2023.12.17
「ザ・リッツ・カールトン福岡」は稀にみる夕陽の絶景ホテルでした!
2023年6月、ついに「ザ・リッツ・カールトン福岡」が開業。いま大きな発展を遂げる福岡に久しぶりに誕生したラグジュアリーホテルとして注目を集めています。その空間と体験はいかなるものか、実態をレポートします!
- CREDIT :
文・写真/大石智子
福岡好き待望のラグジュアリーホテル
さて、そこのところは経済誌などで読んでいただくとして、福岡って本当に楽しい街ですよね。何の知識なしに行っても、中洲を歩いているだけでワクワクしてくる。今回行った時も、九州中の若者が「飲むぞ!」と集まってきたような活気を感じて、つられて高揚しました。外国人観光客と地元民が入り混じる屋台もエネルギッシュ。あまり周りを気にせず、自分たちのテーブルや目の前の酒に一点集中している雰囲気には、欧州の酒場を思い出したりもします。
空港から中心部まで近いですし(クルマで約15分)、2022年5月からいち早く地下鉄にクレジットカードのタッチ決済を採用しているのも流石。随所が効率的で、そこに大らかさが合わさり快適です。
というわけで福岡好きであり、「ザ・リッツ・カールトン」好きでもある筆者。今年6月に「ザ・リッツ・カールトン福岡」が開業したと聞き、期待して向かいました。都市の規模のわりにラグジュアリーホテルが少なく、いきなり最高峰の誕生。外資だと他に「ヒルトン福岡シーホーク」が1995年に開業、「グランド ハイアット 福岡」が1996年に開業していますが、20年近くホテル事情は静かでした。
外の喧騒を忘れる静謐な空間
つい手が出てしまうラウンジの料理
そう感じる理由は、総料理長の早坂心吾さんとラウンジのシェフの長野圭介さんが、「日本一のラウンジを作る」と明確な目標を掲げているからでしょう。
九州和牛のリエットや明太子キッシュは丁寧かつウィットが効いているし、オーダー式のローストポークはしっとりジューシー。先ほどアフタヌーンティーを完食したばかりなのに、隣のテーブルのご家族が、「カレーのクオリティ高いよ!」なんて話しているから、迷わず取りに行きました。結果、カレーが赤ワインを進ませる。そして〆はモンブラン。食後を考慮してか、滑らかなムース仕立てでマロンクリームも品がよかったです。
正直、ビュッフェのシェフは人目につきづらく、お話も聞いていないのですが、料理で「何か違うな」とセンスのよさや実直さを感じました。お皿の上だけで伝えるって凄いことですよね。
博多湾側の客室が夕陽の特等席
今回、スイートも含め他の客室も見学しましたが、もう一度泊まるならまた同じ「クラブデラックスキング ベイビュー」(50㎡)に泊まりたい。なぜなら、その角部屋が絶好のサンセットビューだったからです。インパクトは夕暮れ時が一番強いですが、昼に入った瞬間からパワースポットのような絶景でした。
無垢の木を基調にしたデザインはミニマムにして、別府の網竹に着想を得た引き戸など和のディテールが効いている。一番華やかなのがお風呂の壁というのもよい。
九州男児なライオンもいます
市街と博多湾を望む25mのプールは、太陽の光がよく入る気持ちいい空間。プールサイドにフォトスポット的なベッドがあり、主役気分を味わえそうです。男女ともにサウナもありますが水風呂はなし。プールとサウナは有料(3795円)ですが、その分、人が少なくなるのは有料のメリットかと思います。
グルメシティ福岡の一部として
贅沢なお籠りとするなら「幻珠」へ。鉄板焼では年間900頭しか出荷されない銘牛の壱岐牛を味わえます。食事の前に注目なのが、エプロンのストラップがホテルのシンボルであるライオンであること。鉄板焼の料理長・谷口祐卓さんが、「お客さまがワクワクするものを」と考案したそうです。確かに「リッツに来たぞ!」という特別感を得られてテンションが上がります。
登場したお重には、博多名物の胡麻カンパチや本日のお造り、豚の角煮や鯵フライ(山椒風味のタルタルまで美味!)が入り、もう「日本酒を開けていいですか?」といった気分になる豪華さ。客室だから誰にもバレないですし、お酒を飲んでそのまま二度寝なんてダメなコースへ誘う朝食です。魅惑的なものを前に怠惰になるのも旅の醍醐味。
バーでの夕陽のために戻ってきたい
■ ザ・リッツ・カールトン福岡
料金/1泊10万2200円〜(1室2名利用時)
HP/https://www.ritzcarlton.com
● 大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、毎月海外に渡航。スペインと南米に行く頻度が高い。柴犬好き。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。