小松菜奈似のモデル「綺麗なだけじゃ売れません。それに加えて必要なのは……」

「ワイングラスの向こう側」（cakes）でおなじみ、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」（バール・ボッサ）のマスターにして作家の林伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術でさまざまな美人さんの本音を聞き出す連載です。

テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験（主に失敗）談と本音の恋愛観に迫ります。第52回のゲストは、菜奈さん（28歳）です。

── こんにちは、林です。よろしくお願いします。わっ、背が高い！ とってもスタイルが良いですね。ここでは似ている芸能人の名前をニックネームにして呼ぶことになっているんですが、え〜っと。誰かに似ている気がするんですけど……。

「ん〜、誰だろう。あ、最近だと、小松菜奈さんに似ていると言われたことはあります」

── あ、ちょっとそんな感じもわかります。では今日は菜奈さんと呼ばせてもらいますね。菜奈さんはとても美人さんですけど、自分でそのことに気づいたのはいつ頃か記憶していますか。

「いやいや、親から『お前はブスだから』ってずっと言われてたんで、美人だなんて思ってないです（笑）」

── え〜、それはお母さんから？

「そうです、敵対心みたいなものを感じました」

── お母さんはどんな人ですか。

「母親本人は美人って言われて育ってきたんだと思います。それと多分、母は父のことを大好きなんですよね。でも父が私のことを『可愛い可愛い』って言ってくれてたので、それが嫌だったのかもしれない。父と話してるだけであからさまに問い詰めるような言い方をされてましたから」

── えっ、お父さんと話すだけでそんな感じに？  家庭の中で女同士の戦いがある、みたいな感じですか。

「いや一方的に敵意を向けられてるだけで、私は特に戦うつもりはないですよ（笑）。そういうこともあり、自分が綺麗だなんて思ったことはなくて、メイクやなんかで誤魔化してる感じです（笑）」

── でも今、これだけお綺麗な人ですから、思春期の頃には男子にたくさん告白されたんじゃないですか。

「私、中学からエスカレーター式の私立の学校に行ったのですが、規則が厳しく男女交際禁止だったんですよ。家も厳しかったので、中学時代は何もなかったです。初めて男子と付き合ったのは高校1年の時」

── あ、高校は男女交際いいんですか。

「ダメです（笑）！  その頃に真面目っ子キャラから逸脱し始めたんですよね、疲れちゃって。それでクラスメイトと付き合うようになりました」

── そうでしたか（笑）。その男子とはどんな感じにお付き合いしたんですか？

「仲が良くて話をよくしていたので、そのまま付き合った感じだったかな。放課後デートしたり、カラオケに行ったり、田んぼの畦道を自転車で二人乗りしたり。今思えば、青春ぽいことをしていました（笑）」

── あの、高校生の時に素敵な女子と付き合える人って、サッカー部で目立ってるカッコいい男子だけなんじゃないかって思ってるんですけど（笑）、どんな人だったんですか。

「アハハハ。私はそんなんじゃないですけど、彼は野球をやってました。弟もいるんですが、お父さんが男手ひとつで育てていて、お家に行ったら家族ぐるみで迎えてくれるような感じで。何度か泊まりに行きましたが、私も家の掃除とかのお手伝いをしたりしてて、そうしたらすごく喜んでくれて。向こうのお父さんには気に入られていました」

── いい子だなって思ってもらえたんですね。じゃあずっと仲良しで？

「う〜ん、私、高校は卒業したんですけど、あまり学校に行かず不登校気味だったので、そんなには会ってなかったかな。でも、学校においでよって声かけてくれたりして、優しかったですよ」

── 彼とは今でも連絡し合ったりはするんですか。

「今はないですね。何年か前に連絡もらって会ったんですけど、その時には某ネットワークビジネスの勧誘をされました（笑）」

── そうか〜（笑）。それ目的で連絡してきたのかな。

「なんだろ、私の思い込みかもしれないですけど、悪にはなりきれない子なんで、本当に良いものだから誰かに広めようって純粋に思ってるのかもしれない。身内とか仲間に声かけてたみたいですから」

── 純粋にそういう人もいますね。

── 菜奈さんは高校を卒業してからどうされたんですか。

「卒業してからモデル事務所に入りました」

── あ、やっぱりモデルさんなんですね！  ご自身でモデルは向いていると思いますか。

「あ〜そうですね、食べるためにやってます（笑）」

── でも向いてそうですね。あの仕事は精神的に強く、自信をもたないとやっていけないって聞きます。

「全然自信はなかったんですけど、もう割り切ってたんで。人は人、綺麗な人は綺麗な人、って。私は元が男勝りなので、それを普通に出していました。だってお色気系も、可愛くいたい女子もいっぱいいるから。それは癒しの存在としていいでしょうけど、たくさんいるので。なので、私はありのままでいようかなと」

── 菜奈さんのそのさっぱりした感じが好きな人は、男性にも女性にもたくさんいると思います。仕事の内容はファッションモデルですか。

「ランウェイもやりましたし、ショウもやりましたし、あとはイベント関係ですかね」

── あ、来た仕事はなんでもやる、と。タレントにはなろうと思わなかったんですか。

「事務所は大手のタレント事務所だったんですけど、ん〜多分、私を使うのにはイベントの方が手っ取り早かったんじゃないでしょうかね。タレントさんって敷居が高いんですよ」

── 個性が必要とか、そういうことですか。

「個性がなければ事務所がつくってくれるんですけど、家柄重視というか、レッスンの時に親御さんが両親揃って差し入れ持って来る、みたいなことがあるんですよね。だから私は、自分で働いたお給料で毎週２回くらい事務所にお菓子とか差し入れして、『菜奈です！』みたいなことを自分でやってました（笑）」

── 事務所の中でも営業しなきゃいけないんですね。でもマネージャーみたいな人がいるわけですよね？ それ以外の人に？

「マネージャーひとりで50人くらいの面倒を見ている世界だから、顔を見せてなかったら『誰？』ってことになるんです。だから常連っぽく『美味しいもん買ってきました！』みたいな感じで顔を出すんです」

── なるほど、大変な世界だ……。もっと上に行きたいという気持ちはありましたか。

「食べるに困らないように仕事が欲しいとは思ってました」

── 菜奈さんほどお綺麗でもそんな風に思うんですか。でもあれですよね、事務所の中では自信はありましたよね？

「ないです！ だって、事務所に行くたびに、凄く綺麗な人や、自分が定期的に見ているブログを書いてる本人がいるんですよ。だから勉強させてもらいに行くって気持ちで」

── あ、そうなんだ。これだけ綺麗でもそうなんですね。なるほど〜。それで、食べていければ、と謙虚なんですね。

「はい、めちゃくちゃ綺麗な人たちっていうのは、仕事を逆に限っちゃうんですよ。本人のプライドとかで『イベントなんかやらない』とか。だから私は“これは修行だ”と思って、来た仕事は受けてましたね。それもただ行くんじゃなくて、例えばイベントの仕事を受けるにあたっても、プロとしての立ち方や振る舞いなど、自分の中で課題を作ってそれをこなすように頑張っていました。一歩一歩前進できるように」

── えらいなぁ。計画的に頑張ってきたんですね。さて、大人になってからの恋愛の話は次回、お聞かせ下さい。

（後編へ続く）