2021.01.20
コロナ禍で勢いを増す、アメリカのマッチングアプリ事情【前編】
コロナ禍で刻々と変化するアメリカの現状をニューヨーク在住の元LEON編集部員、菅 礼子がお届けする本シリーズ。今回はこんな状況&凍える冬だからこそ盛況の、アメリカにおけるマッチングアプリ(アメリカではデーティングアプリと言う)事情に迫ります。
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文/菅 礼子
そもそもアメリカではほとんどの人がデーティングアプリの使用経験あり
アメリカ人は日本人よりも合理的と表現されることが多いように、結婚相手やデートをする相手も無駄なく探したいという思いが強いよう。恋人と別れた人たちは“Back to market”といってデーティングアプリを再開してお相手を探すなど、オンラインを駆使して恋人探しをしています。
コロナによって変化してはいるものの、実際、ニューヨーク市は男女比が6:4と女性の方が多く、LGBTQなど多様なセクシャリティをもつ人も多いため、シングルの女性が条件の合う男性を探すのがひと苦労、というのは有名な話です。そこで、効率よく条件の合う男性を見つけるためにもデーティングアプリを利用する人が多いわけです。
世界最大のデーティングアプリ市場と言われるアメリカではデーティングアプリを運営する会社の時価総額が驚くほど高く、パンデミック前の2020年1月にはアメリカの「bumble」というアプリ(ティンダー創業者の一人、ホイットニー・ウルフ・ハードが創業)が約30億円で買収されるなど、デーティングアプリは社会を支える産業のひとつとして市民権を得ています。
現在は新型コロナの影響でなかなか対面での出会いが難しいため、アプリでもビデオチャットの機能などが充実してきているようです。
人種の坩堝アメリカだからこそのバラエティに溢れるアプリ!
・ アジア系に特化
・ 独自の慣習をもつユダヤ人に特化
・ 50代以上に特化
・ 農村部のファーマーに特化
など、日本にいるとなかなか考えられないものも存在します。ただ、アジア人特化だからといって、白人の入会を断ることは人種差別に当たるため、あくまで似たバックグラウンドをもつ人たちがマッチングしやすいということでマイノリティ向けのアプリは存在しています。アジア人特化でスタートし、現在ではマイノリティ向けにリニューアルした「EME hive」は日本人起業家の時岡真理子さんがスタートしたことでも有名です。
実際、ニューヨークでデーティングアプリを使ってみた
日本では法律で実際に会う前に身分証の提出などが義務付けられているようですが、アメリカは特になし。今思うと危険な感じもしますが、結果怪しい男性には会いませんでした。ニューヨーク市は女性の初婚平均が38歳と他の都市に比べて高いこともあり、男性の年齢層も高い印象を受けました。
さすがニューヨーク! と思ったのが、いわゆるハイスペックな男性がうじゃうじゃいることです。医者や弁護士、投資家、金融業界など、キラキラしたキャリアの男性がアプリ上にたくさんいます。もちろん人種もさまざま。ただ、落とし穴的に思ったのが、アメリカ人は1年ごとに会社を変えたり、副業はもちろん、パラレルキャリアなど、働き方が往々にして自由であること。
日本では“有名企業勤務”や“年収1000万”などハイスペック男子の格付けがあるようですが、アメリカでは「弁護士だと思っていたらパン屋さんになった」とか、「フリーター? という人がものすごい資産家の息子」などの場合もあり、肩書きだけでは男性を判断できないケースが多い模様。要は中身で判断すべし! ですね。
また、ニューヨークのハイスペック男性は世界でもトップクラスですが、仕事を優先しすぎてプライベートはおざなり、という人も多い印象を受けました。それゆえニューヨークでいい男性をゲットするのは難しいのかもと。また、アメリカは価値観もさまざまなため、結婚というかたちを望まない人なども。
ですので初期の段階でお互いの方向性を確認した方が良さそうに感じました。今回私は怪しい男性には遭遇せず、うまくマッチングをしなかった弁護士の男性が私個人の会社のさまざまな登記を手伝ってくれるなど、お友達作りには成功といった具合い。
後編ではアメリカ発のデーティングアプリの日本版、「Match(旧match.com)」のスタッフにインタビュー! コロナ禍の出会いはどう変化していくのでしょうか?
● 菅 礼子
LEON編集部で編集者として勤務後、2018年に渡米。現在はニューヨーク在住。男性誌や女性誌、航空会社機内誌などにニューヨークのライフスタイルの情報から世界中の旅の情報までを執筆する他、ニューヨークでクリエイティブエージェンシーのAYDEAを主催(www.aydea.co)。Instagram(@sugareiko)でニューヨークだけでなくアメリカ&世界の情報を発信中。