2023.07.16
棋聖戦も行われた歴史的名旅館「沼津倶楽部」がリニューアルオープン
静岡県沼津市の「沼津倶楽部」がリニューアルオープンを果たしました。将棋のタイトル戦「棋聖戦」の会場になったこともありその名を耳にしたことがある人も多いと思います。今回、LEON.JPでご紹介するのは、他でもありません。こちら、大人のデートにぴったりの宿なのです。
- CREDIT :
文/長谷川あや
その後、2022年8月に、ホテルや飲食店を手がけるグリーニング(GREENING)へと運営が引き継がれ、2023年6月14日(水)にリニューアルオープンを果たしました。レストランの客席数なども増え、より多くの人に門戸が開かれた、というわけです。
大正から昭和にかけて沼津を愛した名士や文士にあやかって、こちらに滞在している間は、筆者も“小洒落た人”になろうと心に決めます。
ロビーや客室の前のソファや椅子から、涼やかな水面を眺めているとゆるやかな時間が過ぎていき、短歌や俳句を嗜んでいれば、作歌や作句でもしてみたいところです。
あるようでなかった作りです。ベッドスペースには、ゆとりあるセミダブルサイズのベッド2台とソファが置かれていました。その他、畳のある部屋やメゾネットタイプ、京都の西陣織の老舗HOSOOのテキスタイルが施された「沼津スイート」など、客室は5タイプ。同行者や旅の目的に合わせて選ぶのもいいんじゃないでしょうか。
サウナは、1階にはセルフロウリュ付きのサウナが1室、2階には温度の異なる2室のサウナがあります。仕上げの水風呂も富士山の伏流水! 露天風呂は天然鉱物である光明石のミネラル成分を含んだ人工的な温泉です。楽しみな夕食を前に、身を清めるにはぴったりです。ちなみに、スパと客室のアメニティは環境への負荷も低い処方にこだわるukaのものでした。
静岡県三島のクラフトビール「フェット」や沼津市西浦生まれの「西浦みかん寿太郎」のジュースなど、気になるものだらけのラインナップのなかから、筆者が手にとったのは、オリジナルカクテル「段々茶畑」。お茶の苦味と芳ばしさを感じる、ジンベースのカクテルでした。美味しいカクテルでご機嫌度がさらにアップしたところで、そろそろお待ちかねの夕食の時間です。
静岡県内で水揚げされた魚介類や県内産の食材などを使った「季節のお任せコース」は、噂に違わぬ、美味しさ、そして、楽しさです。
▲ よだれ鶏の3段活用。「よだれ鶏」「につける餃子」「からの麺」というネーミングがまたしゃれおつ!
▲ 山菜麺のピリピリ感がまたいいんです!
▲ 味噌まで美味しく食べられる牡丹海老を厳選した、文字通りぷりっぷりの「牡丹海老」。アルコールを飛ばさずに紹興酒につけた、酔っ払い海老のような一品です。
▲ ふかひれは、一度下げられたあとリゾットへと華麗なる変身を遂げます!
▲ よだれ鶏の3段活用。「よだれ鶏」「につける餃子」「からの麺」というネーミングがまたしゃれおつ!
▲ 山菜麺のピリピリ感がまたいいんです!
▲ 味噌まで美味しく食べられる牡丹海老を厳選した、文字通りぷりっぷりの「牡丹海老」。アルコールを飛ばさずに紹興酒につけた、酔っ払い海老のような一品です。
▲ ふかひれは、一度下げられたあとリゾットへと華麗なる変身を遂げます!
間違いのない美味しさを噛み締めたあとは、残しておいた黒酢と自家製のラー油で作ったたれを餃子、そして、オリジナルの配合で製麺した山椒麺をつけていただきます。こりゃたまらん、笑いが止まりません。
ヨシキリザメのふかひれはとろっとろ。美味鶏を含む国産の鶏の骨を6〜7時間煮込んだ濃厚な白湯スープは、滋味にも慈愛にもあふれていました。で、このスープも最後はリゾットとしていただくという趣向がまたなんとも粋じゃないですか。こういう活用術、わくわくしますよね? そして、芸術品ともいえる空間で、極上のモダンチャイニーズをいただく贅沢たるや!
シャンパーニュ「ペリエ・ジュエ」でスタートし、よだれ鶏の三段活用には、ハーブに漬け込んだ紹興酒と静岡のお茶を使った自家製ライチリキュールで作る「ドラゴンハイボール」を。メインの「焼豚 静岡山葵」には、「季のTEA 京都ドライジン」に、静岡の製茶ブランド「丸玉園」の煎茶を漬け込んでつくる「沼津ジンソニック」が寄り添います。
アルコールペアリングのお値段は、ランチ5000円、ディナー8000円(いずれも税込)です。なかなかリーズナブルなんじゃないでしょうか。ノンアルコールペアリング(ランチ3000円、ディナー6000円)も気になるところです。
静寂を楽しんでほしいという思いから、スイートルーム以外の客室にはテレビはありません。防波堤越しの波音や松の木の葉擦れの音が心地よく、今なら誰に対してもやさしくなれそうです(残念ながらひとりでしたけどね!)。
水盤を眺めながらの朝シャンのために、昨日は飲まずにとっておいたのですよ。デカした、自分! グラスを片手に湯浴みもいいなあ。調子も出てきたところで、よ~し、どちらも実践しちゃえ!
それでも大正や昭和初期の文士や名士たちが愛した、古き良き日本のリゾート地の瀟洒な空間で一夜を過ごし、質の高い料理を楽しんだあとは、ポジティブなエネルギーで満たされていました。
● 沼津倶楽部
住所/静岡県沼津市千本郷林1907-8
TEL/055-954-6611
料金/1泊2食付き2名1室の1名料金5万3125円~(税・サ込)
HP/https://numazu-club.com/