2022.09.24
featuring スタイリスト石川英治編
敏腕スタイリストが感じたチューダーとロレックスの実力
世界的な著名ブランドであるチューダーとロレックス。しかし、その実力は実際に身に付けてみないと分からないもの。雑誌や著名人のスタイリングで活躍する高感度クリエイターに、愛用中の“金・銀モデル”について色々と語っていただきました。
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写真/前田 晃(MAETTICO) 構成・文/長谷川 剛(TRS)
ブラックベイ&デイトナに隠された人気の秘密とは?
仕事柄、トップクラスの時計を日々取り扱っているだけあって、その選球眼は相当なレベル。そして個人的にも本格時計を趣味とする、大のウォッチラバーです。
「もともと、デザインなど独自性に優れた時計が僕の好み。これまでのモデルで言えば、ウブロのビッグ・バン オールブラックには、かなり強い衝撃を受けました。視認性よりもコンセプトを貫くという斬新な姿勢に相当にシビレたのです。衝撃という意味ではシャネルのJ12 パラドックスなども僕にとって特別な存在。ひとつのケースを黒と白の異なる素材で作り上げるという手法は非常にクールであり、買おうかどうしようか最後まで悩んだモデルです(笑)」
「実を言うと、僕個人の時計スタイルにおいては、コーディネートに関しロジックというほど複雑な考えはありません。というのも年間通して多くの時間を仕事に費やしており、作業に適したTシャツにショーツ、それに軽い羽織りモノといった装いがほとんど。そんなラフで軽快な着こなしは、ともすると子供っぽくも見られがち。
ですので“装いの重し役”として時計を取り入れており、それゆえにドーンとした存在感であったり強い個性を持つモデルを選ぶことが、個人的なセオリーになっているのです」
そんな石川さんですが、ここ最近はいわゆる“人気時計”の存在が改めて気になっていると言います。そこで雑誌の仕事でもリクエストの多い、メジャーブランドの大人気モデルを、あえて選んで購入したのだそう。
ガンガン使い倒して銀側ならではの味を出したい
時計とは別に、僕はゴツめのシルバーアクセサリーを幾つか集めています。使い込むことで醸し出る、黒ずみやスレ傷などは特に愛着を感じる部分。だからシルバーケースのブラックベイ フィフティ-エイト 925が登場した時は、『コレだ!』とすぐに飛びつきました(笑)」
ガンガンに使い込むことでアジを出していこうと手に入れたチューダーのダイバーズ。しかし、まだ手に入れて半年ということもあり、エイジングは先の話になると石川さん。
「とにかく金無垢モデルなどと異なり、気にせず使えるところがイイですね。これまで厄介な仕事の時などは(時計を)外して作業していましたが、このチューダーはオンでも一日中ずっと付けています。
もともとこのモデルには、テキスタイルバンドが付属していました。しかし僕は購入後すぐに、CWCのNATOバンドに替えています。ガッシリした付け心地ゆえに本体が腕上で振られることもなく、非常に安定しているように感じます」
入手してからおよそ6カ月。毎日のように着用し続け気付いたことは、非常にオールマイティだということ。
「いわゆる王道のダイバーズデザインですが、今日のようなカジュアルスタイルで過ごすことの多い僕には、本当にベストマッチ。色々なカラーの服にマッチしやすい中庸なグレーカラーもポイントですが、装いにおけるちょうど良い“重し役”になってくれていると感じます。
クロノメーター機械ですから精度もモチロン抜群。あとニューモデルということもあってか、身に付けていると知り合いが良く声を掛けてくれます。そんなことからもチューダーの人気の高さがうかがえます」
身に付けて実感する“金トナ”のポテンシャル
「これも従来の僕だったら選ばないハズの一本。しかし周囲では非常に高い人気を誇っており、それは一体どういうことなのか? その人気を探るべく、ついに購入を決心したのです」
兼ねてから欲しかったというよりは、純粋な疑問や好奇心から興味を持ちつつ入手に至ったと説明する石川さん。しかしいざ所有し身に付けてみると、意外なことが判明したと語ります。
実際に自分のモノにしてみると、改めてそのポテンシャルの高さに気付かされます。ゴールドゆえの肌馴染みの良さも確かにありますが、それなりの重量を持ちつつ付け心地がとても自然。
僕はスポーツモードなカジュアルスタイルで過ごすことが多いので、このラバーストラップモデルを選びました。しなやかな装着感もさることながら、重厚かつヘビー過ぎないバランスの良さも絶妙だと感じています」
「そして何より身に付けていると、思った以上に見られていることが実感できる時計です。LEON本誌でも本格時計の効能を“スタイルに貫録を添える大人のアクセ”といった感じで説明していますが、そういう意味でデイトナは非常にアイコニックな存在。
仕事先でも撮影時でも会合でも、この時計のことで声を掛けられるだけでなく、街中でもしばしば視線を感じます。つまり、特別な価値をスタイルに添えることとなり、さらにそういったアイテムを選ぶ人だとのアピールが、言葉にせずともしっかり実現できるということ。
共通認識といった要素も含め、これほどに効果が実感として表れる時計は非常にレアじゃないかと思っています」
● 石川英治 (スタイリスト)
メンズファッション誌や時計誌、それに広告等のシーンで活躍するベテラン。著名俳優のスタイリング等も担当する傍ら、過去にはバーゼルワールドにてブースディスプレイのディレクションに携わった経験も。クリエイター事務所「テーブルロック スタジオ」の代表。