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2022.12.28

久しぶりの海外は刺激的に進化したベトナムが面白い!【ホーチミン編】

海外で規制がなくなったいま、そろそろ旅に出たいと思っている人は多いはず。とはいえ円安や航空券高騰で欧米諸国はまだハードルが高い。そこで、非日常を味わえる身近な国としてベトナムをご提案。食事が安定して美味しく、寒い日本を抜け出して向かうにもってこいの南国であります。

CREDIT :

文・写真/大石智子

ザ・レヴェリー サイゴン前のグエンフエ通り
▲ 「ザ・レヴェリー サイゴン」前のグエンフエ通りは夜遅くまで賑やか。

機内からベトナムを感じる4泊6日

せっかくベトナムまで行くのなら、ホーチミンとダナンを拠点とする欲張りな旅をご提案。完全な非日常となるハイライトは下記の3つ。どちらもホテルは贅沢に、いっそ“暴れ遊ぶ”気持ちで行きましょう!

・ エネルギッシュな最新のホーチミンで夜遊び(ザ・レヴェリー サイゴン泊)
・ ダナンのリゾートホテルを満喫(インターコンチネンタル ダナン泊)
・ 世界遺産の街ホイアンでランタンの絶景に浸る
成田 ホーチミン線 エアバスA350
▲ 成田のホーチミン線はエアバスA350型機が就航。
モデルプランはこの4泊6日。国内線乗り継ぎも含むので、すべてベトナム航空で行くのがベストです。行きは朝に成田を出るため日中から現地を楽しめて、帰国時は機内泊で成田に朝着だから無駄がない。

2月21日(火)9:30成田発 14:25ホーチミン着/ホーチミン泊
2月22日(水)ホーチミン遊び/ホーチミン泊
2月23日(木)14:05ホーチミン発 15:20ダナン着/ダナン泊
2月24日(金)古都ホイアンへ(ダナンからクルマで約1時間)/ダナン泊
2月25日(土)ダナンのリゾート19:50ダナン発→乗継24:25ホーチミン発
2月26日(日)7:45成田着

あくまで一例ですが、毎日さほど便に差がなく効率的。なにより、ベトナム航空は飛行機に乗った瞬間からベトナム気分が高まる。ふんわり香るはレモングラス。成田にいるのに機内で異国の匂いを感じるのが懐かしいです。

ビジネスクラスならウェルカムシャンパンもありますし、その泡片手にアオザイを着たクルーを見たら海外旅行の復活に飛ぶ前からぐっときます。機内食のメニューを開けば海老麺やチキンライスといったベトナム料理が並び、それらをつまみに上空でワインを飲むのも醍醐味。寝るのも惜しい!
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エネルギッシュなホーチミンを象徴する「ザ・レヴェリー サイゴン」に宿泊

ザ・レヴェリー サイゴン エントランス
▲ エントランスの頭上が黄金の羽。旅人を景気よく煽ってきます。
6時間弱のフライトを経てホーチミンに着いたら、まずはホテル「ザ・レヴェリー サイゴン」にチェックイン。ここをおすすめする理由は、いま刺激的にギラっとするホーチミンを象徴するホテルだから。

ロケーションは徒歩圏内で夜遊びできる中心地。世界中の一流ホテルを体験してきた創設者がホテルを作るとなった時、目指したテーマは「ドバイに負けないベトナム」。そんな心意気で2015年夏、豪華絢爛な竜宮城のようなホテルを開業させたのです。
ザ・レヴェリー サイゴン エントランス
▲ ジュエリーボックスの中身のような1F入口。
向上心の塊のようなホテルだから、エントランスに入った時からもう眩しい。天井にはヴェネチアン・グラスのシャンデリアが連なり、隣にはクリスタルの巨大柱がそびえ立つ。実は天井の装飾はベトナムの地図を表していて、当ホテルの愛国心が頭上に輝いているのです。
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ザ・レヴェリー サイゴン エントランス
▲ エレベーターに続く大理石の門をくぐったら主役気分。
7Fレセプションに行くためにエレベーターに乗れば中は琥珀の壁で、数万年前の樹脂の化石の断面が見えてしまう。レセプションにはイタリアから呼び寄せた職人が手がけた10m超のタイルアートが煌めき、向かいには世界にふたつしかないオーストリッチの巨大ソファが鎮座。ちなみにもうひとりの所有者は故・マイケル・ジャクソンだったとか。
とことん華やかなホテルですから気合の入ったドレスを着て撮影会をするベトナムのインフルエンサーもちらほらいて、彼女たちの存在も2022年のベトナムを表している。いきなり日本にはないバブリーさの連続で、旅のエンジンがかかります。
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224室ある客室は12のカテゴリーに分かれ、43㎡から最大313㎡まで。「ザ・レヴェリー サイゴン」らしいのは、ジョルジェッティ、ヴィジョネア、カッシーナ、B&Bイタリアといったイタリアの高級家具を揃えたデザイナーズスイートがブランドごとにあること。
▲ 「ロマンス スイート」の寝室。ベッドリネンは全室でイタリア・フェレッティ社を採用。
部屋選びに迷いますが、カップルにイチ推しなのは、その名も“ロマンス スイート”。ベッドの天井の細工やベッドボードがひと際豪華で、もはや舞台装置のよう。さらにバスルームは大きな鏡張りとなり、なぜかバスタブの前に王様椅子を設置。ホテルのスタッフに「この椅子は何のため?」と聞くと、「ご自由に。ここでシャンパンを飲んだりするのもいいのでは」との答えでした。どちらが王様になるかはふたりでご相談を。想像しただけで、ちょっと楽しいですよね?
▲ 王様椅子がお風呂に近すぎないのがよい。
ホテル内レストランは全世界でミシュランの星を8つ獲得している「ダ・ヴィットリオ」のサイゴン店と、香港で2つ星を獲得している広東料理店出身のシェフによる「ロイヤル・パビリオン」に注目。ローカルフードの合間にドレスアップして向かうに最適です。
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意外だったのが、このホテルがどこで両替するよりもレートがよかったこと。カジュアル店やタクシーなどベトナムは現金を使う機会もまだ多いので、こちらで一気に替えておくのが賢明です。ネットで検索するのと同額ほどで地味にアガりました。そういう点や客室のディテールも含め、バブリーに見えてかゆいところに手が届くホテルでもあります。

■ ザ・レヴェリー サイゴン(The Reverie Saigon)

料金/5万5000円(税別、朝食込)〜
TEL/0120-086-230(ザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド)
HP/https://www.thereveriesaigon.com

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新旧ベトナム料理の食べ比べで舌を満足させる

「Quán Bụi」「SH Garden」「Anan Saigon」

もしもホーチミンを未訪問、または最後に行ったのが10年以上前なら、いまのレストラン&バー事情に驚くはず。想像以上にモダンな店が増えているし、各国料理のレベルも上がっている。とはいえ初回の食事はザ・ベトナム料理が食べたいと思うので、こちらの2軒をご紹介。

1軒目は「ザ・レヴェリー サイゴン」から徒歩12分ほどの「Quán Bụi」。オーセンティックな料理に豊富なワインを合わせるのが最高のお店で、5種類のベトナム春巻きをつまみに泡酒や白ワインを飲むのもたまりません。巨大なバインセオも現地ならでは。
2軒目は「ザ・レヴェリー サイゴン」に面したドンコイ通り沿いの「SH Garden」。店内はかわいいタイルの床にグリーンが繁り、ノスタルジックながらお洒落です。豚肉メニューでも南部と北部のスタイルが並ぶなどベトナム各地の料理を味わえて食材もマニアック。ココナッツの新芽やバナナの花、サウの実という果物など、日本では食べられないものを試してみては?
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次にご紹介するのは面白いほどの変化球となる「Anan Saigon」。2021年の「アジアのベストレストラン50」では39位に入り、ベトナムのファインダイニングを牽引する存在です。

シェフのテイスティングメニューはUS100$。現地ではかなり高級になるのに、Googleマップが示す住所は、なんと超ローカルな屋台ストリートの先。山積みの謎商品を三輪車にのせて売るおじさんに続いて進むと、突然、モダンな電飾が見えてきます。
▲ ブルーシートが活用されている店の先に黄色い「Anan Saigon」のサインがちらり。
▲ 屋台リスペクトなので店の外観は隠れてしまってもいいという方針。
店の目の前まで屋台が絶賛営業中! 意外すぎる店構えですが、オーナーシェフのピーター・クオン・フランクリンさんは、ベトナムのストリートフードを心底愛し、その活気にまみれたいと思っている人。だから必然的な立地であり、海外ゲストにとってはたまらなくエキゾチックな体験となります。店内に入れば一転スタイリッシュでワープする感覚。
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ピーターさんは、「ル・コルドン・ブルー」で学び、香港の「Caprice」、シカゴの「Alinea」、バンコクの「nahm」など各国の一流店で修業を積んだベトナム系アメリカ人。ベトナム料理をモダンに昇華させるパイオニアであり、フォーも彼流になるとスプーンにのったひと口サイズに変貌する。さらにフォー味のカクテルまであって、ジンベースでハーブの風味と旨味は確かにフォー。世界にはまだまだ知らない酒があると体感したのでした。
Anan Saigon ひと口フォー
▲ ゼリー状に固めたひと口フォー。 https://anansaigon.com
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やっぱりストリートフードも外せない!

「Bánh Mì Huynh Hoa」「Phở Minh」

「Anan Saigon」のようなコンテンポラリーを食べると、反動で庶民のストリートフードも食べたくなってしまう。そこでベトナムの2大国民食、バインミーとフォーのおすすめをご紹介。ちなみにフォーは中国の影響が強い北部のハノイ発祥、バインミーはフランスの影響が強いホーチミン発祥のソウルフードです。

バインミーで市内一の人気を誇るのは、「Bánh Mì Huynh Hoa」。常に大行列ですが超速の流れ作業でバインミーを作っているので、並んでもそこまで待ちません。行列の人々からバインミー欲をひしひしと感じ、気持ちがはやります。
Bánh Mì Huynh Hoa
▲ 観光客から仕事中の地元民、Grab Foodのバイクまで様々な人が並びます。営業は14:30〜23:00(変則的)。
これひとりで食べられるのか? と懸念するほど巨大なバイミーですが、要らぬ心配。軽やかで香ばしいフランスパンにパテやハム等の肉類が5種も入り、野菜もたっぷり。バターとエキゾチックなタレ、パクチーが効いてフランスとアジアの味が絶妙に融合し、野菜の水分も一体化してするりと完食できる。

パンはご丁寧に炭火で温めているから皮がパリパリ。細部までのこだわりを舌で感じる、流石、人気NO.1の店でした。
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Bánh Mì Huynh Hoa バイミー バインミー
▲ パンがしなしなにならないよう、パンと具材を分けて包装してくれます(約230円)。 https://banhmihuynhhoa.vn/
続いてフォーのおすすめは「Phở Minh」。狭い路地にある創業75年の老舗です。完全ローカルな雰囲気なので帰国後に知って驚いたのが、この店、なんと下北沢に同名の分店があること。ここを訪れた店主が味の虜になって「日本でも提供したい!」と動いたようで、その気持ちに共感。

牛骨から2日かけて煮出したスープが朝の乾いた身体に染み渡り、山盛りで出されるハーブの芳香がおめざに最高です。朝営業のみですが、それで大正解だと思ってしまいます。
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“本当にここでいいの?”な隠れ家バーも必見!

「The Iron Bank Cocktail Vault」「The Alley Coctail Bar & Kitchem」

食事の前後に寄りたいバーもギャップが満載です。正直、10年前はベトナムはお茶やコーヒーが好きな国民性で、カクテルもあってクラシックというイメージ。それが2022年になると、ミクソロジストが作る独創的な一杯を都会的な大人が楽しんでいる。

ただ、そういうバーはひっそり隠れた場所にあるから見えづらい。「The Iron Bank Cocktail Vault」がまさにそう。だってこんな古い建物の奥にバーがあるとは思いません。ひとりなら進むのも恐ろしい。
The Iron Bank Cocktail Vault
▲ 2階に看板が光っているけど入りづらい。
「Anan Saigon」に続いて立地が意外すぎる。しかし、ひとたび「The Iron Bank Cocktail Vault」の扉を開けると、天井高のお洒落な空間でミクソロジストがビシッとカクテルを作っていて、そのギャップに高揚。自家製リキュールを使ったりハーブを燻していたり、完全にいまのカクテルシーンに追いついています。
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もう一軒もエスコートしたら「なぜここを知っているの?」となるバー。路地裏の突き当たりにある「The Alley Coctail Bar & Kitchem」では、ライブミュージックをBGMにベトナムの食材を活かしたカクテルを味わえます。ホーチミンでは6軒のバーを試しましたが、味はここが一番と思いました。
The Alley Coctail Bar & Kitchem
▲ 1〜2階からなる店内は天井が思いのほか高い。
こちらでぜひ飲んで欲しいのが、「MEKONG DELTA」という響きからしてベトナムらしいカクテル。スパイスで香りづけしたウイスキーをベースにバナナシロップやジンジャーが入った一杯なのですが、器が来てびっくり。丸いボウルに巨大な氷がドンと置かれ、その周りにカクテルが注がれている。札幌雪まつりのような美しい氷が溶ける前にストローで飲むのがレア体験です。
The Alley Coctail Bar & Kitchem MUSTARD SOUR
▲ 右はウイスキーベースにマスタードやピンクペッパーが効いた「MUSTARD SOUR」(約1500円)。左が「MEKONG DELTA」(約1400円)。@thealleycocktailbarandkitchen
ちなみに暑い時期に行く予定で一杯目はやはりビールという方には、地元のクラフトビールが飲める「HEART OF DARKNESS」がおすすめです。
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豆や焙煎にこだわるコーヒーが飲める仕事場も豊富

「Okkio Caffe」「96B Café & Roasters」

ベトナムといえばコンデンスミルクをたっぷり入れる甘いコーヒーがおなじみで、小さい椅子に座ってローカル気分で飲むのが楽しいもの。ただ、コーヒーを淹れるのが好きな人なら海外でも豆を厳選したハンドドリップも飲みたいはず。

特にベトナムの豆を飲んでみたいでしょう。ホーチミンにはそんなコーヒー好きの願望を叶える店が増えています。それらの店に行くとベトナムでも(の方が?)ノマドワーカーが多いと実感するのも興味深いです。
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4800kmの大河が流れつく先、メコンデルタへ

最後に、郊外のアクティビティとしてメコンデルタ(メコン川河口の湿地帯)への半日ツアーをご紹介。世界有数の稲作地帯で国民の胃袋を支えるその地域は、ベトナムの誇りであり、既述のバーでも「MEKONG DELTA」という名のカクテルがありました。なにせ、中国南部に始まり、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジアを流れベトナムで終わる4800kmものメコン川の終着地。

ホーチミンのレストランでもメコン川で養殖された魚が出てくるなど、生活の基盤を作ってくれるメコンデルタは水とともに生きる村人によって伝統文化が守られています。都会での外食とリンクする恩恵も多いので、両方知ると街での遊びが深まり、観光としてお金を落とすことで地域を存続させる資金にもなる。

あとやっぱり、絵葉書で目にするこの風景は一度は見てみたいですよね。
Remiさん(@remi_912)
▲ 美しい後ろ姿は今回のベトナム旅をともにしたRemiさん(@remi_912)。
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バナナやマングローブの木をくぐる手漕ぎボートでのクルーズへは、「Inspring Global」が手配するツアーに参加するのが得策。まずホーチミン中心地からクルマで2時間ほどのミトーに行き、そこから船に乗ってトイソン島へ。地元の人々の家を訪問したり民謡を聞いたり、昔懐かしい観光を満喫しましょう。
雄大な大自然が広がるメコンデルタを堪能したあとホーチミンに着くと、大量のバイクが駆け抜けるギラっとした景色に戻ります。何百年と変わらず流れる大河ともの凄い勢いで変化していく都市を両方味わうホーチミンの旅は、そのコントラストが醍醐味。たとえ2〜3泊でも凝縮された時間をお楽しみくださいませ!
初代ベトナム民主共和国主席 ホー・チ・ミン氏 銅像前
▲ 建国の父であり初代ベトナム民主共和国主席、ホー・チ・ミン氏の銅像前は今も昔もフォトスポット。

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