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2024.08.10

玉置玲央「ええ、真面目ですよ。それであなたに何か迷惑がかかりますか?」

鴻上尚史さん作・演出による舞台『朝日のような夕日をつれて2024』(8月11日~)に出演する俳優の玉置玲央さんにインタビュー。その後編です。自身の真面目な性格に葛藤してきた過去と舞台に懸ける思いを伺いました。

CREDIT :

文/長谷川あや 写真/アライテツヤ スタイリング/森川雅代 ヘアメイク/西川直子 編集/森本 泉(Web LEON)

玉置玲央 WebLEON
鴻上尚史さん作・演出による舞台『朝日のような夕日をつれて2024』(8月11日~)に出演する俳優の玉置玲央さんにインタビュー。大河ドラマ「光る君へ」の藤原道兼役を始め、悪役やクズ役を次々と演じてきた玉置さんですが、実はとびきりの真面目男なのでした。インタビューの後編です(前編はこちら)。
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真面目な人がバカをみない作品を作っていきたい

── 少し前のnoteに、真面目であることがコンプレックスと書かれていて、さまざまな作品で、見事にクズを演じてきた印象から、正直、ちょっと意外でした(笑)。ただ今日、お話していて、真面目という意味が少しわかったような気もします。もともと根が真面目なんですか。それとも意識的に真面目にしている?

玉置玲央さん(以下、玉置) 僕は根が真面目なんだと思います。そしてすごく神経質です。ただコンプレックスはなくなりました。以前は真面目と言われるのがイヤで、そこから脱却したかったのですが、むしろ今は、真面目な人がバカをみない世界にしたい、バカをみない作品を作っていきたいと思っています。
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── 真面目な人がバカをみない作品とは……。

玉置 あまりいいことではないのですが、僕が長く身を置いている演劇の世界では、一部に不真面目であることが尊ばれるような風潮があって(笑)。たとえば、二日酔いで稽古に遅刻するとか、それは僕にとってはありえないこと。

演劇を作る以前に社会常識から反していることだし、社会常識から逸脱した状況で作られた作品が面白いわけがないと思っています。でも考え方は人それぞれで、そうは思わない人もいるし、逸脱することで面白いことが生まれることも確かにあります。でも僕は、そういったプロセスに納得ができません。健全な体で、健全な精神で作る作品こそが、お客様の心に健全に響くと信じています。

── おっしゃる通りだと思うし、確かに健全な体と精神で作られた面白い舞台が見たいですよね。

玉置 それを「真面目だな」と言われるたびに、「うるせえな、コイツ」と心の中で思っていましたが、この歳になると、「ええ、真面目ですよ。それであなたに何か迷惑がかかりますか」と言い返せるようになりました(笑)。
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── (笑)。そんな真面目な玉置さんが、クズ役や悪役を好演しているのがお芝居の面白さですね。ご本人としてはどんな気持ちで演じているのでしょう?

玉置 なんなんですかね(笑)。しかも自分で言うのもなんですが、(ヒール役を演じるのは)わりと得意だったりします。ないものねだりというか、憧れに似た感情はどこかにあるかもしれません。

実は僕、体質的にお酒が飲めなくて、でもいろいろな方が泥酔するのは何度も見てきているので、酔っぱらいの芝居はできるわけです。そして、不真面目な人たちもたくさん見てきたので、「これって、こういうことだよね」って演じることができるし、もしかしたら俯瞰できている分、演じやすいのかな。

実際、演じていて面白いですしね、ヒール役。ただ、ぼちぼち好青年の役もやってみたいという気持ちもあります(笑)。

少しでも舞台ってすごく素敵なものなんだと知ってほしい

── 玉置さんと言えばまずは舞台のイメージですが、最近はドラマや映画など映像の仕事でも注目されています。ジャンルについてはどう考えているのでしょう?
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玉置 今は舞台も映像もやっていて、どちらも好きですが、できることなら舞台の世界にもっとお客様を呼んで、少しでも多くの人に「舞台ってすごく素敵なものなんだよ」ということを知ってほしいという思いはあります。劇場という空間で、リアルタイムで上演される演劇ってやっぱり圧倒的な体験だと思うんです。そういう意味では、映像で僕の存在を知ってもらい、舞台に足を運んでもらう人を増やしたいという気持ちはあります。

ただ、自分の生活を潤したいから売れたいとか、「ああいうポジションに行きたい」というのはないですね。そういう仕事の仕方をしたら、疲れてしまうと思うんです。長く俳優業を続けていきたいので、飄々とのんびりとやっていきたいです(笑)。

── それほど大切に思っている俳優という職業の醍醐味を、どんなところに感じていらっしゃいますか。

玉置 やはりいろいろな方と出会えるのが楽しいです。共演者、スタッフの方、そして、視聴者やお客様──。今、こうして取材していただいていることも含め、俳優という仕事を通していろんな人と触れることはとてもうれしくて素敵なことだと感じています。
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● 玉置玲央(たまおき・れお)

1985年生まれ。東京都出身。劇団「柿喰う客」に所属し中心メンバーとして活躍している。舞台『リア王』『ジョン王』『パンドラの鐘』『ゲルニカ』など、舞台を中心に活動してきたが、近年は映像作品にも活躍の場を広げ、2018年の『教誨師』で第73回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞。主な出演作に、大河ドラマ「光る君へ」、ドラマ10「大奥Season2」、連続テレビ小説「おかえりモネ」、「恋する母たち」などがある。

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紀伊國屋ホール開場60周年記念公演
KOKAMI@network vol.20
『朝日のような夕日をつれて2024』

鴻上尚史が劇団「第三舞台」の旗揚げ公演として、22歳の時に書いた処女戯曲。サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」(1953)を下敷きにした物語と、オモチャ会社・立花トーイの物語が交差し、さらにもう1つの世界が描かれる。1981年5月、早稲田大学大隈講堂裏特設テントにて初演された同作は、大きな話題となり、1980年代の小劇場ブームを牽引。初演以来、1983年、85年、87年、91年、97年、2014年と、時代とともに変化を遂げながらこれまで7回上演され、87年には紀伊國屋演劇賞を受賞。初演からは14年の上演まで、大高洋夫、2回目の公演からは小須田康人が続けて出演してきたが、10年ぶり8回目となる今回はキャストを一新。30代の5人の俳優、玉置玲央、一色洋平、稲葉友、安西慎太郎、小松準弥の出演によって上演される。

上演期間/東京公演 2024年8月11日(日)〜9月1日(日)@紀伊國屋ホール、大阪公演 2024年9月6日(金)~9月8日(日) @サンケイホールブリーゼ
HP/https://www.thirdstage.com/knet/asahi2024/ 

■ お問い合わせ

HEMT PR 03-6721-0882

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