2022.01.15
【第54回】
中条あやみ似のトリマー「悪いオジサマにはやっぱり魅力があるんです」
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? 「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林 伸次 写真・構成/木村千鶴
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。第54回のゲストは、あやみさん(29歳)です。
18歳上の元彼には“裏”がありました
「こんにちは。今日はよろしくお願いします」
── え〜、ここでのニックネームを、芸能人の名前を借りてつけたいんですが、誰かに似ている気がするんですけど……。
「あ、そうなんですね。たまに笑った顔が中条あやみさんに似てるって言われます」
── あ、中条あやみさんだ! では本日は、あやみさんと呼ばせていただきます。早速、恋愛の話から聞かせてもらってもいいですか? 自分が美人だなって気づいたのはいつくらいですか。
「今も美人とは思ってないけど、自信がついたというか、自分を受け入れることができたのが、23歳くらいの時ですね」
── その年齢まで自信がなかった?
── 目に留めてくれるというと、その頃からモテ始めたんですか?
「モテたというより、いろんなチャンスが巡ってくるようになったんです。恋愛だけじゃなく、仕事や交友関係を含めた、いろんな意味でのチャンス」
── そういうことが続くと自分に自信がついてくるの、わかります。その頃はどんな人とお付き合いされていたんですか。
「18歳上の人と2年くらい付き合ってました。いい人ではありましたけど、裏がありましたね」
── 裏ってどんな?
「離婚したって言ってたのに、籍が抜けてなかったんです」
── あ〜、悪い男によくあるやつだ。
SNSで“彼氏の奥さん”を発見……!
── ってことは、奥さんがいない時に呼ばれてたんですか。
「そうだと思います。ある時、彼の家で奥さん宛の郵便物を見てしまって名前がわかったので、SNSで検索したらヒットしちゃって。背景に映ってるのは彼の家だし、離婚してないなって気づいたんです」
── なるほど〜、奥さんのSNSで事実がわかっちゃったんですね。でも、その彼と付き合ってる時には楽しかったんですか。
「凄く楽しかったですよ。月に1回は旅行して、必要な家電とかも買ってくれたし、抜かりなかったですね。一緒に暮らそうとも言ってくれていました」
「はい、言われてましたけど、その気配はないし、元奥さんと言っている人にアトリエを探せとも言わない。……ってことは、真剣ではないですよね」
── 彼には奥さんのSNSのアカウントも見てるって言ったんですか。
「別れる時に言いました。離婚していないのであれば、それは私に言わないといけないことだったって。その前にも彼に『何かあった時に慰謝料を請求されるのはこっちだから。籍が抜けていても内縁関係だとか、相続が奥さんになっているとか、そうすると訴えられるのはこっちだから』って言ったんです。その時はもう、泣きながらですけど」
── そうか、泣いちゃって……。
「はい、そしたら、『ちゃんと離婚している。心配かけてごめんね』って言ってたんですが、嘘だったんですよね。私がアカウントを見つけてなかったら、わからないまま付き合って、ずっと信頼していたかもしれない」
「自分で調べました。もし離婚してなかったらどうしよう、って心配だったので」
── そうですよね、それで人生棒に振ることもありますからね。
「はい。だから、離婚しているって彼が言っているLINE画面をスクショするとか、自分を守れる証拠を全部取っておいて、別れる時には奥さんにDMを飛ばしました」
── えええええ!! DM送ったんですか。怖い!(笑) どうなりました?
「やれることは全部やった感じかな。奥さんを激怒させて、『あなたの敵は私じゃないですよ、訴えるべき人間は誰だと思いますか』という話に持っていくのが私の狙いでした。彼女とタッグを組んで、元彼から慰謝料でも取れたらいいなとも思いましたけど(笑)、そうもいかなかったですね」
── その元彼からはメッセージきました? 「奥さんにメッセージした?」とか。
「う~ん、DMのことに合わせて、『渡してあった私の家の合鍵を返してほしい』とメッセージで送ったんですが、彼からブロックと着信拒否をされてしまい、一番大事な合鍵のくだりが届いているかわからなかったんですよ。それで再度奥さんにDMしたら合鍵がポストに入っていたので、奥さん宛のメッセージももしかしたら読んだんじゃないでしょうか」
── あ〜、読んだでしょうね。そうか〜。なんか凄いことを聞いてしまいました。
場数を踏んでいるオジサマって魅力的なんです
「そうですね、元彼のことを、なんであんなに好きになったかっていうと、ん〜何というか、誠実ではないところなんですよ(笑)」
── 誠実じゃない方がいいんですか(笑)。
「そういうわけじゃないんですけど、遊んでる男性って魅力的ですよね。『いいじゃんこれくらい』って言ってしまえる悪さがある」
── それ、もうちょっと詳しく聞きたい。それはどういうことで感じさせるんだろう。女性にビビってないとか、話慣れてるとか?
「ルーズに感じることも多いけど、でも、欲しい時に欲しいワードが出てきますね。それがギャップになって、“なんだ、ちゃんと私のことを愛しているんじゃん”って思わされてしまう」
── あ〜なるほどそこか! 結局私のことが好きなんだ〜、みたいなのがたまんないんですか。
── そういう人って毎日言うんですね! そうか、やっぱり言わなきゃいけないのか。これ、大きいですね。
「しかも、それで大胆なことをやってのけちゃうんですよ。一緒にいて刺激的で楽しいんです」
── 破天荒で、でも自分のこと見て、好きを伝えてくれる。そしてお洒落。それはモテるだろうな。
「そしておじさんなのに、若々しい(笑)。私の目線で話が通じるし、一緒にはしゃいでくれる。普段ちょっとウザくても、何かあった時には100%守ってくれるという信頼感もある。場数を踏んで、世の中のことをわかってるから」
── それだ! 大人の包容力みたいなものと精神的な若さをもっていて、実行力もあったら、それは魅力的ですよね。その実行力が浮気にも発揮されてしまっているのでしょうが(苦笑)。年の差があってもモテる人は、やっぱりそれだけの理由があるんですね。では、次回はその後の恋愛についてお聞かせいただけますか?
(後編へ続く)
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間 / 月~土 19:00~24:00
定休日 / 日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。近著に小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)など。最新刊はcakesの連載から大人論を抜粋してまとめた『大人の条件』(産業編集センター)。