2022.06.19
featuring 中橋 健
ハミルトン ベンチュラの斬新さに惹かれて
お洒落な男性なら誰もがステキな時計を持っているものです。そこでこだわり男子に、こっそり愛用時計にまつわるエピソードをインタビュー。実に興味深いお話がアレコレと飛び出します。
- CREDIT :
写真/多田 悟(Rooster) 文・構成/長谷川 剛(TRS)
会社の建物内に紳士・淑女のためのバーをオープン
今回はそんな素敵でちょっと風変わりなゼンマイ紳士をピックアップ。二足の草鞋ライフを実践するジェントルマンは、一体どんな時計を愛用しているのか、今から興味シンシンです。
「実は自分が働く広告会社の社屋を2019年にリニューアルしまして、フロアのひとつを『ビターズエンドクラブ』というキャバレーにしたんです。これまで我々は、銀座を拠点に広告業を営んできました。時にクライアントなどと交流を深める意味で、夜ともなれば色々なお店に出掛けることもしばしば」
もともと僕は1920年代という時代に憧れを持っており、関連する小説や映画を観ると、当時はエンタテインメントも華やかで夜のお店もしつらえだけでなく、非常に洒落たサービスを提供していたことが分かります。そういった要素を旺盛に盛り込んだ夜の店を作ろうと、この『ビターズエンドクラブ』を構想したのです」
すべてに華やかな1920年代へのオマージュ
「ご存知の方も多いと思いますが、1920年代はアートや文芸、それにファッションも含め、いろいろなカルチャーが大きく華開いた時代。それまで存在しなかった斬新なアイデアが次々生みだされ、またそれを広く楽しむ余裕もありました。その黄金時代に僕は若いころからリスペクトを抱いているのです」
なるほど、ピシッと3ピースのスーツでキメられているのも1920年代つながり、ということなのでしょう。確かに現代メンズファッションが確立し、隆盛を見たのが1920、30年代だと言われています。
革新的だけど過剰過ぎないベンチュラに共感
時計でありながら大胆なアシンメトリック・デザインや世界初のエレクトリックムーブメントなど、1920年代マインドに共通するエポックメイキングなスペックこそベンチュラの魅力。
今愛用しているモデルは2010年くらいに手に入れたものですが、以来オンもオフもだいたいベンチュラで通しています」
目立つより「似合っている」と言われたい
「そう、カルティエのタンクなども非常に気になる時計です。でも、僕は生来、ガチャガチャした人間。夜は店頭に立って接客などもしますし、繊細な本格時計はすぐに傷つけてしまいそうで……。
確かに知り合いからは『もっと高い時計をしたら』と言われることもあります。しかし身に着けるアイテムばかりが突出した装いは、スタイルとしてバランスが悪いと感じています」
旅の相棒となった形見のシーマスター
ただ父は晩年、コレを何する時にも身に付けており、それゆえにキズが全体に付きまくり。ですが個人的にはそういった使い方が非常に好ましく、僕も気にせずガンガン付けるようにしたいと思っています。
ピカピカすぎないのが、むしろ海外旅行には丁度良いように思っています(笑)」
● 中橋 健 (株式会社 三弘社 代表取締役社長 兼 ビターズエンドクラブ ジェネラルマネージャー)
銀座にて100年以上の歴史を持つ広告会社を取り仕切るエグゼクティブ。2019年に自社社屋をリニューアルし、その一部を会員制の文芸キャバレー「ビターズエンドクラブ」としてオープン。当店舗の責任者も兼任する。