渋さが魅力の「実力派クロノグラフ」

今年はクロノグラフのヴィンテージイヤーといっていいほど力作揃い。初の自社ムーブメントや新機軸など見ドコロもさまざま。そのなかで選ばれたのが渋〜いクロノグラフです。芳醇な見た目なのに中身はヌーボー。薫り立つ味わいをご堪能ください。

タグ・ホイヤーのカレラとポルシェの名車911の誕生60周年を記念したコラボレーション。搭載したクロノスプリント機能は、ポルシェが100㎞までの加速時間9.1秒まで一気に進み、運針スピードを変え、60秒で1周するユニークな仕組みです。

1950年代に誕生したタイプ 20から第4世代を数え、民間用タイプXXをモチーフに。新ムーブメントで、毎時3万6000振動のハイビートと60時間パワーリザーブを両立し、10気圧防水を備えます。

目白押しのクロノグラフの新作のなかで今回、注目したのが、ロングセラーの名作がムーブメントの刷新や斬新な新機能でより一層魅力に磨きをかけたことです。

例えてみれば、その味わいはヴィンテージカーにも通じ、年齢を重ねた大人にふさわしい粋な趣味をアピールし、タイムレスな価値や美しさを纏います。それでいて中身は現代の技術を注ぎ、精度やパワーリザーブ、防水性など実用面でも支障なく使えるのです。さらに腕元に付けた瞬間、長年愛用してきたようにしっかりとなじみ、この先も愛着をもって使い続けられるのも良いところ。

いまやストップウォッチとしての計時機能はデジタルに譲りますが、多針ならではの精密機械を思わせるデザインはスポーツウォッチの様式美といえるでしょう。だからこそ渋〜いクロノグラフの存在感が際立つのです。

受賞した２作はそんな魅力に溢れます。王道パイロットか、ユニーク機構のポルシェコラボか。空とスピードへの尽きないオヤジの好奇心を象徴するのです。