいいかと思って周りに隠したまま彼と付き合ったんですよ。でもすぐにバレて、激怒されました」
── 激怒! 別れているのに「私の男を取られた」って思っちゃうんですかね。
「内心寂しい気持ちがあるのかもしれませんね。この揉め事の間に入ってくれた子がいたんですが、これまた向こう側寄りで、『A子が彼のこと凄く好きだったこと知ってたのに、なんで付き合ったの?』って聞かれたんです。だからもう『いや別れてるし、なんでいつまでも自分のものって思ってんの? そもそも自分で言いに来ずにあなたに言わせてるのもどうなの?』と言ったら、まあそうだねってうやむやになったんですが」
── そうやってちゃんと言えるのはとてもいいことだと思います。人間関係に困った時にも乗り越えられるんですね。
「ありがたいことに、女性の先輩たちが味方になってくれたんですよね。そういう心強さもあったと思います」
異業種に転職して2カ月で社内トップ業績に!
「専門学校への進学がきっかけでした。小学生の時からウェディングプランナーになりたかったんです。6歳の頃にリングガールという、結婚式で指輪を届ける女の子をしたんですね。その時に係のお姉さんに優しくしてもらってから『カッコいい〜! 私もウェディングプランナーになる!』と。それでブライダル関係のことが学べる学校に入り、憧れていた会社でウェディングプランナーの職に就けました」
── ウェディングプランナーの仕事の良いところは何でしょう。
「一生に一回のお祝い事に携われるのはもちろんですが、これまで生きてきた人生のことを新郎新婦から聞いて計画を立て、それを結婚式に形作るわけです。お式の最大のポイントに差し掛かった瞬間、会場がわ~っと湧くのを会場の端っこで見ていると、感動なんですよね〜」
「いえ、PR関連の会社を経営しています。そもそも3年くらい働いたら起業しようと決めていたんですが、ブライダルは業界自体が狭い、規模が小さいんです。いろんな経営者の方々に相談しましたが、ブライダルは今後縮小していくよ、そこで勝負しても……と口々に言われてすっごい悔しくって。じゃあ勧められた業種を全部やってやろうと思い、退職後にまずは不動産の営業をしました。2カ月ぐらいで社内トップの業績を上げたら、それを見てくれたベンチャー企業の社長に『新卒採用の人事部を立ち上げてほしい』とお声がけいただいてそちらに移り。その後は経営コンサルの会社の社長さんと縁があってPR事業の仕事を学び、今に至る感じです」
── 凄い躍進ですね。違う業種に転職して2カ月でトップになるって、難しいですよね。
「はい、だからめっちゃ勉強しました」
「あんまり好きじゃないんですけど、スイッチが入ると徹底的にやる方です。新しい世界を知ることも、0から1を作るのも好きなので頑張りました。とりあえずやってみる、やりながら勉強する、といった感じで」
── 営業で数字を取るのも得意そうな感じがするんですけど、それ以上に人と仲良くなれるコミュニケーション能力が備わっていると感じます。
「ありがとうございます。周囲の人に恵まれたんだと思います」
── ご自身の積極性などに加えて、周囲にも恵まれたからこそ目標を実現できているんでしょうね。そうして色んな人とつながれる、能力を買ってもらえるのは何故だと思います?
「話をしっかり聞いた上で話を膨らませていく傾聴スキルと、話しやすさは大事かもしれません。あとは、物怖じせずに動き続けることかな」
── 物怖じせずに、か。それは大事かもしれませんね。後編では、お仕事をされてからの恋愛事情について聞かせていただけますか。
後編に続く
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/19:00〜24:00
定休日/日・祝
TEL/03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』(幻冬舎)