2025.04.15
【第7回】
超富裕層が望む本当のファッション事情とは?
富裕層向けコンシェルジュサービスを運営するアルカディア代表取締役の才津香果(さいつかぐみ)さん。贈り物選びから旅の手配などなど、世界のセレブリティのあらゆる要望に応えるなかで見てきた、富裕層の遊び方とは?
- CREDIT :
構成・文/才津香果 写真/笠谷 龍 協力/株式会社アルカディア 編集/森本 泉(Web LEON)

上質な素材と卓越した仕立てによって価値を表現するスタイル
「イケてる人に見られたい」「人より経済力があることをさり気なく主張したい」そんな思いでついついハイブランドのロゴやモノグラムに寄りかかりたい気持ちを責めることはできません。私もシンプルなニットにお気に入りのブランドのワンポイントロゴが入っているだけで、突然可愛くみえる、そんなことが多々あります。
ただ、主張の激しいブランドをもし「ラウド・ラグジュアリー」と言うならば、まったく正反対の世界「クワイエット・ラグジュアリー」という世界があります。
私はファッションの専門家ではないけれど、日々お客様と接している中で、この世界を好む富裕層が増えてきたと肌で感じます。

大半のデザインでロゴの表示はなく、ほぼ誰にも気付かれない
・BRUNELLO CUCINELLI(ブルネロ クチネリ)
・Loro Piana(ロロ・ピアーナ)
・The Row(ザ・ロウ)
ちなみに、この中でも絶対覚えておいて欲しいブランドは圧倒的にブルネロ クチネリです。
クワイエット・ラグジュアリーの特徴は3つ、①タイムレス、②控えめ、③本質的価値があるアイテムであることです。
本音を言うと、ハイブランドファッションを購入する時、もちろんデザインを気に入って購入はするけれど、さり気なくハイブランドであることも主張したい私としては、数年前ヨーロッパで初めてこのブランドを紹介された時、衝撃を受けました。
まさに最高品質の「ザ・シンプル」。無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインと、極上の素材、そして卓越した技術によって生み出されるお洋服たち……大半のデザインでロゴの表示はありません。
確かに素晴らしい着心地ですが、正直、ほぼ誰にも気が付かれません。トップの港区女子でもわかるか怪しいところです。

真の価値を知る人だけが理解できる上質なアイテム
彼らは洋服によっても富裕層であることをアピールする必要はなく、それよりも真の価値を知る人だけが理解できる上質なアイテムの方が好ましいのです。
一見まったくわからない。ただ、わかる人には多大なる効果を発揮するのがクワイエット・ラグジュアリーです。それらは超富裕層には認知が高いので「品格があり、わかっている人」と一目置かれる効果があります。併せて目が肥えていて、いいものを見極める感性のある人にも響くことが多いのです。
実際、後輩経営者と食事に出かけた際に、形が綺麗なニットコートを着ているなと思っていたら、店内でさっと脱いだ際にブルネロ クチネリのタグが見えて、あーなるほど、さすが仕立てがいいのだなと一目置いたものです。
次回は個人的にクワイエット・ラグジュアリーの代表ブランドと考えている、ブルネロ クチネリのこだわりや、製品を見分けるポイントをお話させてください。ロゴのないブルネロ クチネリのニットをみて、超富裕層に「素敵なニットですね」と伝えられたら、分かっているなと思ってもらえるかもしれません。

● 才津香果(さいつ・かぐみ)
1982年生まれ。有料会員制コンシェルジュサービス「アルカディア」代表取締役。早稲田大学在学中から株式投資を行い、卒業後はリクルートに入社。2カ月で退社したのち飲食店や営業会社、ITビジネスを立ち上げる。2014年に事業売却、ドバイに移住する。その資金で世界のラグジュアリーリゾートをめぐり知見を得る。2019年、旅の経験を活かし、アルカディアを設立。ギフトの選定から、旅行企画、クリニックやファッションのアレンジなど富裕層のあらゆるオーダーに応え続けている。
富裕層の本音が明かされる会員制サロン【ビヨンドミー】運営。プロから学べる実践的な記事コンテンツや、価値観の合う仲間との出逢い、ホテルやクリニック、商品など、最大80%オフの割引特典も。
公式HP/https://beyondme.arkadear.com/