2022.05.29
featuring 大出剛士
タグ・ホイヤー、ベル&ロス、ロレックスに共通するエッセンス
お洒落な男性なら誰もがステキな時計を持っているものです。そこでこだわり男子に、こっそり愛用時計にまつわるエピソードをインタビュー。実に興味深いお話がアレコレと飛び出します。
- CREDIT :
写真/多田 悟(Rooster) 文・構成/長谷川 剛(TRS)
タフで機能的なスポーティウォッチを相棒に
ちなみにこのLEON.JPでもすでにいくつかの記事を手掛けられており、一部読者の中にはご存知の方もいらっしゃるはず。そんな大出さんですが、実は若い頃から積極的に時計を身に付けてきたウォッチラバー。そこで、これまでのゼンマイ遍歴を改めてうかがってみました。
憧れと実用性のちょうど重なる部分
「特に時計集めが趣味というワケではないんです。何かのタイミングや記念の感覚で手に入れてきたら、こういうラインナップになってしまい……(笑)。偶然とは考えづらく、きっと自分の中にあるナニかが選ばせているのでしょう。
振り返ってみて言えるのは、色々な服装にマッチする普遍的なデザインがひとつの軸。あと、男の時計は長くしっかり使えるものを選ぶべき、という考えも昔から持っており、ファッションブランドのものというより、長年時計を作り続けてきた専業メーカーのモデルを選んでいます。
また、自分はあまりスーツのようなドレススタイルで出掛けることがありません。ですので、カジュアルスタイル全般にマッチするモデルということも、選びのポイントに。非常に個人的な考えですが、ブラック文字盤かつ定番的なスチールケース&ブレスレットモデルが、僕の感覚ではオールマイティということなんです」
「3つのコレクションのうち、2つがクロノグラフ。やはりメカっぽいものが好きなんでしょう(笑)。その機能を駆使して時間を計測したりということはないのですが、ひとつの憧れだと思います。学生時代、初めてハワイに行ったときに購入した思い出の一本。
そろそろ社会人として世に出るタイミングであり、大人として生きていくことを強く意識して本格ブランドから選んだのでしょう。確か20~30万円くらいであり、学生にしては大きな買い物だったと記憶しています」
当時の1990年代初期はサーファーや渋カジスタイルが全盛の時代。大出さんも少なからず影響を受けており、日焼けで真っ黒なアクティブ青年だったと言います。それにしてもこのタグ・ホイヤー、決め手はどんな部分だったのか。
手首にマッチするやや小振り型のタグ・ホイヤー
実際にハワイのショップではいろいろと試着してみたのですが、このプロフェッショナル200が一番小振りで理想的。というのも僕の手首はやや細身で、他の大きめモデルではバランスもフィット感もイマイチだったのです」
ついに念願のタグ・ホイヤーを手に入れた大出さん。それからはほとんど毎日身に付けて過ごしたと言います。
「結局昭和の男なんでしょうね(笑)。腕時計を付けてこそ男のスタイルは完成する。そんな古風な考えが僕にはあるんです。男らしいガッシリしたスポーツタイプばかり選ぶのも、そういった考えと関係あるかもしれません」
毎日身に着けていたというタグ・ホイヤーは30年ほど前の購入品。ですが、今もって非常にグッド・コンディションのまま。大出さんが大切に使用してきたことがうかがわれます。そんなウォッチラバーが30歳を迎えるタイミングでチョイスした一本は、これまたクロノグラフタイプのベル&ロス。
モードな洒落感に通じるベル&ロス
そんな時、パリに取材で訪れるチャンスがあり、一気に現実の話となりました。その取材はあちこちパリを駆け巡る苦労の多いもの。しかし、なんとか時間を作ってショップに駆け込んだのです。
ところがまさかの在庫がゼロ! 失意の帰路とあいなったのですが、その後に仕事でパリに出掛けるという友人にお願いして、紆余曲折の末、手にすることができたのです。今ならオンラインで簡単に済む話ですが、昔はいろいろ苦労がありました(笑)」
そしてそのベル&ロスは、一体どんなところが大出さんの眼鏡にかなったのでしょう。
「スチールケース&ブレスかつブラック文字盤にしてクロノタイプという要素は従来どおり。ですがベル&ロスのソレはプロフェッショナル200とは異なり、アクティブだけど実にスマート。回転ベゼルがなく落ち着いたケース形状も当時の僕の気分にハマるものでした。1990年代後半はモードな細身スタイルの時が多く、時計ももう少し洗練されたデザインが良かったのです。
また、スイスではなく“モードの都”フランスの本格時計ブランドというところにも惹かれました。今見ても非常にスタイリッシュだと思います」
僕にとって心地良いウェアのエッセンスとして“ネイティブアメリカン、ハンドクラフト、モード”という3要素があります。これらのアイテムを身に着けているとき、非常に心の安らぎを感じます。
また僕がフレグランスにこだわるのも心地良さに関係しているから。自分のお気に入りの香りを纏って過ごすことは、深いリラクゼーションにつながります」
40代の時計として吟味を重ねたロレックス
調べていくうちに自分の生まれ年のモデルを選ぶという買い方にも共感を覚え、ヴィンテージ・ロレックスを探すことに。
40年前のエキスプローラー1は昨今のモデルとは異なり、やや小振りであることに加え雰囲気もこなれていて非常に好印象。原宿にあるワンミニッツギャラリーという良いショップに出合うこともでき、状態の良いヴィンテージを手に入れることができました」
クロノグラフでこそありませんが、こちらもまたスチールケース&ブレスかつブラック文字盤といったスペック。大出さんの手首にもマッチするレトロな小振り型(36㎜)が特徴です。
ちょっと手間の掛かるアイテムですが、何と言うか、そういった触れ合いが愛着感につながっているように思います。先日、久しぶりにオーバーホールに出したのですが、そのお値段にもびっくり(笑)。共に苦労を重ねていく相棒といった感じで、機械式だからこその味わいを、現在は自分なりに楽しんでいます」
● 大出剛士(ディレクター/エディター)
大学卒業後、TV番組「ファッション通信」の制作を手掛けるINFASグループに入社。その後、日之出出版や大手美容院のPR、「HARPER'S BAZAAR」副編集長などを経て2011年にINFASパブリケーションズに復職。美容系週刊紙である「WWDビューティ」のエディターとなり2017年、編集長に就任。その後フリーランスとして独立し、現在は美容メディアを中心にディレクターおよびエディターとして活動中。
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