2025.02.22
第4回 有森也実 【vol.01】
美しい人、有森也実。「結婚願望、昔はあまりなかったけど、今のほうが高くなっているかも」
大人の女性の美しさに迫るグラビア連載「美しい人」。第4回目に登場いただくのは有森也実さんです。「東京ラブストーリー」の関口さとみ役で大きな話題になった後も、イメージに囚われることなく様々な役に挑戦して表現者であることにこだわり続けてきた有森さん。ますます情熱溢れる有森さんの「美」の秘密とは?
- CREDIT :
文/渡辺朋子 写真/野口貴司 スタイリング/佐伯敦子 ヘアメイク/福沢京子 編集/森本 泉(Web LEON) プロデュース/Kaori Oguri

表現者であることにこだわり続ける有森也実さんの情熱溢れる美しさに刮目せよ!
第4回ゲストとしてご登場いただいたのは有森也実さんです。人気ドラマ「東京ラブストーリー」で演じた関口さとみ役で大きな話題になった後も、イメージに囚われることなく様々な役に挑戦して、表現者であることにこだわり続けてきた有森さん。いまも映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍し、ますます情熱とエネルギー溢れる有森さんの「美」の秘密とは?


【interview 01】
「東京ラブストーリー」のさとみ役で“そんなに嫌な女だと思われてたんだ”って(笑)
有森也実さん(以下、有森) あまり興味はなかったんですけど、『mc Sister』という雑誌がすごく好きだったので、どういうところで作られているんだろうという興味があって。先々の進路を考える時期でもあったし、クラシックバレエのダンサーになりたいという夢はあったけど、現実的には難しそうだなと諦めかけていた頃に応募したら、たまたま受かってしまって。でも私は背もそんなに高くなかったので、事務所のほうもモデルというより女優向きかなということで、高校生ぐらいから女優活動にシフトしていきました。

有森 お芝居を通して自分の心が揺さぶられるということが、お芝居の魅力だなと思ってはいましたけど、それを一生の仕事にしようというまでの情熱はまだなくて。当時はそんなに執着していないというか、いつでもやめられるみたいな自由さもあったから、自分がどう見られるかより、小説や映画にドキドキ、ワクワクするように、自分の心がどう動くかのほうに興味があって、お芝居を通して違う自分になれる感覚がすごく楽しかったです。

有森 さとみちゃんは、まわりとのバランスを気にかけるタイプの人だから、なおさら心が揺れるんだと思うんですけど、最後には自分に正直に大切な人に向き合うという、すごく難しい役でした。時代的にも男女雇用均等法がだんだん世間に浸透してきて、バリバリ働いて自己主張できる女性がカッコいいという流れがあったので。今思えば、(鈴木保奈美さん演じる)リカとさとみの対比はそういう時代背景もよく反映されていたんですよね。

有森 そういう立ち位置で育てられてきたというのもあるかもしれないけど、意外とバランスを見るタイプかもしれないですね。人ってなかなか思い通りに動いてくれないから(笑)。当時は、自分自身が変わるとか自分ファーストでやっていかないと物事は進まないということに、だんだん気づき始めたときだったのかもしれないですね。
ただ、さとみちゃんはどうにもならないことをいっぱい考えたりするけれど、私はあまり悩まないタイプなので、そこは違うかなと思います(笑)。脚本家の坂元(裕二)さんはそういうどうにもならないことを書くのがすごく上手ですよね(笑)。だから、私の役と織田(裕二)さんの役は本当に難しくて、織田さんもだいぶ悩んでいましたね。

有森 ドラマをやっている時はそういう感じはなかったですけど、最近になっていろんな人がいろんな意見をSNSで自由に発信できるようになると、“私ってそんなに嫌な女だと思われていたんだ”って(笑)。それまでは別に役だからと思っていたし、今もそう思っていて気にはしていないけれど、本当に関口さとみはみなさんの中に深く刻まれちゃっているんだなという感じはしますね(笑)。
だから、プロデューサーやディレクター、監督から「有森さんはもっとこういう役をやったほうがいいですよ」と、本当の私を見抜いてオファーをいただいたりすると、すごくうれしいんです。もちろん、イメージは大事だし必要だけど、それは自分のひとつの色として持っていればいいと思うので。

有森 私は障害とは思っていないけど、自由にデートができなかったり、相手が障害と思っていたことはあるかもしれないですよね、特に若い時は。
── 週刊誌などが気になって、恋愛がしにくいと感じたことは?
有森 私は別にいいけど、相手のことを考えると気を付けないと迷惑がかかるから。多少は気にしていましたけど、かといって変装とかはしなかったですね。
── 芸能人でも恋愛するのは当たり前というか?
有森 ダメだと言われても好きになっちゃったらしょうがないじゃないですか(笑)。仕事をバンバンやっていたら恋愛のことは考えない、とはならないですから。
── 今もやっぱり恋愛はしていたいですか?
有森 そうですね。いつもしていたいです。

有森 でも、もう尽くすのはやめようと思って、1年ぐらいやめているんです(笑)。
── アプローチはご自分からもするんですか?
有森 どちらかというとします。でも、それが失敗のもとだとやっと気がついたので、それもやめようと思って(笑)。やめたらもっと楽に生きられるんじゃないかな、みたいな(笑)。
── 結婚願望はありますか?
有森 昔はあまりなかったんです。もしかしたら今のほうがちょっと高くなってきているかもしれない。自分だけの世界だと食べるものも着る服も決まってきちゃうから、もっとほかの人の感覚とか感性がほしい。それは別に友だちでもいいと思うけど。何か違うテイストが入ってくると、知らないものが見えてきたり、違う楽しみを見つけられるかもしれないし。もうある程度の経験もしてきちゃっているから、今、ちょっと退屈なのかもね(笑)。

● 有森也実(ありもり・なりみ)
1967年12月10日、神奈川県生まれ。雑誌『mc Sister』の専属モデルを経て、1986年に女優としてデビュー。同年『キネマの天地』でヒロインを演じ、ブルーリボン賞新人賞、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。1991年にドラマ『東京ラブストーリー』で大きな注目を集める。ほかにもドラマ『翔ぶが如く』、『明日さがし』、『わが町』、『都合のいい女』、『最高の片想い』、『HOTEL』、『秀吉』、『北ホテル』シリーズ、『ゲゲゲの女房』、『監察医 朝顔』、『嘘解きレトリック』、映画『いぬむこいり』、『天上の花』、舞台『放浪記』、『化粧二題』、『フラガール-dance for smile-』、『ある八重子物語』、『かへり花』、『片づけたい女たち』など出演作多数。