2021.02.13
コロナ禍で勢いを増す、アメリカのマッチングアプリ事情【後編】
コロナ禍で刻々と変化するアメリカの現状をニューヨーク在住の元LEON編集部員、菅 礼子がお届けする本シリーズ。今回はこんな状況&凍える冬だからこそ盛況の、アメリカにおけるマッチングアプリ(アメリカではデーティングアプリと言う)事情に迫ります。
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文/菅 礼子
日本でも市民権を得てきた新しい出会いのかたち
吉岡 「年々需要が右肩上がりになっているカテゴリーですが、徐々に一般化したと感じるのは2016〜17年頃です。同じMatchGroupのPairsが2012年にサービスを開始したのですが、2016年頃からいくつかの恋活・婚活マッチングアプリが急成長し、Pairsが累計登録者数1000万人を突破するまでに急成長しました。実際Pairsで出会ったカップルが街中の広告に出演するようになり、今までの“出会い系”のようなマイナスイメージを払拭し、マッチングアプリがクリーンなイメージをもつとともに、世の中の風潮も変わり始めたと感じました」
吉岡 「世界25カ国で展開していて、日本では2003年からサービスをスタートしました。上陸当初は黒船的な存在で、日本にいる人たちが“外国人と会える、外国人に会いたい”時に使うアプリというイメージがありましたが、そこから脱却し、現在は日本人に特化したサービスにしています。Matchは他の恋活・婚活マッチングアプリに比べてユーザーの年齢層が高めなのも特徴で、コア層は35歳以上から40代が中心です。マッチングアプリとしては他に比べて歴史が長いので、マッチング率が高そうという声もいただきます。
また、Matchはアメリカ発のアプリということで日系恋活・婚活マッチングアプリとの違いは、すべての人たちにフェアな出会いを掲げているため、男女同額課金、LGBT対応しています。男女同額課金のアプリは他にあまりなく、男女ともに課金されるため、より真剣度の高い女性が集まっていると評判をいただいています」
吉岡 「アメリカと日本のMatchは基本的には同じサービス設計となっており、“マジメな交際相手・結婚相手を求める人のために最適な体験を提供”できるように考えられています。ただ、国によって規制の問題や、お国柄に合わせた独自の仕様もあります。
たとえば、日本の規制に準じて、年齢確認を公的証明書で確認をしてからでないと利用できません。さらに、Matchでは独身証明証・学歴証明証、収入証明書などをアップロードする機能も用意しています。その点、アメリカでは年齢確認を公的証明書で確認することはありません。一方でデーティングコーチの需要が高く、電話で相談ができる機能を導入しています」
コロナ禍でますます進化する機能
吉岡 「Matchには40代以上のユーザーも多くいらっしゃいます。恋活・婚活マッチングアプリで大事なことは、真摯な対応です。自分のスペックよりも、趣味が合う、話が合いそう、会ってみたいと女性に思わせることが大事だと思いますので、それを心がけてプロフィール作り、メッセージやりとりをするといいと思います。
また、男性全般に言えることですが、40代以上の方は特に友人に撮ってもらった写真があまりなく、自撮りをするかたが多いと感じます。プロフィール写真では、自然な状態の自分、もし実際あったらこういう風に笑うんだろうなということが分かる写真や、抜け感のある写真の方が好印象です。
プロフィール写真はとても重要です。マッチングアプリのプロフィール写真を撮影してくれるプロのカメラマンもいるので、そういう方に頼む、自分で用意したものでも一度友人に確認してみるなどした方がいいと思います。
また、女性も積極的になっていいと思います。女性は男性からアクションがないと自分から連絡してはいけないのかなと考える人がよくいますが、そんなことはありません。ちょっとでもいいなと思う男性がいたら迷わずアクションを起こしてください。そうすることでマッチング率も上がります。また、女性の男性検索の絞り込みで多いのが年収と身長です。これは男女問わず言えることですが、まずは中身を見ましょう、ということです」
吉岡 「2020年6月にマッチトークというテレビ電話機能をリリースしたのですが、コロナ禍でコミュニケーションの仕方が変わってきたので結果的にリリースを早めるというかたちになりました。テレビ電話機能で会う前に相手の雰囲気を確認でき、通常は10分の時間制限があるのですが、コロナ禍でその時間制限をなくしています。忙しい人たちに、より効率的に確実な出会いをしてもらうためのサービスでもあります」
吉岡 「どのような状況下でも相手の中身にフォーカスして相手を見ると自分にあった方と出会いやすくなると思います。Matchでは”中身”を見てもらうためのプロダクトの仕組みがいくつかあります。
・ トピックという突飛な質問項目が100個以上あり、例えば『母から見た私は?』『無償でもやりたい仕事は?』『ペットだけが知っているあなたは?』などその質問を選ぶことも、回答自体にもその人の個性が出るように設計されています。
・ 前述したマッチトーク(ビデオチャット機能)は実際に会う前にビデオ電話で相手の雰囲気や会話のテンポが合うかどうか確認する機能です。
・ Matchではより中身を重視してお相手を選んでもらうために、2019年にプロフィールから年収を隠したことがありますが、長期的な交際を目的に利用するユーザーにとっては年収の項目も必要との声があり、今ではデスクトップからのみ年収を表示しています」
AIの発達でマッチングアプリの効率化はより進んでいるけれど
昨年ローンチされたマッチングアプリのDine(ダイン)は「出会いの、最短距離」をスローガンに掲げたもの。通常のマッチングアプリと比べ、メッセージのやり取りが不要。マッチングした時点でアプリが次回のデート予約の日程調整をしてくれて、会うお店まで決めてくれるというものです。AIがお互いの好みを割り出し、デートの店を決めるというもので、メッセージをやり取りする時間の手間を省くという謳い文句のよう。
筆者としては一時期、1日何十人もの男性とメッセージのやり取りをしていましたが、このメッセージのやり取りでだいたい人柄が分かるものです。お互いの真剣度やマッチング度合い、性格、価値観など。そこでお互いふるいにかけ、実際会うところまで行った人はそんなに変な人がいなかったという印象です。
また、お店選びにも男性の趣味嗜好が表れるので、個人的にはそんなやり取りが省かれてしまうのは味気ないなと感じてしまうことも。LEON編集部在籍時代に上司との会話の中でもデートに誘う際のお店選びのコツやデートプランに賭ける気持ちの話や、同僚がデート前に頑張ってお店を考えていたことを思い出すと、男性のスキルをあげる意味でもこうしたやり取りは必要なのではないか、と思ってしまった次第。
出会いの形は日々変化しているとな感じる今日この頃ですが、多くの人が効率的に素敵な人に会えるように設計されたマッチングアプリが市民権を得てきたことはうれしいことだなと思います。では!
● 菅 礼子
LEON編集部で編集者として勤務後、2018年に渡米。現在はニューヨーク在住。男性誌や女性誌、航空会社機内誌などにニューヨークのライフスタイルの情報から世界中の旅の情報までを執筆する他、ニューヨークでクリエイティブエージェンシーのAYDEAを主催(www.aydea.co)。Instagram(@sugareiko)でニューヨークだけでなくアメリカ&世界の情報を発信中。