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2024.08.24

見上 愛さんに教わったこと。「男は」とか「オヤジは」とか主語を大きくして語ってはいけません

世のオヤジを代表して作家の樋口毅宏さんが時代の先端を走る女神たちに接近遭遇! 今回のゲストは、俳優の見上 愛さんです。非常に聡明でしっかりした考えをお持ちの23歳。樋口さんも教わることが多いのでした。

CREDIT :

構成/井上真規子 写真/トヨダリョウ スタイリング/下山さつき ヘアメイク/豊田健治 編集/森本 泉(Web LEON)

樋口毅宏 見上愛 WebLEON
『さらば雑司が谷』『タモリ論』などの著書で知られる作家の樋口毅宏さんが、時代の先端を走る女神たちの魅力に迫る連載対談企画「樋口毅宏の手玉にとられたい!」。

今回のゲストは、いま注目の若手俳優、見上 愛さん。2019年のデビュー以来、映画やドラマ、舞台、CMと次々に出演し印象的に残る活躍を続け、今年は大河ドラマ「光る君へ」にも初出演を果たしました。8月29日には、Netflixシリーズ「恋愛バトルロワイヤル」の配信がスタート。作品について伺った前編(こちら)に続いて後編では仕事観やプライベートの楽しみについても伺いました。
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「俳優に限らず色々な表現を知って、色々な分野でやっていきたい」(見上)

樋口毅宏さん(以下、樋口) デビューから丸5年が経ちました。今年は特にドラマ出演が続き、大河にも出られたし、映画でも単独主演を果たすなど、仕事の幅が広がって一気に世に名前が出たという印象です。デビュー当初から、こうなるんだ! みたいなイメージはあったんですか?

見上 愛さん(以下、見上) 全然なかったです。でも、いま、特に違和感もないです。いろんな仕事をさせていただいていることも、割とすんなりと受け入れられているという感覚です。

樋口 めちゃくちゃ忙しいですよね。

見上 私は忙しい方が好きで、小学生の頃から1日のうちに3つとか習い事を詰めたりしていたんです。同時に何かやってる方が心のバランス的にも凄く良かったんです。大学とお仕事を両立してたこととか。だから今忙しくさせていただいてるのも自分に合っているんです。マルチタスクが好きなので。

樋口 ご両親はお喜びでしょうね。芸能界に入ることに反対されたりはしなかったですか?

見上 反対はされなかったですね。自分の人生だから、自分で決めて責任も自分で取りなさいという考えなので。父が音響系の仕事だったのもあり抵抗はなかったみたいです。でも私が女優として表に出ることになった時はびっくりしてました。

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樋口 文化度の高いお家だったんですね。

見上 すごく恵まれた環境で育ったというのを最近改めて感じました。

樋口 とはいえ、東京で育ってお家の文化度が高い人のすべてが俳優さんで主役になれるわけではないです。見上さんは選ばれた方ですよ。好きな俳優さんはいらっしゃいますか?

見上 たくさんいるんですけど、意識的には俳優に限らず色々な表現を知って、色々な分野でやっていきたいという思いの方が強くて。表現者の中で憧れてるといったら、やっぱり寺山修司になっちゃいますね。

樋口 ひょっとしたら見上さんの中には、今でも演出家目線があって、演じながらも「ここはこうしたい」とか思っていたりするんでしょうか。将来的には、やっぱり演出や監督もやってみたいという気持ちはありますか?
見上 いつかはやりたいなと思ってます。大学に入ったばかりの時は、すぐにでも「劇団作るぞ!」みたいな気概があったけれど、劇団を作って専門にやっている方たちを見ていると、自分はまだまだ勉強が足りないなって。だからもっと勉強してからやりたいですね。

樋口 今は蓄えてる時期。

見上 そうですね。とはいえ俳優のお仕事もすごく楽しいので、今は目の前の俳優業を頑張ろうと思ってます。
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「今は目標を決めずに、流れていく楽しさを味わいたい」(見上)

樋口 忙しい中で時間を縫って映画や舞台を見に行ったりされてますか?

見上 そうですね。特に舞台はやっぱり好きで、休日に息抜きでよく観に行きます。映画に関しては、どうしても仕事目線が入ってくる感じがあるんですけど。

樋口 見上さんはストイックで、スポンジのように色々吸収されているんだなと思いました。今後の目標や目指すべき道筋みたいなのも見えているんですか?

見上 それはまったくなくて。目先の小さな目標みたいなものはあった方が頑張れる時もあるけれど、この仕事って出会いの世界じゃないですか。人も作品もご縁の世界だから目標を決めすぎると面白くない気がして。今は流れていく楽しさみたいなのを味わいたいと思っています。でも、やっぱり俳優に限らずいろんな表現をしていきたいですね。

樋口 今後、こういう作品に出たいとか何か希望はありますか?

見上 多分今までちゃんとコメディをやったことがないので、コメディは挑戦してみたいですね。

樋口 初の単独主演作となった映画『不死身ラヴァーズ』は、少しコメディ要素もある気がします。

見上 確かに! ああいうコメディ感のある作品に挑戦してみたいですね。
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樋口 舞台を見に行かれる以外に、ブライベートで楽しみはありますか?

見上 趣味で、中高の同級生と雑誌を作って売っているんです(※1)。演技以外の表現の場として、皆で作るのがすごく楽しくて。あと、息抜きにアニメもたくさん見ます。

樋口 今、雑誌業界では廃刊が続いたりして調子が悪いんですけど、そういうなかで紙の雑誌を作りたいと思ったのはなんでですか?

見上 純粋に紙とか、印刷のインクがめちゃくちゃ好きなんです。普段からこの紙でこの印刷をやりたいっていうのをよく考えていて、それが始まり。あと雑誌『STUDIO VOICE(スタジオボイス)』(※2)が好きで、高校の時に皆でアーカイブをちょっとずつ買って集めて回し読みしてました。

樋口 随分昔の雑誌です。希望がありますね。若い人の中から、紙の良さっていうのが伝えられると、雑誌もまだまだいけると思いました。文章も書きたいんじゃないですか? 

見上 書きたいです。最近雑誌のコラムをやらせていただいたりする機会があって、文章を書くのは好きだなと思います。昔、劇評とかも書いてました。
※1 見上さんが編集長を務める『マフィン マガジン』。2023年6月に創刊。個人自由(Liberty)を合言葉に「遊び」をテーマにした雑誌。
※2 1976年創刊のカルチャー詩。旧流行通信社が発行。文化人や芸能人の読み応えあるロングインタビューや、独自の視点で同時代のカルチャーを鋭く切り取った記事が人気だった。紙の雑誌は2009年に休刊。
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「主語を大きくしない世の中になってほしいです!(笑)」(見上)

樋口 最後に、LEON読者である40~50代のオヤジ世代に、何かアドバイスをいただけないでしょうか。こういうことするのはNGとか、好印象だよとか。

見上 結局、個人と個人の関わりだから、世代で区切っても仕方ないかなって思っちゃいます(笑)。それぞれの気持ちでそれぞれ解決していくことなので。主語を大きくしない世の中になってほしいです!

一同 笑

樋口 そうですね、反省します!  「男は」とか「オヤジは」とか、主語を大きくするのは! 僕が23歳の時はそんなこと考えたこともなかったですが(笑)。見上さんのそのめちゃくちゃしっかりしたところは、親御さんの教育の賜物なのか、あらかじめあったものなのか……⁉

見上 両親はニュースを見て自分の意見を言いあうような人たちで、私にも小さい時からどう思う? って聞いてくれましたし、中高でもディベートや論文があって、自分の哲学を持つことが良しとされる教育環境にいました。それが今の自分に影響しているのかもしれないです。

樋口 もう、文句のつけようもありません!(笑) 年の離れたお兄さんもいらっしゃるそうですね。家族の中でも大人と同等に扱われるような感じだったのかなと。

見上 6個上の兄がいますが、小さい頃はたくさん甘やかして、可愛がってもらいました。でも私が中学になるタイミングで地方の大学に進学したので、1人っ子でいる時間が長かったんです。親と1対1とか、2対1で会話をするみたいな時間も多かったので、少しはしっかりしたのかな(笑)。

樋口 これだけ頭がいいと、こっちが学ばせてもらっている感じです。今日は、色々話してくださってありがとうございました!

見上 そんなことないです(笑)。ありがとうございました。
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樋口毅宏 見上愛 WebLEON
▲ トップス3万5200円、パンツ3万9600円/ともにヴィーエル・バイ・ウィー(ススプレス)、右手リング(チェーン付きダブルリング)4400円、左手リング(パール)1万1000円/ともにソムニウム

【対談を終えて】

なんてしっかりしたお嬢さんなんだ……。
お話を伺いながら、頭(コウベ)が垂れるような気持ちになりました。なるほど、こりゃ事務所が推すわけですよ。

自分が23歳の時と比べたら、いや、とてもじゃないが比較にならない。「若い人から学ぶとは、このことか」と勉強になりました。
(うちの娘2歳なんですけど、こんな風になってくれるだろうかと考えました。樋口家も一応文化度は高いと思いますが……)

Netflixシリーズ「恋愛バトルロワイヤル」主演、NHK大河出演などありますが、見上さんにとって2024年は通過点に過ぎないでしょう。きっとやりたいこと、この先やるべきことが見えているのだと思います。

さらに成長していく姿を見守らせてください。
(樋口毅宏)
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● 見上 愛(みかみ・あい)

2000年10月26日生まれ、東京都出身。2019年にデビュー。NHK「きれいのくに」に出演し注目を集める。以降、映画・ドラマ・舞台・CMと幅広く活躍。2024年は、NHK大河ドラマ「光る君へ」、KTV「春になったら」、CX「Re:リベンジ-欲望の果てに-」、WOWOW「ゲームの名は誘拐」が放送、主演映画『不死身ラヴァーズ』の公開など、活躍の場を広げている。8月29日から配信スタートとなるNetflixシリーズ「恋愛バトルロワイヤル」では主人公で、薙刀部と生徒会に所属する2年D組の生徒・有沢唯千花を演じる。
公式サイト/見上愛 | ワタナベエンターテインメント 
Instagram/見上 愛(@mikami_ai_)

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● 樋口毅宏(ひぐち・たけひろ)

1971年、東京都豊島区雑司が谷生まれ。出版社勤務の後、2009年『さらば雑司ケ谷』で作家デビュー。11年『民宿雪国』で第24回山本周五郎賞候補および第2回山田風太郎賞候補、12年『テロルのすべて』で第14回大藪春彦賞候補に。著書に『日本のセックス』『二十五の瞳』『愛される資格』『東京パパ友ラブストーリー』『大江千里と渡辺美里って結婚するんだとばかり思ってた』など。妻は弁護士でタレントの三輪記子さん。最新刊『無法の世界』(KADOKAWA)が好評発売中。カバーイラストは江口寿史さん。現在雑誌『LEON』で連載小説「クワトロ・フォルマッジ-四人の殺し屋-」を執筆中。
SNS/公式X

樋口毅宏 見上愛 WebLEON 恋愛バトルロワイヤル

■ Netflixシリーズ「恋愛バトルロワイヤル」

違反した生徒は即退学処分という“男女交際禁止”の校則が制定された超エリート高校を舞台に、嫉妬・羞恥・背徳・憎悪が渦巻く前代未聞のバトルロワイヤルを描いた、センセーショナルな新時代の学園ドラマ。理不尽な校則に抵抗し、証拠写真を揉み消す“ラブキーパー”としての活動を始め、ついには校則の撤廃を求め学校を訴え裁判を起こす、主人公・有沢唯千花役に見上愛。市長である父との確執を抱えながらも唯千花に恋することで変化していく真木陵悟役に宮世琉弥。他に寺島しのぶ、吉田羊、石黒賢、浅香航大ほか。
2024年8月29日(木)よりNetflixにて世界独占配信開始
作品ページ/https://www.netflix.com/恋愛バトルロワイヤル

■ お問い合わせ

ススプレス 03-6821-7739
ソムニウム 03-3614-1102

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