2024.07.12

あなたの知らないサウジアラビア Part.2

「サウジアラビアのいまを見に行きませんか?」そんなお誘いから始まった今回のプレスツアー。サウジって渡航できたっけ? お酒が飲めないのでは? 治安はどうなの? どんな料理が食べられる? そもそもサウジってモテるの……? モヤモヤいっぱいのなか、LEON編集長ダイリの未知旅、3つのパートに分けてお届けいたします。

CREDIT :

文/堀川正毅(LEON編集長代理)

「あなたの知らないサウジアラビア Part.1」はコチラから。

◆ Part.2

モテるオヤジはラクダ持ち!?

首都リヤドからクルマで4時間ほど行ったところにある「ブレイダ」という街には、世界最大級の「らくだマーケット」があります。各地から運ばれてきたらくだの売買が行われている市場なのですが、右も左もらくだ、らくだで、その数500頭以上。一頭4万円〜で取り引きされ、高いものだと80万円をこえるものも。この市場は主には食用のらくだが扱われていますが、他にもレース用のらくだを扱うマーケットもあるそう。

らくだは馬と違って3〜4日くらいなら水を飲まなくても平気だそうで、砂漠の多いサウジアラビアでは重宝するのだそう。いわば燃費の良い電気自動車といったところでしょうか。高級車に乗り慣れた淑女にとって、らくだに乗ることのほうがワクワクする可能性が高いので、ここはひとつ、彼女のために一頭いかがでしょ。
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朝は大体6時くらいから広場にらくだが集められ、取引が行われます。暴れないように膝を布で縛られており、ちょっとかわいそう……。
▲ 朝は大体6時くらいから広場にらくだが集められ、取引が行われます。暴れないように膝を布で縛られており、ちょっとかわいそう……。
取引はセリで行われており、数字(値段)が飛び交い、買取先が決まっている方式のようです。なお、1歳以上になると肉が硬くなってしまうため、食用は生後6ヶ月〜8ヶ月が良いのだとか。歳を取ったらくだは繁殖用に回されるそうです。
▲ 取引はセリで行われており、数字(値段)が飛び交い、買取先が決まっている方式のようです。なお、1歳以上になると肉が硬くなってしまうため、食用は生後6〜8カ月が良いのだとか。歳を取ったらくだは繁殖用に回されるそうです。
▲ らくだの鳴き声、聞いたことありますか? 可愛い顔して案外……、と思ったのは私だけではないはず。
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知識を共有する知的旅もまたい〜んです

旅行の醍醐味は、その国のことを知ること、だと思うので、今回は少し歴史的なお話をさせていただきます。サウジアラビアには1500年以上前の集落や歴史的建造物が多く残っており、史跡巡りが楽しめます。今回訪れた、ウシャイガー、ウナイザ、ブレイダは、サウジの先祖ベドウィン族ゆかりの街。首都リヤドからクルマで行ける距離(北西に200kmくらい)にあります。

ウシャイガーは農業エリアで、昔の集落がそのまま残っていて、かつてメッカへと向かう巡礼者たちの往来で賑わった形跡を見ることができます。ウナイザはカラフルな扉が特徴の町で、町の中央には「アルバッサムヘリテージハウス」があり、中央サウジアラビアの伝統的な郷土文化を学ぶことができます。

夕方になると、ヘリテージセンターに隣接するスーク(市場)にある椅子やベンチに地元の住民が集まり、郷土菓子の「クレイジャ」を食べながら、おしゃべりを楽しむ姿も。町民の溜まり場として、いまも昔も利用されているようです。ブレイダは、先に登場したらくだマーケットがあるエリアで、サウジアラビア人の国民食である「カプサ(炊き込みご飯)」もこのエリアではらくだの肉を使用しているなど、ベドウィン族のヘリテージであるらくだと密接な町なんです。
農業が盛んだったウシャイガーの集落。かなり崩れてしまっていますが、いまも一部住民が住んでいます。
▲ 農業が盛んだったウシャイガーの集落。かなり崩れてしまっていますが、いまも一部住民が住んでいます。
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ウナイザにある「アルバッサムヘリテージハウス」では、このエリア特有の華やかな扉の装飾を見ることが出来ます。
▲ ウナイザにある「アルバッサムヘリテージハウス」では、このエリア特有の華やかな扉の装飾を見ることが出来ます。
ブレイダは先に触れたらくだのマーケットが開かれている町。ここでセリにかけられたらくだは食肉として全国に連れて行かれることになります。
▲ ブレイダは先に触れたらくだのマーケットが開かれている町。ここでセリにかけられたらくだは食肉として全国に連れて行かれることになります。
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先ほど「メッカへと向かう巡礼者たち」の話が出ましたので、サウジアラビア人にとって最重要施設とも言える、モスクについてもここで触れたいと思います。サウジアラビアには、イスラム教の2大聖地である、メッカとメディナがあります。

メッカは異教徒は立ち入ることはできないのですが、メディナは預言者ムハンマドの墓廟がある「預言者のモスク」には入れませんが、モスクにたくさんある門ぎりぎりまでは行けるので、その雰囲気を味わえます。どちらもジェッダ国際空港から出ている高速鉄道「ハラマイン」に乗れば2時間で行くことが出来ます。実際、駅には全身白装束というか、バスローブのようなものをまとった巡礼者たちが電車を待っている姿を目にします。

彼らはイスラムの教えで、人生で一度はメッカを訪れなければならない(病気や高齢、経済的に難しい場合は除く)とされており、サウジアラビア人だけでなく、近隣のヨルダンやオマーン、遠くはインドネシアや日本などからも教徒が聖地に訪れているんです。
巡礼者はこのような白い布をまとってメッカやメディナへ向かいます。カラダを清め、穏やかな気持ちで聖地へと足を運ぶのですね。
▲ 巡礼者はこのような白い布をまとってメッカやメディナへ向かいます。カラダを清め、穏やかな気持ちで聖地へと足を運ぶのですね。
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ちなみにリヤドにも一般人が入ることができるモスクがあります。「アルラジ グランドモスク」は、一度に2万人近くの教徒を収容することができ、1日5回、メッカの方角に向いてお祈りを捧げます。メディナはモスクの外周になりますが、建物やお祈りを捧げる人々を見ることが出来ます。

また、メディナには先に登場した「預言者ムハンマドの墓廟」だけでなく、「クバモスク」など、50以上のモスクが点在しており、今年のラマダン期間中(3月〜4月)、2000万人もの人が訪れたそうです。
リヤドにある「アルラジ グランドモスク」。中東のなかでも特に敬虔なイスラム教徒であるサウジアラビア人は一日5回、メッカの方角にお祈りを捧げます。
▲ リヤドにある「アルラジ グランドモスク」。中東のなかでも特に敬虔なイスラム教徒であるサウジアラビア人は一日5回、メッカの方角にお祈りを捧げます。
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▲ メディナのモスク前。センターの緑色の塔が「預言者ムハンマドの墓廟」です。異教徒はなかに入れません。
こちらはメディナにある「クバー・モスク」。メディナに最初に建てられたモスクとして有名です。
▲ こちらはメディナにある「クバー・モスク」。メディナに最初に建てられたモスクとして有名です。
イスラム教というと、我々日本人には少し怖いというか、よく分からない宗教のように考えられがちですが、実際は、勤労を推奨し、お酒を禁じ、女性を大切にするなどの教え(コーラン)があり、むしろとても穏やかで平和的とも言え、そんな国民性・宗教観は渡航先としてオススメする理由にもなります。
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余談ですが、サウジアラビア人はとても親日です。いくつか理由が考えられるのですが、特に影響を与えていると考えらえれるのは、日本のアニメーションです。彼らは子供の頃から「キャプテン翼」や「ドラゴンボール」に親しみ、最近の「ワンピース」や「鬼滅の刃」なんかもバッチリとチェックしています。古くは、「UFOロボ グレンダイザー」がテレビ放映されていたこともあり、こちらが日本人と分かるとうれしそうに日本アニメの話をしてきてくれるほどです。

オイルビジネスや鉄道、インフラ整備など、国と国とで取り組んでいる事業はいくつかありますが、案外、アニメなどソフトコンテンツをしっかり届け、VISIT JAPANの目玉にする取り組みをした方が、よほど喜ばれるし、商売になるのではないかと思った次第です。

またまた脱線しますが、サウジアラビアは砂漠ばかりと思っているかと思いますが、案外そうではなくて。特にメディナは地下水が豊富にある町で、平野をクルマで走っていると、時々こんもりとした小さな森が出現します。多くは棗椰子の木(デーツが取れます)で、預言者ムハンマドが切り拓いたメディナという土地の豊かさを知ることが出来ます。

当時の人々の生活を知ることができる集落や歴史的建造物は、多くを語らずとも雄弁に物語ってくるもの。それはモテるオヤジさんそのものじゃないかと思うのですね。どっしりと構え、時々インテリジェンスを感じさせながら、包容力のあるところをアピールする。そんな男になりたいものですね。第三回は、いよいよ紅海の花嫁、ジェッダに移動し、ギネス世界記録を持つ建造物「マラヤ・コンサートホール」をご紹介します。
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