生まれて初めてお酒を飲んだ時から「おいしい!」って思った(美月)
実はこちらの醸造所、妹である木村柚月さんが醸造長を務めているんです。いつもはお酒造りで忙しい柚月さんですが、今日はお酒とおいしいおつまみを囲んでふたりでゆっくり。もちろん飲むのは、柚月さんが仕込んだどぶろく「ハナグモリ」です。
「この『ハナグモリ』、本当においしい! 普通のどぶろくだと、ちょっと癖があったり辛かったりするけど、これは普段日本酒飲んでいない人にも飲みやすいよね」(美月さん)
「お米を良く溶かすように造っているから、粒感はあるけど滑らかでしょ? 微発砲ですっきり飲めるようにしているの」(柚月さん)
「生まれて初めてお酒を飲んだ時から、違和感なく『おいしい!』って思ったんですよ(笑)」という姉と、とことん極めようと大学の醸造科で学び、どぶろくの造り手になった妹は、まさに生まれながらのお酒好きと言えるかも。
「お酒は何でも好きです!」と言いながら、「インプットが多くないといいアウトプットができないので、ホッピーからウイスキーまで勉強のためにもいろんなお酒を飲んでいます」とは、さすが醸造長である柚月さん。
片や美月さんも「好きなのは日本酒ですが、食事にあわせていろいろ飲むので最近はビオワインにも興味津々。でも寒い日は焼酎のお湯割りがいいですね」と守備範囲はかなり広い模様。
家には日本酒やウイスキー、焼酎など5~60本のお酒を常備(柚月)
「夫も日本酒関係の仕事をしているので、家には日本酒やウイスキー、焼酎など5~60本のお酒を常備。ビールかハイボールから初めて、〆の日本酒まで料理にあわせて選んだり、飲みたいお酒にあわせたり料理のメニューを決めたりしています」
でもたまに行く居酒屋では並々と入れてくれるホッピーを楽しんだり、まさにいろいろなお酒の世界を楽しんでいます。
「お店で知り合った人と仲良くなって、一緒に飲むことも。まったく違う世界の人と出会ったりするので、ひとりで行っても楽しいんですよね」
酔っぱらうとズバズバ言う毒舌になっちゃうんです(美月)
「打ち上げなどでは本当に飲みますね。酔ってくるとみんな話がおもしろくて、もっと聞きたいと思っちゃいます。主宰者である長塚圭史さんはじめ、先輩たちに演劇人御用達のバーに連れてって行ってもらうこともあるんですが、普段稽古場では聞けない貴重な話も聞けるし、お酒だと私もリラックスしてしゃべれるので、話しやすいんです」
「なので、酔っぱらうとズバズバ言う毒舌になっちゃうんです(笑)」
普段言えないことが言えちゃうため、なんと当時つきあっていた人にブチ切れたこともあったそう。
それ、完璧に男性陣は勘違いしちゃうひと言じゃないですか!
「でも男女問わずなんです(笑)。恋愛感情じゃなくて、とにかく純粋に『あなたのことが好きだ~』と宣言しちゃうんです」
こんな素敵な女性に言われて、ほんのひと時でも男性に夢を見させてくれるなら、それも良しかも。まさに美月さんの本音の扉を開くのがお酒なんですね。
「私の場合はお酒の事をずっとしゃべっています(笑)。いつもはあえて控えているので、聞いてくれるの? うれしい! と思って、1聞かれると100答えちゃう(笑)。普段も常にお酒の事しか考えてないから、酔うと加速しちゃうんですよね」
「だから、こんなにお酒について知識と情熱を持って、醸造長としてパワフルに働いている姿をみて、すごいな~と思っているんです。妹ながら、本当にカッコいいと思います」と、美月さんも柚月さんの活躍ぶりを心から喜んでいます。
「今は日本酒だけですが、今後はワインやビールなどあらゆるお酒を造ってみたいですね。さらにいつか、古事記に書かれているお酒のような、今はもう文献にしか残ってないお酒を造って飲むのが夢です」と、柚月さんのお酒に関わる夢はまだまだ尽きないようです。
私がどんなに飲もうと気にしないで欲しい(柚月)
「自分のペースで飲みたいし、相手も自分のペースで飲んで欲しいので、お互いのペースで飲めるとうれしいですね。私が1杯しか飲まなくても、自分が飲みたければ死ぬほど飲んで構わないし、逆に私がどんなに飲もうと気にしないで欲しいです(笑)」(柚月さん)
「私は飲むとすごくしゃべるので、一緒に会話を楽しめる人がいいですね。ただし、自慢ばかりになるのはNG。自分の意見だけではなく、ちゃんと私の話も聞いてくれて、会話のキャッチボールができるとうれしいです」(美月さん)
「いえいえ、お酒のウンチクを聞くのは大好きです!」(柚月さん)「私も!お酒のウンチクならどんどん、ひけらかして欲しいです」(美月さん)とふたりから意外な答えが!
「お酒の知識はもっと知りたいですし、私もお酒の話ばっかりしそうなのでいろいろ教えて欲しいです」と柚月さん。
美月さんも「逆に自慢話よりも嫌なのは、今食べたり飲んだりしているものに対してぜんぜん興味がないこと。それだったらウンチクでもいいから、興味持って一緒に楽しみたいと思います」とうれしい言葉が。
右● 木村美月(きむら・みつき)
1994年3月生まれ。東京都出身。9歳から舞台に出演。立教大学文学部文芸・思想専修在学中に虚構の劇団に入団し、俳優としての活動を始める。以降、俳優業と執筆業を両立。学生時、朝日中高生新聞にて書評を連載。虚構の劇団退団後、2018年に阿佐ヶ谷スパイダースのメンバーとなる。2019年、木村美月の企画を旗揚げ。プロデュース公演を行い、主に脚本と出演をする。主な執筆作品に、『幽霊塔と私と乱歩の話』、『まざまざと夢』、幻都『朗読劇ロミオとジュリエット』脚本構成など。
左● 木村柚月(きむら・ゆづき)
1996年2月生まれ。東京都出身。高校時代、微生物が醸す酒類に魅了され、東京農業大学醸造科学科へ進学。大学では酒類学研究室にて清酒用花酵母の研究に励み、卒業後は公益財団法人日本醸造協会に勤務。その後、やはり自らの手でお酒を造りたいと、2023年1月木花之醸造所の3代目醸造長に。 単純な原料で複雑な味わいを表現する日本の伝統的酒類の魅力をより多くの人に知ってもらうために、幼い頃よく立ち寄った駄菓子屋のような、誰でも酒造りを身近に感じてもらえるような醸造所を目指している。
ALL (W)RIGHT -sake place-(オールライト サケプレイス)
Craft SAKE醸造所「木花之醸造所」に併設された日本酒バル。自家醸造酒はもちろん、全国各地の日本酒やクラフトビールを揃え、酒粕を使った料理などお酒に合う料理を提供する。
住所/東京都台東区駒形2-5-5 B1
営業/17:00~22:30(フードL.O.21:30、ドリンクL.O.22:00)、土日祝15:00~22:00(フードL.O.21:00、ドリンクL.O.21:30) 月曜休
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