2025.04.12
【Drive my car & life】前編
山口智充「風の気持ちよさを満喫できる【三菱 ジープ】が僕にとって最高のクルマです」
早春のある日、「三菱 ジープ(J59/2.0ℓ/ガソリンエンジン)」を駆って現れた山口智充さん。約22年間乗り続けているこの愛車の魅力や、「自分好み」を貫いてきた歴代のクルマについても伺いました。
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写真/トヨダリョウ 取材・文/アキヤマケイコ 編集/森本 泉(Web LEON)

流行とか高級とかじゃない。自分好みのクルマを運転しているのが至福の時
スタッフから、「今後、番組内での移動には、このジープが使えます」と。そうしたら、そのジープのロケが毎回楽しくて仕方がない。これは自分用にも欲しいと、いてもたってもいられなくなって、番組の「三菱 ジープ」を扱っている自動車店に探してもらって手に入れたんです
山口 もちろんフォルムは大好きです。ミニカーで遊んでいた子どもの頃から、こういうカクカクしたクルマがお気に入りで、それが今だに変わっていない。あとエンジン音も心地いい。乗っている時は、至福の時間です。
乗り心地は、意外と快適ですよ。運転席の位置が高いから見晴らしはいいし。あと板ばね(リーフスプリング)独特の揺れも僕には心地いい。家族も、長男がまだ小さい頃、妻が「こんな揺れのクルマに乗せて大丈夫かな?」と心配したんですが、乗せたらものの5分で寝てしまった。
『ぐっさん家』では、番組用のジープに多くのゲストに乗ってもらいましたけど、みな「いいね」っておっしゃいますよ。実際に僕の友達はジープに乗せてあげた後、自分も欲しくなって購入しました(笑)。

山口 冬は足元のヒーターが暖かいし、着込めばいいから大丈夫。でも夏はめちゃくちゃ暑いです。真夏の気候がここまで過酷になる以前は、TV局に乗り付けて、汗だくのTシャツを脱いで着替えて、それもカッコいいと自分では思っていました。共演者に見られて「何してんねん」って笑われましたけどね。
でも、夏の終わりに、涼しい風が吹いたりするのを感じとれたりするのが、すごく気持ちいい。隣のエアコンが効いたクルマを運転をしている人を横目で見て「この人は、今の外気の気持ちよさを知らないんだな」って、ちょっと優越感を覚えます。
子ども時代から、ペダルカーもミニカーも、リアルなクルマのように楽しんでいた
山口 3、4歳の頃、水色のスバルのペダルカーを買ってもらって、それを運転するのが大好きでした。ただ動かすだけじゃなくて、タイヤの内輪差を意識しながら、庭の植木に当たらないよう、ギリギリのところを攻めてスムーズに曲がる、そんなことをすでに意識していました。ペダルカーって、キコキコいうんですけど、自分でエンジン音を口真似しながら動かしてました。
ミニカーもたくさん持っていましたね。畳の縁を道路に見立てて、クルマのスケールに合った加速で走らせたり、一度ハンドルを切って入射角を決めてから駐車させたり、並べる時はドアの開け閉めに支障がないスペースをとったり、扉を閉める時の「バンッ」っていう音やクルマから降りて歩いていくときの「コツコツ」っていう足音を再現したりと、すごくリアリティを持って遊んでいました。
山口 そうかもしれないです。好きなことや面白そうなことをじっくり観察して、自分で描写するということを、当時から自然にやっていましたね。


三菱 ジープ(J59/2.0ℓ/ガソリンエンジン)
「三菱ジープ」は、アメリカの軍用車だったジープを、1956年に中日本重工業(現三菱重工業)がノックダウン方式で生産を開始、その後、国産で部品制作が始まり、三菱自動車で2001年まで製造・販売していた。山口さんが所有しているのは、84年式、ガソリンエンジンの「J59」。通常の4速までのシフトレバーのほか、走行中に四駆⇄二駆へと切り替えられるレバー、LNHの切り替えができるレバーの3本仕様。レトロなメーター類も味わいたっぷり。山口さんは、タイヤを少しインチアップした他は、カスタムなし。
投げ銭を元手に中古のセダンを入手。バンやトラックを所有したことも
山口 30歳くらいの時に、初代の「シビック フェリオ」を中古で買いました。ちょうど子どもが生まれて、どこかに連れていきたいしということで、クルマが欲しくなって。そんな時期に、テレビ番組で、若手芸人が、遊園地で1カ月、ストリートパフォーマンスをして、お客さんに投げ銭をしてもらう企画があった。それでちょうど50万円を手にいれたので、これで買えるクルマを探そうと。
── 投げ銭で50万円! すごいですね。
山口 中古車展示場を夜な夜な自転車で回って、めぼしいクルマを探しましたね。予算のほかは、MT車で、チャイルドシートが付けられる後部座席付きが条件。12、3件くらい回って、これで最後にしようというところで、40万円台の「ホンダ シビック フェリオ」を見つけたんです。9000kmしか走ってないし、内装もきれいで、すぐ気に入って、諸費用込みで予算内に収まるように交渉しました。これがすごく良くて、今も持っておけばよかったと思うくらい。
山口 いや全然(笑)。こういうセダンって、ほぼ誰も乗ってなかった。流行りのクルマを買えるほどの経済力もなかったですけど、僕の好みにはぴったりでした。
その後、「トヨタ ノア」「トヨタ クルーガー」「トヨタ プロボックス」(MT)、「トヨタ ハイエース」(MT)と乗り継いで。「プロボックス」や「ハイエース」は、今でこそ人気ですけれど、当時、芸能界では誰も乗ってなかったですね。

好きなタイプのクルマに、いわゆる高級車は入っていなかった
山口 先輩方が錚々たる高級車に乗っていて、テレビ局やスタジオの駐車場にそれらが並んでいるのを見ると「すごいな」とは思いました。「ゲレンデ(メルセデス・ベンツGクラス)」に乗っていたり。
でも、自分の選択肢にはなかったです。それだけお金を出して高級車を所有したいという気持ちにはならなかった。それより、自分が欲しいのは「プロボックス」や「ハイエース」だった。欲しいと思って、明日お店に見に行こうと思ったら、ワクワクして眠れなかったくらいです。
山口 このクルマだけだと、5人家族全員が乗れないので、「トヨタ ランドクルーザー(70系)」を一緒に所有していた時期もあります。あと「ホンダ アクティ」を持っていた時期もありますね。
── 四角いフォルムで、MT車で、国産の中古車で、というのは、ほぼ変わらないんですね。
山口 中古車・新車のこだわりはないんですが、自分が欲しいと思うクルマは、どうしても10年、20年前のクルマになってしまいますね。あとAT車も一時期、家族のために乗っていたこともありますが、運転していて飽きるので、結局MT車に戻りました。
輸入車は、興味がないわけではないんですが、今のところ、国産車で欲しいものがまだあるから、なかなか目がいかない。もし、お金があって贅沢ができるとしたら、最初の「シビックフェリオ」から歴代のクルマを全部、倉庫に置いて所有できたら最高だと思います。

現在は、TPOと気分に合わせて3台を乗り分ける生活です
山口 「三菱 ジープ」は、完全に自分の遊び用。「コンフォート」は、家族で出かけるとか、そういう時用。「ボンゴ ブローニーバン」は、荷物をたくさん運びたい時用。バイクでツーリングしたいとき、目的地までバイクを運ぶ時に、主に使っています。ツーリングの行き帰りは、クルマで移動した方が快適なので。
洋服で例えると、「コンフォート」はスーツまでいかないけれど、ジャケパンくらいのきれいめ。「ジープ」はこういうデニムの作業服で遊ぶ感じ。「ブローニーバン」も作業服ですが、もう少し現場作業系のツナギという感じですかね。
とはいえ、基本は乗りたい時に乗る。どれかにずっと乗っていると、別の方を乗りたくなってくる。この3台が、ちょうどいいバランスです。
次に乗りたいクルマを考えてるのは、やっぱり楽しい
山口 今のこの3台のラインナップは、本当に大満足しています。だからこの次になると、乗ったことがない輸入車かなと思います。MT車が豊富なヨーロッパ系ですかね。古い「フィアットパンダ」とか。走行距離がかなりいっていると思うので、状態のいいものを探すのが大変でしょうけど。あとは、ロシアの「ワズ ハンター」。元々軍用車・商用車で、荒々しい感じ。あるテレビ番組で、一度、乗らせてもらったことがありますけど、よかったですね。
── やっぱり、選び方が独特ですね。
山口 挙げてみると、まだいろいろありますね。クルマのことを考えていると、やっぱり楽しくて仕方がないです。
※後編(こちら)に続きます。

● 山口智充(やまぐち・ともみつ)
1969年生まれ。大阪府出身。高校卒業後、サラリーマンを経て、1994年にデビュー。バラエティ番組、ドラマ、映画、ラジオ、ナレーション、アニメのアフレコ、ライブなど、幅広く活動。愛称は「ぐっさん」。東海テレビ『ぐっさん家〜THE GOODSUN HOUSE〜』、読売テレビ『グッと!地球便』など長寿番組にレギュラー出演中。過去にお笑いバラエティ「ワンナイR&R」の企画として「くず」という音楽ユニットで大ヒット。