2019.12.13
興奮がとまらない! アメリカ3州の音楽と文化を巡る旅【第2回】
ライブミュージックの聖地・オースティンを楽しみ尽くすための7つのこと
3週連続でお届けするアメリカでの“音楽に溺れる旅”。第2回はライブハウスが連なる音楽の都、オースティンをご紹介します。ライブミュージックが有名ではありますが、実のところグルメやアクティビティも充実の街。そこで、ジャンルごとにその見所をお伝えします。
- CREDIT :
写真・文/大石智子
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ラテンが香るテキサスの州都、オースティン
正直なところ日本ではあまり馴染みがない街ですが、東京から直で行くとなるとダラスまたはヒューストンで乗り換えが必要となり、そこからともに約1時間のフライト。ついでに言うとオースティンからメキシコ国境まではクルマで約3時間半となります。
そう、オースティンはメキシコに比較的近い都市であり、ラテンのムードが漂う街なのです。なにせテキサスは1821年から1836年まではメキシコ領だった地。時は流れ、オースティンは全米屈指のハイテク都市に成長し、スタートアップ企業が多く生まれる街ともなっています。そして旅人目線でいえば、なんといってもライブミュージックが魅力。というわけで、ハイライトとなるライブハウス巡りから順に7つのトピックスをご紹介します!
【01】270以上あるライブハウスのはしごが楽しい
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というわけで、少なくとも3軒はライブハウスのはしごを楽しみましょう。筆者は「Austin Detours」のガイド兼現役バンドマンのジョーさんに連れられ、「Saxon Pub」「Antone’s」「Elephant Room」の3軒を3時間半かけ周りました。
正直、出演していたのはすべて名前も知らないバンド。それでも、初めて聴く歌から不意に心打たれる瞬間があったりして、そんなスイッチを感じられるのが面白い。基本的に小箱なので距離も近くて入り込んできます。
深夜まで賑わう6thストリート。通りの両側にライブハウスが並び、歩くごとにさまざまな音が響く。
ブルースを聴きたければ1975年にできた老舗「Antone’s」へ。 https://www.antonesnightclub.com
1991年からあるジャズバー「Elephant Room」。 https://www.elephantroom.com
オースティンのなかで規模が大きく、よりメジャーなアーティストがライブを行う会場が「ACL Live」。筆者が訪れた日はオルタナティブ ロックバンド「JACKOPIERCE」が登場しました。 https://acl-live.com
深夜まで賑わう6thストリート。通りの両側にライブハウスが並び、歩くごとにさまざまな音が響く。
ブルースを聴きたければ1975年にできた老舗「Antone’s」へ。 https://www.antonesnightclub.com
1991年からあるジャズバー「Elephant Room」。 https://www.elephantroom.com
オースティンのなかで規模が大きく、よりメジャーなアーティストがライブを行う会場が「ACL Live」。筆者が訪れた日はオルタナティブ ロックバンド「JACKOPIERCE」が登場しました。 https://acl-live.com
いい気分になった帰り道に歩いたのは6thストリートで、この通りの盛り上がりはやんちゃです。ライブハウスの扉は開け放たれ、歩くだけで色々な曲が聴こえてくる。隣同士の店で音楽がぶつかり合っていたり、ショートパンツ姿の美女軍団がいたり、ヘビ遣いがいたり、ちょっとしたカオス。ラスベガスに続き、オースティンも眠らない街だと感じたのでした。
【02】テクスメクス×クラフトビールがたまらない!
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そんなテクスメクスがビールと相性抜群なのは言わずもがな。オースティンにはテクスメクスを提供するビア処が複数あり、おすすめは「COSMIC」。テキサスBBQにナチョス、ベーコン&チョコチップクッキーなど、目眩がするほどアメリカンな料理が出てきますので、腹ペコで向かって堪能してくださいませ。
「COSMIC」のフードは外にあるフードトラックで購入するシステム。
ポップな内装がかわいい「COSMIC」の内観。コーヒー1杯での利用も可能でワンコもOK!
「COSMIC」では24種ものビールをタップで揃える。
オースティンで絶大な支持を得るタコス専門店「Tacodeli」。その日に作ったタコスをいい状態で提供したいため、店は15時までの営業。
https://www.tacodeli.com「Tacodeli」はオースティンに6店舗を展開。301 Congress Avenueにある店は奥のボックス席の壁がフォトジェニック!
自社製ビールが抜群に美味しい「St Elmo Brewing Company」。写真は初訪問に最適な飲み比べセット。 http://www.stelmobrewing.com
「COSMIC」のフードは外にあるフードトラックで購入するシステム。
ポップな内装がかわいい「COSMIC」の内観。コーヒー1杯での利用も可能でワンコもOK!
「COSMIC」では24種ものビールをタップで揃える。
オースティンで絶大な支持を得るタコス専門店「Tacodeli」。その日に作ったタコスをいい状態で提供したいため、店は15時までの営業。
https://www.tacodeli.com「Tacodeli」はオースティンに6店舗を展開。301 Congress Avenueにある店は奥のボックス席の壁がフォトジェニック!
自社製ビールが抜群に美味しい「St Elmo Brewing Company」。写真は初訪問に最適な飲み比べセット。 http://www.stelmobrewing.com
そしてもう一軒試していただきたいのが、2016年に誕生した新鋭醸造所「St Elmo Brewing Company」。ここのビールはフレーバーが鮮明に香り瑞々しさにも溢れ、これまで飲んだ世界のクラフトビールのなかでもトップクラスに感じたほど。オーナーのティムさんのお父さんがバドワイザーをよく飲んでいたからそれによせた“DAD”など、全ビールのネーミングもユニークです。
【03】コロラド川のカヤックで亀に出会う
カヤックを20分も漕ぐと亀との出会いが! 木にむんずとしがみつき何を思うか? コロラド川でのアクティビティは「ROWING DOCK」から。
https://www.rowingdock.com/高層ビルをバックにするシティーボーイな亀。
亀以外にもコロラド川には白鳥や野鳥、多くの魚も生息する。
カヤックを20分も漕ぐと亀との出会いが! 木にむんずとしがみつき何を思うか? コロラド川でのアクティビティは「ROWING DOCK」から。
https://www.rowingdock.com/高層ビルをバックにするシティーボーイな亀。
亀以外にもコロラド川には白鳥や野鳥、多くの魚も生息する。
実は直前まで「カヤック、面倒臭いなあ…」と思っていたのですが、始めてみたら予想外の展開に! このコロラド川、とんでもない数の亀が住んでいるのです! 川の奥に進みカヤックを漕げば、右に亀、左に亀、前方に亀の親子という状態。これは亀好きには思いがけないハプンであります。
しかも、コロラド川に住む亀は木を上ったり、突然木から飛び込んだり、川の中を優雅に泳いだり、多彩なアクションを見せつけてくるのです。というわけで、ただの川下りとはひと味違った体験となりますよ。
【04】美味しいコーヒーで一日を始められる街
コーヒーとビールにこだわる店「BREW & BREW」は朝8時から深夜まで 。 https://www.thebrewandbrew.com
出社前や朝ラン後にコーヒーを買う人の多い「Houndstooth Coffee」。オースティンに4店舗、ダラスに3店舗をもつブランド。
https://www.houndstoothcoffee.comダウンタウンから少し離れたところにある「Seventh Flag Coffee」は一軒家で外にテラス席もあり。
https://www.instagram.com/seventhflagcoffee/
コーヒーとビールにこだわる店「BREW & BREW」は朝8時から深夜まで 。 https://www.thebrewandbrew.com
出社前や朝ラン後にコーヒーを買う人の多い「Houndstooth Coffee」。オースティンに4店舗、ダラスに3店舗をもつブランド。
https://www.houndstoothcoffee.comダウンタウンから少し離れたところにある「Seventh Flag Coffee」は一軒家で外にテラス席もあり。
https://www.instagram.com/seventhflagcoffee/
5軒試したうちよかったのは、「Brew Brew」「Houndstooth Coffee」「Seventh Flag Coffee」。オースティンのコーヒーは大半が浅煎りのクリアな味わいをもつサードウェーブ系。そして朝のコーヒーショップでは前述の「Tacodeli」のタコスがよく売られているので、地元民定番の朝食セットを試してみましょう。
【05】歴史建築からアメリカブランドまでホテルも充実
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当時、家畜で材をなした資産家が大金を注ぎ込み造ったホテルは、いまとなっても一歩中に入ればその荘厳さに圧倒されます。巨大な大理石の柱が建ち並び、天井には美しいステンドグラス。歴史ある建物こそが放つ趣も満載なので、ロビーフロアでお茶をするだけでもお立ち寄りくださいませ。
淡いレンガの外壁と、コロニアル様式の柱とバルコニーが印象的な外観。計189室。1Fにはコーヒーショップもあり。
「Hilton Austin Downtown」の「CANNON +Belle」では、エスプレッソの粉とメキシコのチリをまぶして焼いたリブアイדSmoked Rye Manhattan”のペアリングが面白い。エスプレッソの粉が絶妙なフレーバーとなり、これは近年テキサスで流行っている肉の食べ方とのこと。
https://www3.hilton.com/en/hotels/texas/hilton-austin-AUSCVHH/index.html「Hilton Austin Downtown 」の「CANNON +Belle」ではバーボン4種の飲み比べも提供。
ウイスキーをベースにした個性豊かなカクテルを提供する「CANNON +Belle」のチーフバーテンダー、ジョシュさん。
「W AUSTIN」の「Living RoomBar」にはアドレナリンが湧きそうな赤いライティングの部屋があります。
https://www.marriott.com/hotels/hotel-information/auswh-w-austin/「W AUSTIN」の「FANTASTIC SUITE」(78㎡)の内装はWらしくちょい派手。
淡いレンガの外壁と、コロニアル様式の柱とバルコニーが印象的な外観。計189室。1Fにはコーヒーショップもあり。
「Hilton Austin Downtown」の「CANNON +Belle」では、エスプレッソの粉とメキシコのチリをまぶして焼いたリブアイדSmoked Rye Manhattan”のペアリングが面白い。エスプレッソの粉が絶妙なフレーバーとなり、これは近年テキサスで流行っている肉の食べ方とのこと。
https://www3.hilton.com/en/hotels/texas/hilton-austin-AUSCVHH/index.html「Hilton Austin Downtown 」の「CANNON +Belle」ではバーボン4種の飲み比べも提供。
ウイスキーをベースにした個性豊かなカクテルを提供する「CANNON +Belle」のチーフバーテンダー、ジョシュさん。
「W AUSTIN」の「Living RoomBar」にはアドレナリンが湧きそうな赤いライティングの部屋があります。
https://www.marriott.com/hotels/hotel-information/auswh-w-austin/「W AUSTIN」の「FANTASTIC SUITE」(78㎡)の内装はWらしくちょい派手。
それは、エスプレッソの粉とメキシコのチリをまぶして焼いたリブアイと、“Smoked Rye Manhattan”というカクテルの組み合わせ。肉の焦げ目とカクテルのスモーキーさ、エスプレッソの粉とカクテルのビターさが完全に繋がり、お酒がソースとなって肉をいっそう美味しくしていたのです。これは必食!
「W Austin」はWお得意のご機嫌なプールパーティーと、真っ赤なライトが艶やかな「LIVING ROOM BAR」を要チェック。テラスをもつ客室もあるので、風を感じながら街を見渡せます。
【06】ミュージアム&街散策で知的好奇心を満たす
「リンドン・ベインズ・ジョンソン大統領図書館・博物館」ではジョンソン大統領の演説を模したリアルなロボットも。ほか、大統領が実際にかけた電話の生音などを聴けるコーナーなど、その実像を知ることができる資料が満載。 http://www.lbjlibrary.org
「モータウン60周年記念回顧展」では、1960年代のスターたちのステージ衣装を展示(1月26日まで)。実際に目の前で見ると、B.B.キング(右から2番目の衣装)の体格の大きさに驚く。
スプリームスの名曲『STOP! IN THE NAME OF LOVE』の振付を真似できるステージも設置。
テキサス大学内「ブラントンアートミュージアム」にある世界文化賞受賞の画家、エルズワース・ケリーの遺作であり唯一の建築物『オースティン』は必見。余分な装飾を取りのぞいた白い建物に入れば、太陽の光によって作られる強い色彩が目に飛び込んでくる。https://blantonmuseum.org
「ボブ・バロック テキサス州立歴史博物館」のエントランスにはテキサスの歴史を表した絵が描かれている。https://www.thestoryoftexas.com
オースティンのビジターセンターでガイドを務めるハリーさん。生まれも育ちもオースティンで街の歴史を知り尽くす。
https://www.austintexas.org/plan-a-trip/downtown-walking-tours/ハリーさんが連れて行ってくれた建物のひとつ、「パラマウント シアター」。1915年に建てられたアメリカのエンターテイメント界の聖地で、かつては『エビータ』や『マイ フェア レディ』といったミュージカルや、1966年にはバットマン シリーズの第1作目がここで封切られた。現在も名作を上演・上映中。
「リンドン・ベインズ・ジョンソン大統領図書館・博物館」ではジョンソン大統領の演説を模したリアルなロボットも。ほか、大統領が実際にかけた電話の生音などを聴けるコーナーなど、その実像を知ることができる資料が満載。 http://www.lbjlibrary.org
「モータウン60周年記念回顧展」では、1960年代のスターたちのステージ衣装を展示(1月26日まで)。実際に目の前で見ると、B.B.キング(右から2番目の衣装)の体格の大きさに驚く。
スプリームスの名曲『STOP! IN THE NAME OF LOVE』の振付を真似できるステージも設置。
テキサス大学内「ブラントンアートミュージアム」にある世界文化賞受賞の画家、エルズワース・ケリーの遺作であり唯一の建築物『オースティン』は必見。余分な装飾を取りのぞいた白い建物に入れば、太陽の光によって作られる強い色彩が目に飛び込んでくる。https://blantonmuseum.org
「ボブ・バロック テキサス州立歴史博物館」のエントランスにはテキサスの歴史を表した絵が描かれている。https://www.thestoryoftexas.com
オースティンのビジターセンターでガイドを務めるハリーさん。生まれも育ちもオースティンで街の歴史を知り尽くす。
https://www.austintexas.org/plan-a-trip/downtown-walking-tours/ハリーさんが連れて行ってくれた建物のひとつ、「パラマウント シアター」。1915年に建てられたアメリカのエンターテイメント界の聖地で、かつては『エビータ』や『マイ フェア レディ』といったミュージカルや、1966年にはバットマン シリーズの第1作目がここで封切られた。現在も名作を上演・上映中。
同じ館内で2020年1月26日まではB.B.キング、ジャクソン5、スプリームスといった1960年代のレジェンドのステージ衣装や貴重な資料を展示する「モータウン60周年記念回顧展」を開催。ここは大規模で見応えのある企画を定期的に行うライブラリーでもあるのです。
モダンアート好きならテキサス大学内にある「ブラントンアートミュージアム」へ。テキサスの歴史を知るならその向かいに建つ「ボブ・バロック テキサス州立歴史博物館」がぴったり。また、街の歴史について知るならオースティンのビジターセンターから出発するガイドツアーを予約するのが一番。オースティンを知り尽くすローカルガイドがダウンタウンを豆知識たっぷりに案内してくれます。
【07】「え、ここで大丈夫?」となる隠れ家バーに突入!
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予約は店のHPから簡単にとれるので挑戦してみてくださいませ。店の住所に着くと雑居ビルに鉄格子の扉という完全に怪しいビジュアルですが、ご安心あれ。予約の時間どおりに店へ行きインターフォンを押せば開けてくれます。店内ではメニューがパスポート仕立てで出てくるのも楽しい!
お次はメキシコの蒸留酒であるメスカルのバー「Techo Mezcaleria & Agave Bar」。中心部から少し離れており、こちらも入り口が分かりづらいですが、入れば気のいいバーテンダーさんが迎え入れてくれます。ここのメスカルとスミレのリキュール、アマレットやレモンが入ったカクテル“La Violeta”がとてもよかった。ちょっとエキゾチックな小部屋もあったりして、ラテンの血を騒がせたい方はこのバーがベスト!
メキシコ気分が高まるメスカルのバー「Techo Mezcaleria & Agave Bar」で飲んだカクテル“La Violeta”。https://www.facebook.com/techomezcaleria/
怪しくてお洒落な「Midnight Cowboy Bar」の店内。バーカウンターにはフレッシュなフルーツやハーブがぎゅっと並ぶ。
パスポート風のミニブックは実はメニューで、1P1カクテルを表示。こちらはジンベースでベルガモットや紅茶が香る“SANDA BASHI”。
「The Roosevelt Room」の壁には、音楽の都にあるバーらしくミュージシャンを描いたアートが飾られている。https://www.therooseveltroomatx.com
メキシコ気分が高まるメスカルのバー「Techo Mezcaleria & Agave Bar」で飲んだカクテル“La Violeta”。https://www.facebook.com/techomezcaleria/
怪しくてお洒落な「Midnight Cowboy Bar」の店内。バーカウンターにはフレッシュなフルーツやハーブがぎゅっと並ぶ。
パスポート風のミニブックは実はメニューで、1P1カクテルを表示。こちらはジンベースでベルガモットや紅茶が香る“SANDA BASHI”。
「The Roosevelt Room」の壁には、音楽の都にあるバーらしくミュージシャンを描いたアートが飾られている。https://www.therooseveltroomatx.com
以上、盛りっとオースティン情報でした。いま改めて思う感想は、“住みやすそう”。もしも自分が学生だったらオースティンにあるテキサス大学に行きたいです。そんな快適なオースティンに後ろ髪引かれながらも、最終目的地ニューオリンズに向かいます。そこではさらなる心揺さぶる音楽との出会いが待っているのでした。
アメリカン航空で音楽の旅へ!
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● 大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、毎月海外に渡航。スペインと南米に行く頻度が高い。柴犬好き。SDエイバルファン。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。